塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

秋風人情奥尻島:後編

2017年11月28日 | 旅行
  
翌日はバスで奥尻島南端の青苗地区から東岸の奥尻地区へ向かいました。離島ということで簡単に周回できてしまいそうに感じますが(事実そう思っていましたが)、実際には1周約65kmもあるかなり大きな島です。ロードサイクリングでも、奥尻島をぐるっと走るのはおそらく1日がかりでしょう。しかしながらほとんど山と崖なので、人が住めるところはごく限られています。大きく分けると、南の青苗に東の奥尻、そして西の神威脇と北の稲穂という4つの地区とその周辺に人家が集まっています。

バスは完全に島民の生活用で、早朝と夕方の通学時間帯とその間の1日4~6本しか走っていません。奥尻方面へのバスは、8時台の次はなんと11時台まで待たねばなりませんでした。8時台に乗ることもできたのですが、せっかく島に来たのに時間に追われるのも嫌だったので11時台まで待つことに。とはいえとくにすることもなく、街中を歩き回ったり海をただ眺めたり。「なんでこんなところに?」と言わんばかりの土地のお父さんとお話したりしました。

バスに30分ほど揺られて着く奥尻地区は、町役場やフェリー港に大きな病院などがある、島でもっとも繁華なエリアです。そのさらにメインの交差点のバス停には「奥尻十字街」とシャレた名前が付けられていますが、もちろん離島らしいささやかさです。とはいえ歩いてみると結構お店があり、青苗から来るとなかなか立派な市街に見えてしまうから不思議です^^;


奥尻十字街の交差点


ここで私は自転車をレンタルして観光することに。借りるときに鍵をもらわなかったので訊いてみると、誰も盗るヤツはいないから要らないとのことでした(笑)。観光といっても、帰りは15:45のバスが最終だったので、行ける範囲は限られてしまいます。北はアイヌのチャシコツ(砦跡)という宮津弁天宮に、南は奥尻島のシンボルなべつる岩まで。そしてフェリー港と奥尻市街の探索をしておしまいといった具合でした。


チャシ跡とされる宮津弁天宮



奥尻のシンボル「なべつる岩」



着岸中のフェリー
入港時にはゆるキャラのうにまる君がお出迎えするそうです



途中で振り返って撮った島の風景
本当に平地が限られています



島の風景その2



奥尻町役場
どことなく情緒を感じます


帰りのバスは、島唯一の高校から下校する生徒たちでいっぱいでした。こういっては失礼ですが、これだけ若い世代がいれば、いくらか島の未来にも希望がもてるのではないかなと思います。

翌日のお昼の飛行機で帰路に就いたわけですが、宿を出た私はまず、岬にぽつんと建つ水産加工業者直営のお店でお土産を購入。そんなにたくさん買ったわけでもないのですが、もうけ分が飛んでしまうのではないかというくらいあれよこれよとオマケをいただいてしまいました^^;

そこから踵を返して、歩いて空港へ。なんとも不思議な感覚でしたが、徒歩でも20分くらいしかかかりませんでした。空港のロッカーにとりあえず荷物を預けて、また20分ほど歩いて島にもう1つあるというチャシ跡へ。とはいえ、そんな話はここでは面白くもありませんね。ただ、途中に実のたわわなる田んぼとブドウ畑が広がっていたのが印象に残っています。奥尻では島産のブドウで奥尻ワインが造られています。呑兵衛の私ともあろう者が、奥尻米の地酒は賞味したものの、奥尻ワインは飲みそこなってしまいました。


奥尻島の田んぼ



チャシ跡を求めて


とくに観光の目玉というようなものがあるわけでもない奥尻島ですが、何とはなしにまた来たいと思わせる、そんな静かで穏やかなところでした。