コペンハーゲンの西に、ロスキレ(Roskilde)という人口5万人ほどの静かな街があります。鉄道で30分足らずですから、都心から郊外の自宅に帰るというくらいの距離でしょうか。
ロスキレ駅。とくに何の変哲もありません。
ここはコペンハーゲンよりも歴史が古く、ヴァイキングの港町だったといわれています。地図を見ると、コペンハーゲンのあるシェラン島に細く深く入り込んでいるフィヨルドの最奥部に位置していて、ヴァイキング船などの中小型船にとって天然の良港だったのでしょう。現在はヨットハーバーはあるものの、商業船などは入ってこれないようです。ロスキレの旧市街は、この旧港から緩やかな坂を登った丘の上にあります。
ロスキレとコペンハーゲンの位置関係
駅が旧市街に隣接しているのも観光の利点で、中心のステンダー広場までは歩いて10分とかかりません。
中央広場にあたるステンダー広場
まだ朝なので人影はまばら
この写真の右手奥に見えるのが、ロスキレ最大の観光スポットにして世界遺産の大聖堂です。コペンハーゲンが発展するまではロスキレにも王宮があり、ロスキレ大聖堂は今日まで続くシェラン島唯一の大聖堂だそうです。
もう1つの観光の目玉が、波止場にあるヴァイキング博物館。ロスキレの湾からはヴァイキング船が5隻見つかっているそうで、こちらに展示されているそうです。建物の前にはレプリカと思われる船が浮かべられています。
と、紹介したはいいものの、実はどちらも中には入っていません…。というのも、入館料が日本円にすると3000円近くにもなります!デンマーク(というか北欧)はとにかく物価が高い!><それでいてスーパーでビールを買うと1本100円台とかなので、高いのはやはり税金ということなのでしょうか。たとえ世界遺産とはいえ、たとえ次また来る機会があるか分からないとはいえ、さすがに3000円は費用対効果に見合わないと断念した次第です。
博物館前の公園は爽やかなれど…。
このままでは良き観光客とはいいがたいので、ひとまず中央広場の観光案内所を訪ね、ほかに見るところはないかと尋ねてみることに。このときまだお昼も回っていなかったのですが、もう博物館も大聖堂も行ったのかと驚かれてしまいました。スミマセン…行きましたが、入ってはいないのです; ;
…とは言えず、いろいろ聞いてみた結果、旧市街のメインストリートを西に抜けて「工芸博物館(Håndværksmuseet)」というところへ行ってみることにしました。ところが今度は場所が分からず苦労することに。地図にある場所を歩いてみてもそれらしいものが見つかりませんし、何よりデンマーク語が読めません。裏路地のような小道にまで踏み入ってみたら、小学校の勝手口のようなところに出てしまいました。
ここで誰かに見つかったら怪しい人だよなぁ…と思っていたら、本当に地元の人とバッタリ!当然ながら「こんなところにアジア人!?」という感じの表情をされていたので、地図を示して説明したところ、「それならついておいで!」と手招きしてくれました。この出会いがなかったら、さしもの私でも辿りつけなかったかもしれません。
その人はまた別の敷地の勝手口のような扉を開けて中庭に通すと、その脇の建物を指して、それだと言って去っていきました。その建物も博物館らしくは見えず、表通り側の出入口もガレージのようで、分からないのも無理はないなと思いました。
こちらが工芸博物館
ちょっと入るのに躊躇しましたが、ここまで来たら行かないわけにはいきません。いざ入ってみると、誰かが常駐しているわけではなく、見学したい人はボタンで呼ぶシステムになっていました。まもなく年配の女性が現れて、ハイハイハイと展示室の電気を付けてくれます(笑)。で、見終わったらまた呼んでくれと戻ってしまいました。
こんな経緯なので内容についてはあまり期待していなかったのですが、どっこいこれが私にはなかなか面白いものでした。主に木工に関する資料で、いろんな種類の鋸やノミのような道具が並べられています。
一見すると無造作かつ乱雑なのですが、よく見てみると、
木靴の製作工程が見られたり、
北欧にもカンナってあるんだ!
とか、新鮮な感慨がありました。で、見終わった後にちゃんと部屋の電気を落としておばさんを呼びます。せっかくなので、自分が日本人で日本は木の文化なのでとても興味深かった旨を伝えてみたのですが、残念ながらおばさん自身が逆にあまり関心がないような反応でした^^;
ということで、これで一応ロスキレを観光した(?)と、いったん中央広場に戻ります。人が増えた昼下がりの広場でビール休憩して、ぶらぶらと駅へ向かいました。
コペンハーゲンのドミトリーで3泊した私は、ヴァイキング博物館の入館料とほぼ同じ値段のLCC航空券でイギリスへ。ということで、次回はイギリスからライという街を取り上げたいと思います。
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