CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】五感で学べ

2021-12-11 21:05:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
五感で学べ  著:川上康介

全寮制の農業に関する専門学校に密着した
ドキュメンタリー的な読み物でありました
10年以上前に書かれた内容ではあるものの、
多分ここは、昭和で時が止まっているようで、
今でも、同じような生活が繰り広げられてんじゃないかと
思ったりするのでありました

専門学校というジャンルが、正直よくわかってなかったと
読んでいて反省でもないが、知らないと気づいたんだけど、
学位とかではなく、本当に技術を学ぶという学校で、
農業に関するそれこれを実技というか、実習で一年間みっちりやるスタイル
高校出たての農家の息子が多い中で、
大学いってから学びにくる人や、就職難にあえいでとか、
諸々の生徒たちが出てきて、群像劇でもないが、
それぞれの生き方もクローズアップされていて面白かった

授業というか、実習内容は、相当に過酷で、
どうやら、農業の基礎を学ぶということではあるけども、
実践とはまた異なるというか、
それよりは、ここでの寮生活により、自分が農家としてどうなるべきか、
あるいは、全国の農家見習いたちとの共同生活で友情を形成することが主眼のようで
そこに気づいて、人間的に成長していくといったところが
この本の著したテーマであったように思う

著者も40超えて参加したらしいが、
あえなく撃沈というか、大変であったということが
ありあり伝わってくるところは面白かったんだけども
生徒の中に、京大を休学して学びに来たという人がいて、
その人の揺らぎというか、迷いというのがドキュメンタリとして一番面白かったのでありました
結局彼がどうしたのか、それは記されていなかったので残念なんだけども、
農家の若い子たちとの共同生活なんて、
色々考えると、かなりしんどいことだったであろうと思えたんだが、
そのゆらぎが、人間ぽくて面白いなと思ったのである
この本題とは関係ない

一年間で、人間がめきめき成長することを
肌で感じられるような生活を送ることがわかったんだが、
最近の若い子はというのとは別だけども、
農家の係累以外で、この学校で学ぶというのは
結構難しいのではないかと思わされたのでありました

学校であるんだが、本当の意味での学校というか、
人脈を作るという場所としての価値が高そうというところが
目新しいというか、すごいところだなと思うのと
昭和初期の日本文化をいまだに醸成し続けているところなんじゃないかと
体育会系とはまた違う、そういうジャンルを見たように思うのであった