塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

仙台人の見分け方

2015年04月19日 | 仙台
 
 先日、家の用事で仙台にしばし帰郷していました。東京駅の東北新幹線ホームでいつものように電光板を見上げると、行先に金沢と書いてあってビックリ!一瞬乗り場を間違えたかと思いました。北陸新幹線は長野新幹線の延長ですから、東北・上越新幹線とホームが同じなんですね。今後は、同じホームから函館、秋田、山形(新庄)、新潟、金沢と多岐にわたる行先の列車が出る訳で、日本人はもちろんのこと、外国人観光客が間違えてえらいことになってしまわないか心配です^^;

 さて、仙台に来ると、とりあえず駅前から延びる長いアーケード街を、「あれ、こんな店ができたんだ~」「おや、ここにこんな店なかったと思うけど、前なんだったっけ~」と小首を傾げながら歩くのがお決まりとなっています。もはやもとからあった商店よりも、県外資本の店舗の方が多いのではないかとすら感じます。

 それは仙台市内に暮らす住民についても同じで、おそらく純粋な仙台人は人口の半分にも満たないのではないかと思われます。仙台人の中央志向はよく知られたところで、仙台に生まれ育った人は少なからず東京に憧れて上京してしまいます。逆に、東北の中心都市である仙台には、他の東北各県から移り住んだり、東北での事業のために転勤や出張でロングステイする人が多く集まります。

 自然、仙台の昔からの慣習や言葉遣いなどを体得している人の割合は下がり続けているのではないかと、少々懸念しております。そこで今回、「仙台人の見分け方」と称して、体に染みついたアクションを2つばかり(少ないですが)ご紹介したいと思います。あらかじめ断っておきますと、私の年代以上の人たちには確実にみられるものですが、20代以下の若い世代にもがっちり当てはまるかは分かりませんm(_ _)m

 1)エスカレーターでは歩く人が左側

 街中の人々を観察してまず一番分かりやすいのは、エスカレーターでどっち側に立っているかということでしょう。仙台では、右側に立つのが暗黙のルールです。大阪に倣ったわけでもないでしょうし、そもそも他の東北各県はおろか、宮城県内の他の市町村では、おそらく東京と同じく左立ちです。理由はさっぱり分かりませんが、昔からそれで慣れているので、私などは帰仙すると勝手に右立ちになります。

 とはいっても、一度仙台を離れて左立ちを会得して帰ってくる人もいれば、先の中央志向で進んで東京に倣おうとする人もいるでしょうから、イコールとまではいえません。ただ、エスカレーターでの右立ちは、生粋の仙台人であることの十分条件であるとはいえると思います(大阪から移住される方がそこまで多くないと仮定してですが^^;)。

 さすがに仙台の玄関口である仙台駅構内では左立ちが圧倒的に多いですが、これが中高年のメッカである仙台三越になると、逆に右立ちが過半数を占めます。ただ、カンの鋭い人は、新幹線の仙台駅改札を出て最初のエスカレーターに乗ろうとして、ちょっと違和感を覚えるのではないでしょうか。ここには上り下り2本のエスカレーターが隣り合っているのですが、進行方向のものは右側に来ています。私の見てきた限り、仙台市内では基本的にこのようになっています。関西については知らないのですが、関東では上下2本のエスカレーターがあれば、まず進行方向のものが左側にあるはずです。こういったものは意外と頭より体の方で覚えているものなので、飲んで酔ったときなどに、誤ってつっかえて転んだりしないように気を付けた方がよいでしょう。

 
仙台駅前のとあるエスカレーター。
進行方向(この場合下り)が右側です。


 2)「仙台」と聞いて「牛タン!」と返されるとガッカリする。

 これも仙台人全員というわけではないでしょうが、私の知っている範囲の仙台出身者にはほぼ当てはまると思います。そもそも、生粋の仙台人であれば、みんな仙台牛タンの発祥の店を知っています。ですが、そのお店へ行くことはおろか、牛タン自体めったに口にすることはありません。戦後間もなく仙台牛タンが「発明」されて以来、今日に至るまで仙台の牛の舌が使われることなどほとんどないことを、仙台人は皆知っています。

 「仙台牛タン」と銘打って見たことも聞いたこともない店が雨後の筍のように出現するようになったのは、東京駅にまで支店を構える某有名店が設立されてからの、ここ20年くらいの話です。私が子供の頃は、牛タンはまだそれほど土地を代表するような食べ物ではなかったはずです。

 じゃあ仙台に行ったら何を喰えばいいんだ!となると思いますが、少なくとも牛タンはどこで食べても同じです(そもそも中身はアメリカ牛ですから…)。仙台オリジナルということであれば、魚介系の店に行けば間違いないと思います。「仙台といえば牛タンだよね」と言われて顔を曇らしていた仙台っ子も、「東北の魚介を堪能したいな」といえばきっと勇躍して案内してくれることでしょう。

 聞いたところでは、大阪の人も串カツの有名店は知ってはいるけど、串カツ自体は滅多に食べないとか。それが事実なら、仙台の牛タンもまったく同じです^^;。

 ということで、生え抜きの仙台人が絶滅危惧種となってしまう前に(笑)、パッと思いつくところで仙台人の特徴的な行動を挙げてみました。もし仙台へいらっしゃることがあれば、ぜひちょっと道行く人々を観察してみてはいかがでしょうか。