塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

ドイツの車窓から~貴方の旅行に一振りスパイス~ :「ハイデルベルクと古城街道」

2012年09月20日 | ドイツの車窓から
   
 今回はハイデルベルクを取り上げます。といっても、メインはそこから伸びる古城街道になると思いますが^^;

 ハイデルベルクは歴史ある大学町・城下町として知られ、日本人にとってもドイツでもっともポピュラーな観光地のひとつです。ただ、前回紹介したローテンブルクと大きく異なるのは、日本に限らず数多くの国からの観光客がいるという点です。ツアー客も、ダントツで中国人が多くなります。

 
ハイデルベルク城から眺める旧市街


 私は訪れるまで、ハイデルベルクは大学町ということからそれほど大きくはない町だろうと勝手に想像していました(私だけかもしれませんが)。ですが、実際には結構大きな都市でなおかつ東西に細長い町なので、中央駅から旧市街までかなり距離があります。したがって、いつにもまして駅近くのホテルはまったくお勧めしません。なるべく旧市街に近いところに宿を取った方が良いと思います。

 さて、ハイデルベルクを組み入れている方のプランを見聞きしていると、結構過密スケジュールになっている場合が多いようです。一番の観光ポイントの城は丘の上にあるので独立した時間を割かなきゃないですし、城下町や学生街は歩き回るだけで楽しいですし、定番の川の対岸からの写真も撮りたい。でも都合上どこかで時間を削らなきゃ、という事態が生じるかもしれません。

 そんなとき、私だったら真っ先に哲学者の道(Phirosophenweg)を削ります。これを模したのか、京都に哲学の道があるために、なんとなく日本人なら行かなければならないような気になります。ですが、京都の哲学の道がほぼ平地にあるのに対して、哲学者の道は山の中腹にあります。結構な坂を上らなきゃないわけで、時間・体力ともにそれなりに消費させられます。上りきった先からの眺めは確かにすばらしいのですが、上から見た街並みは向きは違えど城からも眺められます。逆に、哲学者の道まで登らず川岸を歩くだけでも、対岸の街並みや城の美しい写真は撮ることができます。 もちろん、個人的意見に過ぎないのであくまで参考程度に受け止めてください。
 
 
川岸からの写真。十分キレイでやんしょ?


 一方、反対に1日単位で時間に余裕があるという方には、古城街道サイクリングをお勧めします。古城街道は、ハイデルベルクのちょい西のマンハイムからスタートし、ネッカー川沿いに遡って、ハイルブロンという町の手前で東に折れて山の中へと進んでいきます。古城街道という割には、ハイルブロンから東はあまり交通の便がよいとはいえず、中世城郭都市をかいつまんで線で結んだという感じがします。翻って、ハイデルベルクからハイルブロンまでが、古城街道のハイライトのひとつといえます。

 この区間はネッカー川に沿っているため、遊覧船を利用するという方法もあります。ですが、私は2つの理由から強くはお勧めしません。1つは、古城街道という割には城の密度がそれほど高くないという点です。おそらく城の数と密度ではマインツ~コブレンツ間のライン川渓谷の方が勝っていると思われます。ですから、「次から次と城が現れる」というシチュエーションを望むなら、ライン渓谷クルーズを計画した方がよいといえます。2つ目は、ネッカー川には堰が多いという点です。当然、船は堰を上ることはできず、脇にある閘門を通ることになります。閘門とは、水位の異なる水路へ船を渡すためのドックのような施設です。船はこのドックに入り、前後の門を閉じてドックを密閉したのち、注水or抜水して進行方向の水位に調整してからレッツゴーとなります。この間、乗客は殺風景なドックの中で待ちぼうけとなります。もちろん、一度くらいは面白いと思いますが、何度も体験して楽しいものでもありません。その点、先のライン渓谷クルーズでは一度も閘門には引っかかりませんので、限られた時間で船旅もしたいという場合はやはりライン川(ないしドナウ川やエルベ川)をお勧めします。

 
閘門(こうもん)


 と、話をサイクリングに戻しますが、ハイデルベルク周辺で自転車を借りることができれば、1日…もしくは頑張れば半日で古城街道サイクリングを楽しむことができます。ミソは、ドイツでは電車に自転車を持ち込んでもOKというところにあります。つまり、日本だと借りた先から出て戻ってくるまで自転車移動なので動ける範囲が限られてしまいますが、ドイツでは電車で好きなところまで行ってサイクリングして、適当な駅から電車で戻るということが可能になります。つまり、ハイデルベルク~ハイルブロン間といっても、その間で好きな区間の片道だけ走れるということです。一応、ハイ~ハイ間はだいたい50㎞強くらいだと思うので、その気になって走りづくめれば1日で走破はできると思われます。私は途中の城に全部登るという暴挙にでたので、丸2日かかりました(笑)。

 
森と川のあいだをサイクリング


 おススメのコースは、ネッカーゲミュントヒルシュホルン間、ネッカーゲラッハ~エーバーバッハ間、バートヴィンプフェングンデルスハイム間の3本です^^いずれもちゃんと事前に計画を練っておけば半日で十分踏破可能なコースです。走る前には必ず地図を買っておきましょう。本屋でネッカー川の古城街道をサイクリングしたいんだけど、といえば5ユーロくらいのそれ用の地図を見繕ってくれるはずです。

 
ときには古城を眺めながら…


 結局、自転車の話がほとんどになってしまいましたが、サイクリングはヨーロッパでは老若男女を問わずポピュラーなレジャーです。日本だと、いかにもスポーツマンですよと言いたげな競技自転車がほとんどですが、ヨーロッパでは子供連れから老夫婦まであらゆる年齢層の人たちがサイクリングを楽しんでいます。欧州文化に触れるという意味でも、一度は自転車に跨って街道の風を浴びてみてはいかがでしょうか。