CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】宵山万華鏡

2017-12-12 21:30:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
宵山万華鏡  作:森見 登美彦

安心といっていいのか、森見世界のお話でありました
正直、あまりたくさん読んでいないので、
この短編集めいた連作に出てきた人々が、
氏のいくつかの作品に出ていた人たちなんだろうなと
うっすらとわかりつつ、独特の世界観を堪能したのであります

発刊が結構前の作品なのだけども、
最近私が読んだ夜行と似た話もあったりして、
世界を少しずつ描き紡いでいるんだろうなと
そういう印象を持ったのであります

内容では、大きく二つに分けられて
京都の祇園祭宵山にまつわる、宵山時空とでも言いたい、
あっちの世界に引きずり込まれるかのような暗い話と、
腐れ大学生どものとんちき騒ぎめいた
嘘宵山を画策するお話になっていまして
また、このそれぞれもゆるくリンクしていると
興味深い内容なのでありました
嘘がまことになったといったらいいのか、
なんとも形容しがたい、世の中、何が繋がってるかわからないねと
そういうお話ともとれるのであります

もっとも、魅力はなんといっても、
この嘘宵山と、本当の祇園祭とのリンクっぷりで、
知らない人からすると、本当にあんな不可思議な祭なんじゃないか、
ひょっとすると、裏では本当にタヌキや招き猫が
乱舞してんじゃないかしらと思わされるような
妙なディテール、リアルがちりばめられていて
楽しいことこの上ないのであります
というか、この人、京都と金魚が好きすぎるんじゃないかしら
いいんだけどもさ

個人的に残念だったのは、おいろけとは違う
なんとも魅力的なお姉さんが出てこなかったところで、
これはまぁ、好みの仕事もあろうと思えば
文句も言えないのでありますけども
物足りないと思えてしまったのであります、
そもそも、そういう作家さんではないようにも思うので
私がないものねだりをしているのかもしれない

と、感想ともいえぬ愚痴めいたものになってきたので
このあたりで終わろうと思いつつも、
ともあれ、煌びやかな宵山の風景を文章で読ませてくれて、
それでいて、なんか物悲しい、独特の感覚、
京都というよりも、日本的な闇も感じられて
楽しかったのでありました
京都も怖いところだなぁなんて、
柔らかいことを言っておきたくなるのである


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