第2回はローテンブルクを取り上げます。いきなり大都市から小都市へ飛びましたが、ローテンブルクは日本からのツアー旅行にはかなりの高確率で含まれている、日本人にとってはおなじみの町です。というよりほとんど日本人の御用達観光地化していて、街中には日本語があふれかえっています。ほかの町では中国人がほとんどの団体旅行客も、ここでは日本人が大半を占めます。
赤屋根が連なるローテンブルクの街並み
FFがやりたくなってきます(笑)
ローテンブルクは、日本ではロマンチック街道のハイライト、ほぼ中世のままで残っている町として紹介されています。ですが、私は行って初めて知ったのですが、実際にはローテンブルクは第二次世界大戦の空襲で甚大な被害を受けました。306棟の家屋が全壊、52棟が半壊し、城壁は750メートルほどが破壊されたそうです。
現在、城壁は完全に旧市街を囲っていて、その大部分を歩くことができますが、東側の城壁を歩いていると、おそらく修復・維持費用の出資者の名が刻まれた石版がはめられています。空襲を受けた歴史を知ってか知らずか、プレートのかなりの割合を日本企業ないし日本人の名前が占めています。ローテンブルクは日本でもっているんじゃないかとすら疑わせるほど日本があふれています。
奥はデパートで手前は個人
さて、私の手持ちのガイドブックに載っていないおススメは、町の北門にある聖ヴォルフガンク教会です。この教会は、城門や城壁と一体化しているので、教会なのに壁に銃眼が開いているというちょっと不思議な特徴をもっています。また、カゼマッテ(英語でいうケイスメイト)と呼ばれる地下兵舎もあり、教会なのに中世の戦争の雰囲気をもっとも色濃く残している箇所といえます。銃眼の並ぶ廊下の一角には、第二次世界大戦でのローテンブルクの様子が写真と文で展示されていて、町の歴史を知る上でも訪れる価値はあるかと思います。
城門と一体化している聖ヴォルフガンク教会
窓が銃眼になっている教会の廊下
余力のある方は、町の西を流れるタウバー川へ降りるのもお勧めです。ローテンブルクは、正式名称をRothenburg ob der Tauberといい、「タウバー川の上のローテンブルク」という意味です。その名の通り、町の西の城壁伝いに歩いていると、川が結構谷底を流れているのがわかると思います。とはいえ、川沿いへ降りるのはさほど大変でもなく、谷から川越しに見上げる町もまたオツなものです。川沿いの道は、街中の喧騒が嘘のように静かでのどかです。ドイツ人は散歩や自転車が大好きですから、人影も少なくありません。逆に規定コースを外れたがらない日本人はほとんど見かけません(笑)。
タウバー川沿いから市街を見上げる
最後に、お酒が好きな方は旧市街内にある(おそらく唯一の)ビール醸造所を訪ねてみてはいかがでしょうか。旧市街の北東、GalgengasseとSchmidtsgäßchenの角にある、その名も「ローテンブルク醸造所(Brauhaus Rothenburg)」です。敷地内で詰めたての小売もしており、併設のレストランで作りたてを味わうこともできます。ワインと違って、すぐに飲み干してしまうビールはお土産には向きませんが、地ビールの飲み比べはドイツ旅行の楽しみの1つといえます。