蔭の棲みか 作:玄月
結構前の芥川賞受賞作品
なんとなし読んでみたんだが、いわゆる芥川賞っぽさはもちろんだが、
そういった人間性や、社会性みたいなものにも時代というのが色濃く出るんだなと
小説の情景をはっきりと、古い、あるいは、今ではない現代劇だと思い知らされて
小説内容と違うところで驚愕したのであった
内容としては、大坂にある朝鮮人部落の出来事といった感じで
この設定そのものが、すでに現在存在していなそうなのと、
そこでの特殊ともいえる状況や、哲学のような人間の信念が
これまた、古いといっていいのか、独特のそれで、根元的にはみなに備わっていそうなと
そういう感じのようでもあるのだけど、現在、これは無い側の話しになっているのではと
ともかく、社会、人間というのは変化しているんだなというのが
よりそれを純化させた物語だからこそか、とても強く感じたのでありました
戦後から現在に向かってくる途中、
確かにそういった部落があって、アナーキーな世界があって、
そこ特有の臭いというか、風習や怒り、鬱屈としたものが間違いなくあったろうと思うのだが
今はそれの形というか、色が変わったように思えて、
書かれている、ある種の差別などの触れられる何か、抵抗の礎みたいなものが
現在には違うものになっているというように感じられて、
当時読んでいないからこそ、その怒りの明確さというか、はっきりと見えるようになったと
読みながら感じたのでありました
独自の文化といっていいのか、そういう世界観、あるいは集落があったんだろうなと思わされる
昭和異聞、いや、もしかすると平成異聞といえるそれなのか、
間違いなく当時の文化世相が描かれて、切り取られていると思うのだが
今はもうない怒りの残滓みたいなものを読んだと思えて
なんというか、実に不思議な気持ちを抱いて読み終えたのでありました
はっきりと怒りだとわかるのだが、それを支えていたというか、
見えやすくしていた対象が消えたような現在でも、
多分この熾り火は続いているのだが、その違いがないはずの差異がとても不思議だった
結構前の芥川賞受賞作品
なんとなし読んでみたんだが、いわゆる芥川賞っぽさはもちろんだが、
そういった人間性や、社会性みたいなものにも時代というのが色濃く出るんだなと
小説の情景をはっきりと、古い、あるいは、今ではない現代劇だと思い知らされて
小説内容と違うところで驚愕したのであった
内容としては、大坂にある朝鮮人部落の出来事といった感じで
この設定そのものが、すでに現在存在していなそうなのと、
そこでの特殊ともいえる状況や、哲学のような人間の信念が
これまた、古いといっていいのか、独特のそれで、根元的にはみなに備わっていそうなと
そういう感じのようでもあるのだけど、現在、これは無い側の話しになっているのではと
ともかく、社会、人間というのは変化しているんだなというのが
よりそれを純化させた物語だからこそか、とても強く感じたのでありました
戦後から現在に向かってくる途中、
確かにそういった部落があって、アナーキーな世界があって、
そこ特有の臭いというか、風習や怒り、鬱屈としたものが間違いなくあったろうと思うのだが
今はそれの形というか、色が変わったように思えて、
書かれている、ある種の差別などの触れられる何か、抵抗の礎みたいなものが
現在には違うものになっているというように感じられて、
当時読んでいないからこそ、その怒りの明確さというか、はっきりと見えるようになったと
読みながら感じたのでありました
独自の文化といっていいのか、そういう世界観、あるいは集落があったんだろうなと思わされる
昭和異聞、いや、もしかすると平成異聞といえるそれなのか、
間違いなく当時の文化世相が描かれて、切り取られていると思うのだが
今はもうない怒りの残滓みたいなものを読んだと思えて
なんというか、実に不思議な気持ちを抱いて読み終えたのでありました
はっきりと怒りだとわかるのだが、それを支えていたというか、
見えやすくしていた対象が消えたような現在でも、
多分この熾り火は続いているのだが、その違いがないはずの差異がとても不思議だった