関東では桜もほぼ終わりましたね。今年も天気が何とも読めず、近所の桜を愛でることはしましたが、花見に遠出することは、結局しませんでした。
代わりに、というわけではないですが、いまさらながら今シーズン1回だけ行ったスキーの話を。年甲斐もなく夜行バスで行ったのですが、当然ながら周囲は瑞々しい学生ばかり(笑)しかも、我が習性としてマイナーなスキー場を選んだので、早朝から私独り放り出されるという始末でした。
訪れたのは新潟県と長野県の県境にある妙高高原。といっても、リゾートらしい赤倉温泉や池の平温泉ではなく、杉野沢といういかにもな感じのところです。ここには子供の時に2度ほど来たことがあるのですが、それ以来20年弱ぶりの再訪でした。もともとマイナーなうえに、月日は残酷に流れ、リフトの数は往時の半分くらいになっていました。
それでも私がここを選んだのは、コースがとても素晴らしいと記憶していたからです。とくにメインのパノラマゲレンデは、長さはあるのはもちろんのこと、幅も200mはあります。他人とぶつかる方が難しいくらいです。コースのはじに張られるネットもないので、日が昇り切らない時分に滑ると、一面の白世界でコースはおろか傾斜すら見失うほどです。
眺望も素晴らしく、晴れていれば眼前に黒姫山や野尻湖が望めます。百聞は一見にしかずで、そのあたりの写真を何枚か。
パノラマゲレンデ(笑)
黒姫山を望む
同上
野尻湖方面の眺望
突き抜けるような青空…とはなりませんでしたが、気分は爽快そのものでした^^
3枚目の写真をご覧いただければ、もしかしたらお分かりになるかと思いますが、前の夜にしんしんと雪が降り、ふっかふっかのパウダースノーがほぼ非圧雪の状態でした。登るときに、上の方は圧雪していません!とあらかじめアナウンスされていたので、はじめは「きっぱりとした経費削減宣言だな」と思いましたが、別の理由があることが後ほど分かりました。
何はともあれと頂上を目指すと、私の目の前には轍ひとつないまっさらな雪の平原が!頂上にたどり着いたのは私が一番乗りというわけではなかったのですが、私の前にいた人たちは別のコースに回ったらしく、このコースにその日最初に足をつけたのが私だったようです。誰かに先を越されては勿体ないと、写真を撮るのも忘れて滑り出すとと、ひざ下まで新雪に埋もれながらも、あまりに軽い雪なので躓いたり足を取られたりすることなく、かといってそれほどスピードも出ず、もそもそと進んでいきます。今までにない新感覚でした。
途中で一息ついて、ただ一筋だけついた轍を振り返って満足していると、ちらほらと後続がやってきました。やがて、私を颯爽と抜いていった彼らは、みんなスノーボーダーでした。当然ですが、新雪の上ではボードの方が圧倒的に有利です。そして、下まで降りでもう一度あの感触をと思い、リフトでまた頂上まで登ると、なんとすでにコースは適度に圧雪された状態になっていました。
そうです!もはやわざわざ重機で時間と経費をかけて圧雪する必要はなく、ボーダーがひと通り滑ってしまえば、スキーヤーも納得の最高のゲレンデができてしまうのです。先のスキー場の「非圧雪」宣言は、単にお金をケチっているのではなく、圧雪にかかる手間も時間も節約でき、かつボーダーにはパラダイスを提供できて一石三鳥というわけだったのです。スノーボードが流行り始めてから20年以上、初めて実感としてボードの存在をありがたいと思いました^^;
ボードについてもう1つ感じたのが、もはやスキーヤーの天敵であった時代は過去のものになったということです。そもそも全体のプレイ人口自体が減っているというのもありますが、今のボーダーはみんな上手です。流行り始めの頃は、誰もかれもゲレンデのあちこちに座り込んで動かないので、やれ馬糞だ芋の煮っ転がしだと揶揄されたり、ひどいときには最初に教わるべき転び方も知らないのか、キャーキャー喚きながら真横から激突して来たり、それはそれは酷かったように記憶しています。ですが、今回完全にスキーヤーよりボーダーの方が多かったにもかかわらず、どちらがどうと気になることもなく快適に滑ることができました。
これは、単にボーダー全体のレヴェルが上がったということだけではないように思います。ボードが「流行」として爆発的に広がったとき、多くの若者は「カッコいいから・モテたいから」という一心で手を出していたはずです。ところが、努力をするには動機が弱いですし、ちょうど骨が固まった年頃で新たな動きのスポーツを始めるわけですから、そう簡単に上達するはずもなく、ただただスキーヤーに邪魔者扱いされる結果になっていました。
あれから20年以上。今のゲレンデを闊歩する若者プレイヤーは、ほとんど全員物心ついたころには、すでにスキーもボードもどちらも好きに始められる状態にあったはずです。すなわち、カッコいいとかモテそうとかではなく、純粋に面白そうな方を選ぶことが(あるいは両方やってみることが)でき、まだ体も形成期で何でも新しくやれる時期に覚えた世代ということになります。そう考えると、ボード黎明期に20代だった先輩方と、今の20代の若者たちとでは、根本的に違うように思います。
いずれにせよ、若者を邪魔だと感じながら縫うように滑るよりも、「若さ」に雪煙を上げながら抜かれている方が、自然ですし気分はずっと良いものです。などと書いていて、早くも来シーズンが楽しみになってきてしまいました。その前に、まもなくはじまるであろう酷暑を乗り切れるかどうかですが^^;