塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

マンナンライフ「蒟蒻畑」一時製造中止

2008年10月13日 | 社会考
  
 1歳9ヶ月の乳児がこんにゃくゼリーをのどに詰まらせ死亡した事故を受けて、製造元のマンナンライフが今月、当該製品の一時製造中止を決めました。こんにゃくゼリーは、自分で買うことは余りないものの、置いてあれば必ず食べたくなるものだったので、今回の製造中止は残念です。
 
 そもそも、こんにゃくゼリーの危険性を巡る議論は今に始まったことではなく、結構前からその弾力性とつるんとした食感でのどを詰まらせる事故は断続的に起きていました。その都度、メーカー側はその危険性を訴え続けてきていたので、幼児やお年寄りが食べる際には特段の注意が必要であることはかなり周知されていたように思います。僕にとっては、乳児にこんにゃくゼリーを与えること自体がもはや非常識に感じます。にもかかわらず、保護者がそばにいた上でこのような事故が起きたことには、保護監督者の責任も同時に問われるべきではないかというのが僕の率直な感想です。

 もし幼児やお年寄りが口にすれば危険な性質の食品を製造していたことが問題だというのであれば、まず全国の餅の製造を禁止しなければならないはずです。餅の危険性はこんにゃくゼリーよりずっとポピュラーですし、正月に餅を詰まらせて死ぬ人の数はこんにゃくゼリーのそれよりずっと多いでしょうから。

 さらに言えば、製造中止のきっかけとなった上記の事故は、「凍らせた」こんにゃくゼリーが原因とされています。事実とすれば、凍ってしまえばこんにゃくゼリーも普通のゼリーも同じですから、これまでの窒息事故とは問題点が全く異なります。この場合、凍らせて固形化させたことが窒息の原因ということになるので、別にほかのゼリーでもあるいはゼリーでなくても起こりえた事故ということになります。とすれば、この事故を契機として製造中止が叫ばれたとすれば、ちょっと突飛な議論という気がします。

 ではなぜ今回、改めてその危険性が声高に叫ばれ、製造中止にまで追い込まれたのでしょうか。

 ひとつには、このところの食品に対する不安から、消費者の神経が過敏になっていることがあるように思います。特に、産地偽装や事故米問題など消費者が判断しようがない事件が相次いでいることから、消費者の不安や被害者意識が過度に膨らみ、「食品に関する問題は全て業者か行政の問題」と考える風潮があるような気がします。もちろん、先にあげたような事例は100%業者と行政の責任ですが、だからといって消費者は何も判断できなくても仕方がないかといえば、そうではないでしょう。食品に関する事故は生産サイドの責任というダイレクトな反応を、世間やマスコミが無批判に受け入れていることが、今回の製造中止という事態の背景にあるように思います。

 そしてもうひとつ。これは完全に僕の憶測の話ですが、事故米問題などで業者と同様に矢面に立たされている行政サイドが、比較的政治の責任が薄いと考えられるこんにゃくゼリーの窒息事故を食品問題におけるスケープゴートとしたのではないか、とも考えられます。特に根拠がある訳ではないのですが、今まで長年注意を呼びかけられていた食品が、今になって突然、今まで指摘されてきた要因と無関係の事故を受けて厳しい措置に追い込まれた、という不自然さを考えると、そうした穿った推測も浮かんできてしまいます。

 ともあれ、危険性を指摘されながらも他方で長年確実に親しまれてきたこんにゃくゼリーですから、この危機をどうにか乗り越えてより安全な形で食卓を彩ってくれる日が早く訪れるよう願っています。

  



三越閉店、郊外出店の失敗:名取店を例に

2008年10月09日 | 社会考
  
 先日、三越が大きな店舗縮小を発表しました。百貨店やスーパーの店舗閉鎖は、業界全体の業績不振によるもので、三越のほかイオンや西友なども発表しています。

 しかし、その中でも三越の武蔵村山店と名取店はそれまでの経営方針から大きく転換を図ったコンセプトの店舗であったことから注目を集めているようです。

 元来三越といえば、都市の中心にあってそのブランドを求める人々を集客してきましたが、百貨店業界全体が落ち込むなか、郊外型として新たに店舗展開してきたイオンなどに大きく水をあけられるようになっていました。そこで新社長の鳴り物で、仇敵であるイオンと提携し、武蔵村山と名取の2ヶ所に初の郊外型店舗として開店しました。

 ところが今回、その2店舗とも大赤字により閉鎖という事態に陥り、社長の責任も問われているということです。武蔵村山については土地柄も含めてよく知らないので何ともいえませんが、名取については仙台が地元ということもあり、ひとつ考察を加えてみようと思います。

 名取市は仙台市の南に隣接し、仙台都市圏のベッドタウンとして近年急速に宅地化、衛星都市化が進んでいる地域です。また、市内にある仙台空港へ東北本線からの支線が完成し、仙台市内とのアクセスも密になったため、都市区画整備も進められつつあるようです。

 三越名取店は、この仙台空港アクセス線の途中にあり、典型的なイオンの郊外型ショッピングモール「イオンモール名取エアリ」の中核店舗として2007年に開店しました。東北本線が走っているとはいえ、仙台都市圏では車による移動が必須であるため、また隣県からも多数集客しているためイオンモール自体はかなり盛況なようです。そんなモールの中で三越だけが撤退を余儀なくされた背景には、客が三越に求めるものの観念やもともと仙台市街に古くからある「仙台三越」との兼ね合いがあるように思います。

 仙台には日本有数のアーケード付歩行者天国商店街である一番町・大町商店街があり、仙台三越はその中核店舗として、古くから親しまれてきました。一番町・大町は駅前からはじまり、仙台三越は徒歩で20分ほどある商店街の最後のところにあります。客層は圧倒的に中高年層ですが、老若男女を問わず大抵の人はここまで来る間に一通り買い物が出来てしまいます。しかも仙台駅までは名取駅から電車で4駅十数分と近いため、本当に三越に用事があるのであれば、老舗で商品もサービスも安定している仙台三越に出向いても別に大した労ではないのです。ついでに一番町を散策すれば他のショッピングも楽しめますし、もともとそうした習慣が身についているので、名取にわざわざ新店舗をこしらえる意味がはっきりいって全く分かりません。

 よしんば名取店はショッピングモールですから、買い物ついでの客を狙っているのだとしても、モールに車で出かける客というのは大抵食料や日用品を安く大量に仕入れるのが目的でしょうから、ついでに三越の高級品を物色しようという食指が動く客はそうはいないのではないでしょうか。

 つまり、昔から仙台を知っている人間にとっては「仙台にあるのに何でわざわざ名取に?」というのが正直な感想であり、この直感は間違っていないように思います。現に仙台都市圏からは外れたところにある小売店舗「大河原店」は今回の撤退の対象に入っていません。

 一方で、仙台三越がこの地域の中核であることは周知であり、三越もようやく悟ったのか改めて認識したのか、名取閉店とともに仙台三越に主力を注ぐことを決定しました。仙台三越は、隣接するショッピングセンター「141」の大部分のテナントを一括賃貸し、本店舗とともに改装を進めて営業を拡大する予定です。

 結局、ブランド力と地域中枢での集客というもともとの強みに立ち返った格好となっています。もちろん、昔成功していた手法にしがみついていれば良いという時代ではありませんが、持っている強みを放棄してまで方向転換したところで、新しく成功できるほど簡単でもないでしょう。要は、もともと内在している長所を生かしつつ、いかに斬新な方法やアイデアを産み出せるかが問題なのだと思います。この点で、三越の将来はいまだ定まっていないようで、しばらくは苦しい経営が続きそうですね。

   



このところの「BLEACH」

2008年10月01日 | 徒然

 今日は本当にどうでもよい話です。分かる方にだけ読んでいただければと思います。

 このところ、ジャンプは「BLEACH」の展開があまりにも単純な気がします。もともとベタな種類の漫画ではありましたが、今の死神対従属官の戦いでは久保帯人先生の思考が停止しているんじゃないかというぐらい分かりやすい勝敗です。

 重たい翼の付いた敵には斬ったものを重くする刀で斬りつけ、かまいたちみたいのを飛ばしてくる敵には風を操るような刀で囲い、巨大化する敵にはさらに巨大な背後霊が出現する卍解で潰し、と戦いが始まる前から誰でも先が読めてしまう内容ばかりです。

 始解が実は霊力を吸い取る触手プレイだった五席の人は、他人に見られされしなければほぼ無敵の様な気がします。

 こんなんではマンネリ化がどんどん進行してしまうのではないかと不安です。今後はジョジョのような緊迫した頭脳戦とまでは行かなくとも、もう少し凝った展開を期待したいものです。