
最近は、古代史ブームだそうで、気がついたら、そのブームに巻き込まれつつあるのかもしれない。
特に邪馬台国については、議論が尽きないし、いろんな新たな発掘もあるし、科学技術の発達もあるから、論争に新たな展開が日々重なっていく。
本書は、様々な学者が、テーマ毎にまとめた最新論文を綴ったものだが、研究の最前線というサブタイトルにふさわしい内容になっている。
特に、中国で、見つかった三角縁銅鏡の話や、全国に散らばっている三角縁銅鏡を全て3Dで、収め、今まで不可能だった緻密な比較分析を行った論文など、興味深かった。
まさに、日々前進している。
ただ、邪馬台国が、倭人、倭国とどういう関係にあって、どこにあったかというところになると、議論が噛み合っていないように見える。
各論者が、自分の信ずる道の補強材料を一所懸命探し、逆に反する材料を過小評価しようとし、議論が噛み合っていないようにも思える。
もうちょっと、正面から議論したら、もっと、進展するのでは?
ただ、言えるのは、文献研究では、議論が袋小路に陥っていくことは、わかっているので、新たな発掘結果、発掘物の分析結果を、魏志倭人伝の記載内容と付け合せ、記載内容に合うところ、合わないところを、積み重ねていくことによって、議論の確度を高めていくしかないように思えるところか?
特に、卑弥呼の墓とも言われる箸墓古墳は、わかりやすい例で、この古墳の副葬品を調べれば、かなり新たな展開が期待できるのだろう。
私は、耳学問と、数少ない見学結果から、やっぱり、九州北部にあったのではないのかなという印象を持つのだが、それを覆すためには、近畿に、卑弥呼の時代に、半島との交流があったことの証左がもっと欲しい感じがする。特に、鉄器関連。
参考文献も山盛り乗っているので、本書を起点として、この迷宮入りになりかけている議論に参加してみてはいかが?