
荒れた天候が続いていて、今日は、一日雨かなと思ったら、意外ともったので、江戸東京博物館で開催されている北京故宮 書の名宝展に行っみた。
故宮には何度か行ったが、宝物館にはいつも行きそびれている。そもそもこれだけの物が常設展示されているわけではないだろうが、とにかくすごいお宝が日本に来てくれたものだ。
書の本場の中国の有名な書家の作品は、ほとんど網羅されていると言ってもいいかもしれない。
その中で、一際目立つのは、王羲之の蘭亭序だ。
こんな天気だから、人はそんなでもないだろうと思ったら、とんでもない。
特に有名な書家(欧陽訽、顔真卿ら)の前は、行列になってしまっていて、全部まともに見ていたら、何時間かかるかわからない。適当にスキップしつつ蘭亭序にたどり着いた。
ここの列は、流石に一番長いが、これを間近に見ずして、何のために来たのかわからない。
ということで、30分ほどで待ったであったろうか。じっくり見れた。
この世で、一番有名な書は?という質問に、王羲之の蘭亭序をあげる人は多いだろう。今の学校の教科書には、すべてこの書の写真が載っているという。
以前にも述べたが、原本は、唐の太宗皇帝がお墓まで持っていってしまったから、無い。4世紀の書聖王羲之の書の現物は全く残っておらず、殆どは、拓本で見ることになる。
その中で、今回展示されているものは、臨書で、数ある蘭亭序の中でも一番本物に近いとされているのである。
正直、どこが凄いのかは、私のような素人が見ただけではわからない。最初の方は、上のチラシの写真のようにしっかり書かれているが、後半は、字が崩れてきて、小さい頃は禁じ手だった黒塗りや、上からなぞり書きがしてあったりする。蘭亭序は、実は下書きで、王羲之自身が、清書しようとしたが、この下書きよりいいものができなかったので、これが残ったのだという。
之という字が、20箇所出てくるが、全て書き方が違い、それぞれが、文意に沿った書き方になっているのだという。唐の時代、長安にいた空海の文字は、この王羲之の書き方とそっくりだというから、どれだけ、この書家の文字が愛されていたかがわかる。
中国の名品には、所有していた人達の印が、ぺたぺた押してあるが、この蘭亭序には、本文部分だけでも、35の印が見られる。清の乾隆帝のものだけで、9個もあるという。ちょうど、このチラシにずらりと並んでいるやつだ。乾隆帝自身が印を押すのかわからないが、いい加減にしてもらいたい。ただ、それだけ、この書を愛でたということだろう。
ということで、中国の書の世界を垣間見たい人には打ってつけ。楷書、行書、草書、隷書、何でもあるよ。