
今日は9月11日。
あの、9・11から、7年が経ちました。
忘れもしない、宇都○隆さんのツアー・リハーサル中で、スタジオで少し残って作業をしていた時でした。「ケン坊!ちょっとちょっと」と、スタッフさんに呼ばれて、ロビーに行くと、テレビが慌てた様子で煙の上がるビルを映していました。「え、何これ?何が起こってるの?」と思った次の瞬間、二機目の飛行機が突入。
「!!」
その日は家に帰っても、夜通し、震える思いでテレビを見続けてました。
あの事件の真相は・・・色々と言われていますが、本当の所は未だ闇の中。今ここで論ずると長くなるのでやめますが、とにかく僕たちはあの日、歴史に残る大事件を目にしたのです。そして、あの事件をきっかけに、また新たな憎しみの連鎖が、戦争が始まり、その残り火はあれからずっと、今でも燃えています。
どのような形で、終止符が打たれるにせよ、すでに沢山の犠牲者が出てしまったこと、そしてこれからも犠牲者が増え続けるであろうことは、間違いありません。
つい先日、「夕凪の街 桜の国」という映画を借りてきて観ました。「観よう、観よう」と思っていたのですが、タイミングを逃してしまっており、今更ながらなのですが。きっとご覧になった方も大勢いらっしゃるかと思います。
広島に原爆が落とされてから13年後の広島を舞台にした「夕凪の街」、そして、現代を舞台にした「桜の国」。お話は、価値観や生活が全然違う時代の、しかし決して別々ではない、二つのお話で紡がれます。
僕も、「この映画は、原爆を扱った話なんだよな」って知識だけで観ましたので、これ以上は、あまり僕の拙い言葉であーだこーだ書きたくないのですけれども。
ただ、これはお勧めします、というのではなくて、
「どうか観てください。」
と、お願いしたい一本です。
僕、近年で一番号泣しましたです。・・・悔しくて、切なくて、やりきれなくて。
原爆や、被爆者を扱った映画は多いですよね。でも、この物語は、おそらく今まで見過ごされてた視点が入って、描かれていた点が大きかったです。
特に素晴らしかった前半の「夕凪の街」編ですが、このラストでの主人公のセリフには、心底ドキッとさせられました。「あぁ・・・そうか、・・・そうなんだよな」って。もう、ヒックヒック大泣きしながらでしたけれども。
日本は原爆の被害に遭った。
それは間違いないです。何があろうと許せない・・・悲劇です。しかし、やっぱり問いたい。・・・なぜだったのか、と。あの頃、実際世界では、どんな「空気」が流れていた中で、あれが投下されたのか、ということです。それが、この映画で、主人公の口を借りて、まるで子どもに話しかけるような穏やかな口調で、そしてとても少ない言葉で(しかし核心を突いて)語られます。実に、真に迫るものがありました。
以下のひと段落は、ちょっとネタバレになってしまうかもしれませんが、気付いていただきたい大切なポイントなので、やっぱり書きます。あ、だからと言って、映画の感動は薄れないと思いますので。
僕たち日本人はあの頃、誰かに『死んでしまえばいい』と思われていたんです。そしてそれは原爆を落としたアメリカや、参戦していた連合国に、ということだけじゃなくて・・・、それまでの日本が参戦してきた戦争を通して、日本に対してそういう感情を持つに至っていた、すぐ近くの国々の人たちにも・・・。これには、愕然といたしました。「考えてみれば、・・・そうだよな、そうだったんだろうな。」と思いましたけれども。僕には、原爆投下と、それ(つまり、自国のなしてきたことの結果)が、どうもちゃんと同軸に考えられていなかったんです。反省しました。
「夕凪の街」編は、ストーリー・テリングも秀逸ですが、それにも増して、主役の麻生久美子さんの演技が神懸かっていると思いました。パーフェクト、です。そして脇を固める、伊崎充則氏(黒澤映画でもお馴染み)、吉沢悠氏(初見でしたが、とっても好印象でした)も、とっても素晴らしい演技を見せてれます。これぞ、役者の演技、といった感がありました。
「桜の国」編は、・・・「夕凪の街」編が良すぎた、というのもあると思うですが(キャスティングを筆頭に、所々ちょっと疑問が)、しかし物語のテーマとしては外せない重要なドラマです。被爆者はもとより、被爆者の家族にまで及ぶ差別問題は、被爆していない僕たちにはなかなか実感できないものだけに、考えさせられます。広島、長崎、という街が選ばれたという事自体、先日も書きましたが、あまりにも偶発的要素があったものだけに。
とにかく、「次の一本、決めてないな」という方は、是非これを。ほんと、お願い、しちゃいます。

鑑賞後、原作本(漫画)も手に入れました。色々とレビューを読んでいたら「原作が素晴らしいので」という批評を沢山見ましたもので。
でもね、確かに原作を知ってから観るのと、観てから原作に行くのではやはり違うとは思いますが(大抵、なんでもそうですよね)、僕は映画からでしたが、違和感は無かったです。原作を読んでも、主人公が麻生久美子さんに見えてしまってしょうがない、という逆転現象が起きてしまいましたが(笑)、映画で紡がれた物語に特別不備f不足は見当たらなかったように思います(一部キャスティングを除き、ね)。評判にたがわず(・・・レビューの数がすごいです)、とても良い本でしたよ。また、著者あとがきで「劣化ウラン弾」に触れられていたのも印象的でした。
ちなみに、911でのツインタワーの跡地をアメリカ人が「グラウンドゼロ」と呼ぶのには、僕にはどこか抵抗があるんです。
グラウンド・ゼロとは、本来、原爆による爆心地を指してきた言葉です。
どちらも悲劇であることには違いはないですが・・・僕は聞く度に、やりきれない違和感を覚えてしまうんです。
それにしても、・・・悲劇は「なぜ」起こったのか、なんですよね。
悲劇のシンボルとしてグラウンド・ゼロという言葉を使うアメリカは、しかし誰かに「死んでしまえばいい」と、思われるようなことをしてきていなかった、と言い切れるのだろうか・・・。
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さて、明日は、週末の札幌に向けて、
・・・前のめりを計画しております
ヤッパネー。
しかも、今回は、その後も、
・・・無計画にも、少し居座っちゃおうかと
ナニシヨーカ。
ではー。