CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

抜討ち半九郎

2005-01-22 12:33:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
抜討ち半九郎を読み終えました
池波正太郎のステキ短編集ですが
いや、本当、マジでステキ短編
この前に、剣法一羽流を読んでいたんですが
まぁ、そっちもそこそこ面白かったけど
なぜか、あんまさんの話しか記憶にないくらいでしたが
今回の短編集は違う、すげぇ

さいころ蠱で泣いた泣いた

渡世物が多い短編集ですが
その渡世物の世界観とかが、凝縮されていて
非常に大衆時代小説として読みやすかったのも好印象なんだが
さいころ蠱の敵討ちを絡めた人情の悲喜こもごもが・・・・
オチの所で、まさかそんなことだなんてと
思っていた事と逆のところを突かれて
不覚にも電車の中で、読みながら泣いてしまったというお話

すげー、時代小説ってのはこうやって書かないといけないんだねぇ

と、その見本でもあるような
また、大変読みたかった、忠臣蔵の吉良様視点
いやさ、赤穂浪士を敵とみなす視点からの小説
清水一角
正直、忠臣蔵もドラマでちょろっと見てきただけなので
どこがどうなのかさっぱりわからなかったんだが
池波正太郎先生の時代から既に、赤穂の落ち度も検証されていたのだと
感服した上に、仇物として、また男の人情物として
抜群のレベルであります
はっきり言って面白い、清水一角という剣客(ちがう)が
どんな男だったのかが、端的に標されているだけだというのに
惹かれるキャラクターになっている

敢えて、吉良ではなく清水一角という視点が
また面白いのであります

この他、現代物もあったりして読み進めるにゃ
充分面白い、また、司馬先生みたいに
そこはかとなくエロいことも無いので
お子様にも安心して進められるステキ小説でありました

庶民思想と敵討ちと市井の風俗
それらが入り交じって、凄くいいところで
形になったという感じの一本
そろそろ時代小説デビューという人には
うってつけだろうと
もはや、どこの回し者かわからない風潮で
語っておきますよ、ステキ