議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

ビーフカツ横流しとスキーツアーバス問題の類似性と相違点

2016年01月19日 20時48分08秒 | 廃棄物事件簿
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ビーフカツ横流しとスキーツアーバス事故、流行りネタだからと言って
無理やり一緒に取り上げている訳ではない。全く別の話題であるようでいて
基本構造は似ている。が、一方で注目すべき相違点もある。

■類似点

いずれも業界の構造的問題へと話は拡大している。

発注者としては
「ちゃんとやっているはず」
と思っていたが、
「やっていない業者は結構沢山いた」
という話である。

ビーフカツ横流しを受けて、愛知県は県内の処理業者の立ち入りに、
スキーツアーバス事故で国土交通省も他のバス会社を抜き打ち監査
することになった。

つまり、
「品質より価格」
を重視した結果、問題が起こったので、品質をチェックするぞ、
ということになったのである。

なぜ価格重視になったのか。
発注者としては

 ビーフカツ→「持って行ってくれればいい」
 バス→「目的地に着けばいい」

という最低限の品質があれば満足するので、他の差別化要因は
価格しかないからだ。

規制が行き届かない中で価格競争すると、品質が徐々に劣化
していき、臨界点を超えた時に問題として表面化するのである。

対策は、発注者側の意識を変えること。「安かろう、ヤバかろう」
という認識を持って、安心できる業者を選定すること。
そのためには、業者を選定するための情報やお墨付きが欲しいのであるが、
その情報やお墨を準備するのは行政の仕事。

ということで、行政側のチェック機能が重要になってくる。

産業廃棄物については、優良認定制度があるので、それを参考に
できる。
バス会社についても日本バス協会の「安全性評価認定制度」という
ものがある。

ということで、問題業者の取締りまでは行政の手が回っていないのは
仕方ないとして、優良な業者を認定する制度はどちらもあるのだ。

ということは、話は元に戻って、発注者側の意識、知識の問題に
なってくるのだろう。

■相違点
ところが、ここがこの2つの問題の大きな違いである。

 片やBtoC
 片やBtoB

なのである。

Cである大学生がバスの認定制度を知らなかったのは、まぁ仕方ないだろう。

ところが、Bの壱番屋が、そのまま転売できる姿の廃棄品を処理するというのに、
認定どころかまともなHPもない業者に委託しているというのは信じ難い。
現地確認をした結果、それでも安心できると判断したのだろうか。

もう一つの違い、

 片や人が死んでいるが、直接関係のある人は多くない。
 片や死者はいないが、この問題を身近に感じる人はかなり多い。

そして、最大の相違点は、被害者だ。

 片や発注者自身
 片や他人(消費者全体)

なのだ。

半年後、人々の意識に残っている事件は果たしてどちらだろうか。
おそらく、ビーフカツの横流し・転売なのでなかろうか。

我々日本人はこれから、スーパーの陳列棚に日々疑いの目を向ける
ことになるのかもしれない。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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えー、一番悪いのは、「ダイコー」と「みのりフーズ」ですから。
そこんとこ、誤解のないようにお願いします。

それと、食品以外でも横流ししてる処理業者なんて、他にもいますから。
廃棄物の処理を委託する場合は、重々ご注意あれ。

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