CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

白鍵と黒鍵の間に

2009-05-11 22:22:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
白鍵と黒鍵の間に  著:南博

珍しい本を読みました
JAZZピアニストの自伝というような本であります
寡聞にして著者がどういうピアニストなのか
全く知らなかったのでありますが
本は凄い面白かった
久しぶりに、なんというか、何も考えずに読んで
読み終わった後に何か考えないと、と
反省というか、何かパゥワーを貰えるような
ステキな本であります

別段スピリチュアルなわけでなくて
ただ、このピアニストがどういう境遇で青春を送ったか
それが書かれていて、最後にJAZZの本場
アメリカに旅立つところで終わる随筆集になってんだが
その様々なエピソードがどれもこれも凄い

音楽で飯を食いたいと思って
様々錯綜した中、キャバレーの伴奏をしたり、
演歌の伴奏をしたりと過ごしつつ、
音楽大学に入りたいが、実力から妥協して、
ピアニストなのに打楽器科に入学してみたり
その在学中に銀座でバイトを初めて
怖い人たちと、様々なことがあったりして
だけど、その銀座で、バブルで、何もかもが狂ってた中で
捨て鉢じゃないんだが、若いからこそ
そういうのに揉まれて、もみくちゃになって
でも悩んで

そういう描写がずっとずっと続き
面白いエピソードもたくさんあるんだが
どこか、すっきりしない気持ちを抱えながら
それでも銀座の夜を生きていたという話があって

ある時、夢を思い出したというべきか、
アメリカ留学をしようと決めて
そのために銀座のピアニストを辞める
そのために仁義を通すという話とか
なんか、漫画みたいなんだが
すげードラマチックかつ、いい話だなー
そして、若いってのはこういうことをするんだなぁとか
結局二十代後半くらいでそうなってたような気がするので
今の俺とはちょっとしか、いや、
そのちょっとが凄い大きく違う気がせんでもないが
ともあれ、旅立っていく

これを読むと、うらぶれている自分を見つめ直して
なんか、みみっちいことで
うじうじしているのが馬鹿馬鹿しくなるなと
思えたりする、ステキな本であったのでございます

JAZZ好きなんだが、楽器なんざ弾けることもなし
練習はちょっとしてすぐ挫折というほどでもない
飽きたという状態になった自分が
こういうのにほだたされるというのは
ごく当たり前なんだが、その浅いというか
うすっぺらさも、気持ちよくなれるというか
うわぁ、こういうのじゃなきゃダメだろうと
何度目かの感動を呼び起こされたので

秀逸だったと記録しておくのであります
単純に銀座の夜をピアニストが語るという題名にしたって
随分面白いものだと思うのであります
ステキだなぁ、アーティストというか
すげぇなぁ、自分に不満と妥協ができないひとわ

最終的に、昔は恥ずかしいと思っていた
銀座の音楽を弾いてしまう自分も
アリだと思えるようになったというあたりが
JAZZピアノってすげぇと、感心したフレーズであります