浅田次郎の同名小説を映画化した作品で、優雅なパリで巻き起こるツアー客
や添乗員たちの騒動を描いた内容です。
パリの一流ホテルに、売れっ子作家・北白川右京(水谷豊)らの豪華ツアーの宿
泊客4人がやって来ます。彼らが外出すると従業員たちは急いで部屋を整理し、
そこには新たなツアー客5人が到着します。倒産寸前の旅行会社が、ホテルの
1つの部屋を2組に同時提供するというツアーの二重売りで窮地を脱しようと企
み、そうとは知らずにツアーに参加した2組の旅行者たちを如何に鉢合わせさせ
ないか、旅行会社の女社長・玲子(田中麗奈)は暗躍します。
右京先生は新作小説の執筆のため、日本語で「王妃の館」を意味するパリの超
一流ホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」に宿泊できるという豪華ツアーに参
加。パリの街にインスピレーションを受けた右京の筆は順調に進んで行きますが、
やがて玲子の計画が綻びはじめ、右京の執筆にまで影響が及んできます・・・。
監督は「探偵はBARにいる」の橋本一監督。キャストは水谷豊、田中麗奈、吹石
一恵、尾上寛之、青木崇高、仲村倫也、安達祐実、緒方直人、石橋蓮司、安田
成美、石丸幹二と豪華そのものです。
浅田次郎の原作(未読)ですから、そんなに悪い筈はないと思うのですが、出来
上がった映画はパリの観光名所を撮ったシーンはともかくとして、何というつまら
ないストーリーに書き換えられています。これは脚色が最悪なのでしょうが、演出
も各俳優の演技にいたるまで、いいところほとんど無しでまるで学芸会です。見
ていて途中でこちらが恥ずかしくなるくらいの稚拙さで、久しぶりに料金が惜しい
と思った作品に出合いました。
どうしてこんな映画になってしまうのか、不思議でたまりません。時間を返せ~~の気持ちよく判ります。
さて、私の本が講談社から出版されます。
タイトルは「スタアがいた季節/わが青春の大映回顧録」で、来月19日の発売です。宜しくお願いします。