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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

鎌倉の至宝(鎌倉国宝館)+海蔵寺の海棠

2021-04-08 21:28:49 | 行ったもの(美術館・見仏)

鎌倉国宝館 特別展『鎌倉の至宝』(2021年3月20日~5月9日)

 久しぶりに鎌倉を訪ねた。調べたら、鎌倉国宝館の記事を書くのは、2019年5月の特別展『知られざる円覚寺の至宝』以来のようだ。そういえば昨年は、一度も鎌倉に行かなかったかもしれないかもしれない。本展は、国宝・重要文化財ななどの名品を一堂に展示する、年に一度の特別展である。

 平常展示「鎌倉の仏像」は、だいたいいつものレギュラーメンバーだが、左右に炎を噴き出すような、珍しい宝冠をかぶった仏様がいらっしゃった。建長寺の宝冠釈迦如来坐像である。頭髪を高く三角形に結い上げ、その前面に骨だけの扇を広げたような、金属席の宝冠をつける。顔立ちは福々しく温和。よく見ると小柄なのだが、長い袖が台座を覆って垂れているので、ひとまわり大きく見える。円覚寺伝宗庵の地蔵菩薩坐像も珍しいのではないかと思った。黒っぽくて動きの少ない、やや威圧的なお姿。衣紋は深く力強く刻まれている。襟元や左袖に土紋があしらわれているのが鎌倉風。

 後半の書画そのほかは、所蔵寺院別にまとめられていて分かりやすかった。光明寺の『当麻曼荼羅縁起絵巻』は定番だが、『当麻曼荼羅』が展示されるのは珍しいのではないか。同じく光明寺の『阿弥陀聖衆来迎図』も記憶にないものだったが、色鮮やかで可愛かった。今回のポスターになってるのは、円覚寺の絹本著色『虚空蔵菩薩像』。幻想的で、うっとりするほど美しい。これは確か、宝物風入れのときに見たことがある、と思って自分のブログを探したら、2014年の風入れの茶席の写真(※頂相三幅の奥)に写っていた。2018年にも同様にプレミアムルームで拝観している。浄永寺の絹本著色『日蓮聖人像』(室町時代)も初めて見た。上下にアイラインを引いたような、くっきりした目が印象的。浄永寺は小田原市にあるそうだ。

海蔵寺(鎌倉市扇ガ谷)

 そのあと、雨が落ちてきそうな空を気にしながら、扇ガ谷の海蔵寺に向かった。桜が終わって、藤やツツジが咲き出す前のこの時期、鎌倉の花といえば海棠である。ちょっと調べたら、「鎌倉の三大海棠」は、妙本寺、光則寺、安国論寺を言うそうだが、私がいちばん好きなのは、海蔵寺の海棠である。

 しかし私が鎌倉の隣りの逗子に住んでいた頃(ほぼ20年前だ)に比べると枝ぶりが小さくなり、花の色も桜と間違えるほど薄くて、別の木を見るようだった。

 「三大海棠」についても「以前は、光則寺と安国論寺、妙本寺の海棠が、鎌倉三大海棠と呼ばれていたが、安国論寺では、数年前に枯れていることが確認され、妙本寺の海棠も、昔の面影はなくなってしまった」という記事を見つけた(タウンニュース鎌倉版 2016/3/11)。「年年歳歳花相似たり/歳歳年年人同じからず」と言うけれど、花の命も永遠ではないのだな。

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