議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

観念的競合ってやつのようです

2015年04月15日 15時39分52秒 | ニュースクリッピング
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エバークリーンの
「なんで廃棄物処理法違反が問われないんじゃいっっ!!」的問題
について、産業環境管理協会さんの雑誌「環境管理」に解説が
ありました。

(産環協さんの了解を得てご紹介しています)

今月号(4月号)の23ページの四角い枠の中です。
以下、そこの解説を、ちょっと掘り下げて説明します。

■観念的競合というのは、、、

 1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合(刑法54条1項前段)をいう。
 「一所為数法(いちしょいすうほう)」ともいう。観念的競合の処罰
 については、その最も重い刑により処断するとされる (Wikipedia)

というものです。


つまり、エバークリーンについては、

「低引火点の(特管)廃油を、入れてはいけない施設で処理するという1個の行為」

が、業務上過失致死傷と廃棄物処理法の両方に触れるが、今回は
業務上過失致死傷が重いので、そっちで処断する、ということ
だそうです。
これを1個の行為とみるのか?そうなのかなぁ?とも思いますが、
一応納得です。


実は、重さで言うと業務上過失致死傷罪は
「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」
なので、廃棄物処理法は1000万円以下の罰金で、法人は3億円ですから
廃棄物処理法の方が重いとも言えます。

しかし、実際に人がなくなっているのですから、検察としては
業務上過失致死傷罪の方が求刑を重くできるのでしょう。


■でもなぁ、、

排出事業者の側は、廃棄物処理法違反で送検されています。
http://www.asahi.com/articles/ASH1862WGH18UDCB01B.html

廃棄物処理法違反よりもっとやばい犯罪がセットだったから、
廃棄物処理法違反は問えない→欠格要件も成立せず、というのでは、
法の趣旨からは完全に外れると思います。

ここは、法の趣旨を鑑みて、千葉県が「無許可事業範囲変更」に基づく
許可取り消しを検討すべき(したのかも)ところだと思います。

→違反行為等に対する行政処分の軽重の基準がここにあります
 
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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もちろん、だからと言って裏で色々な動きがあったことが否定されるもの
ではありません。実際、エバーさんが取り消しになったら、社会的な影響は
大きいでしょうから。
メガバンクがつぶれないのと一緒、かもしれません。

エバークリーンのプレスリリース
コメント (1)
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