CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

金の仔牛

2013-04-22 21:05:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
金の仔牛  作:佐藤亜紀

以前に、醜聞の作法という小説を読んで
これは面白い、すばらしい小説家さんだと
小躍りした記憶がよみがえり
作者さんの名前で買って読みました
今回もやっぱり面白かった
抜群であります

内容は、前回のそれとは扱うテーマは違うものの
戯曲方式というのか、台詞主体で、舞台脚本のような
ステキなスタイルで進む、一つの物語という按配であります
私の脳と相性がいいのか、ただ単に
作者さんの文章力が凄まじいのか、わかりませんが、
読んでいるだけで、ありありと情景が浮かぶような
そんなわかりやすいけども、面白い
単純なそれとはまったく違うのに、どんどん進めたくなるといった
ステキ文章に引き込まれていくのでありました
取り扱う内容は、中世?近代か?ともかく
ルイ王朝あたりのフランスでありまして
そこでおきた、あるバブルの話でありました
多分史実なんだろうと思ったりもしましたが
それはそれとしながら、今現在の経済状況と
一つもかわりはしないその悲喜こもごもというか、
信用取引という魔物を描いていて
経済小説のようでもあって、非常に面白かったのです

ある盗人が、ひょんなことから
怪しげな投機家(投資家とはいいがたい)にほだされて、
ひょいひょいと、ステップアップしていく
まさに夢物語を基準としているお話です
そこに絡む、様々な悪党やら、女やら親方やら悪人やら
キャラクタも面白く、展開はなんというか、
はらはらするものの、小気味よく進み
あれよあれよとクライマックスに到達といった按配
非常に面白い小説でありました

ただ、そんだけ褒めておきながらアレなんですが、
ちょっとしっくりというか、もう一つ、
すかっとしない感じで終わってしまうのが
なんとなし残念でありながら
それは、そういうものかなとも思ったり
なんというか、もう一声ほしかったような気がしてしまう
そんな感想を書いてしまう
ただ、それをしたら、ただの娯楽小説になってしまって
それはそれで駄目なのかしらんとか
あれこれ思ったりなんだったりでありました

まぁ、ともかく、凄く面白かったからいいやと
そういう按配でありますが
経済と、中世ヨーロッパと、喜劇と、男と女の話
それらがうまくまとまって読めて
なんだか楽しいそれなので
誰かに勧めたいなんて、考えてしまうのでありましたとさ
よかった