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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

今年はイヌ年/2018博物館に初もうで(東京国立博物館)+常設展

2018-01-24 22:04:33 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館 特集展示『博物館に初もうで 犬と迎える新年』(2018年1月2日~1月28日)

 今年も博物館詣では、この展示から始まった。それにしても、年々お客さんが増えている感じがする。今年の干支・イヌは世界中で古くから人に愛されてきた動物なので、犬にちなむ美術品や考古資料を探すのに苦労は要らないだろうと思った。円山応挙の『朝顔狗子図杉戸』は、当然あるよなと思っていたら、やっぱりあった。私の好みは、狩野常信が李迪の原画を模写したもの。毛並みがよくて賢そうな犬。英一蝶の『子犬図』も可愛かった。礒田湖龍斎というよく知らない画家の『水仙に群狗』では、ぎゅうぎゅうに体を寄せ合う子犬たちが、どれも愛嬌のある顔をしている。東洋の絵画に描かれる犬は、だいたい丸顔でコロコロした愛玩犬系統である。

 凝っていたのは中国絵画で、伝・夏珪筆『山水図』など、見たことのある大きな作品が掛けられており、どこかに犬が描かれているというのだが、はじめ全く分からなかった。「あれじゃない?」「あそこか!」とお客さんどうしの話題になっていた。立体では、中国・後漢の緑釉犬。この子は耳が折れ、尻尾がくるりと巻いて、小さいなりに野生を感じさせる。19世紀、ドイツ・ドレスデン製の『犬形置物』は、耳の垂れたビーグル犬だろうか。東博には意外な所蔵品だと思ったら、ライプツィヒ民族学博物館からの寄贈品だった。

 そのほかの常設展示室にも「新春特別公開」の名品がところどころに混じっていた。私のイチ推しは、間違いなく本館2室(国宝室)の『釈迦金棺出現図』である。昨年は、京博の国宝展の会場で久しぶりに見たが、正月の東博のほうが落ち着いて見ることができた。東博・公式サイトの説明も熱が入っていて、長い。「本図は、もと、京都の天台宗長法寺(ちょうほうじ)に伝来し、第二次大戦後に、電力王とも最後の茶人とも評された松永安左エ門(まつながやすざもん)氏が入手し、財団法人松永記念館の所有を経て、氏の没後、国に寄贈されました。現在、京都国立博物館で所蔵の本図は、その貴重さ故に館外に出されることは滅多にありません。この機会に是非じっくりとご堪能ください」 とのこと。1月28日まで展示なので、もう一回見てくるかも。

 伝・狩野元信筆『楼閣山水図屏風』も、昨年の展覧会を思い出しながら眺める。本館7室(屏風と襖絵)に出ていた亜欧堂田善の『浅間山図屏風』は、晴れやかな気持ちになって、新年にふさわしく感じた。

 東洋館(アジアギャラリー)8室(中国絵画)では『呉昌碩とその時代-苦鉄没後90年-』(2018年1月2日~3月4日)を開催中。いまいち魅力がよく分からないが、「八大山人に学んだ」とか「石濤に学んだ」という習作時代の作品は、なるほどと思うところがあって興味深かった。3室(西域の美術)は一時的に(?)展示スペースを拡張したように見えて、ホータンやトヨク(吐峪溝)など、シルクロードの出土品がたくさん出ており、一回だけ行ったシルクロード旅行を思い出して、懐かしかった。

 今年も東博には足繁く通いたいと思っているが、3月中旬で切れる「パスポート」の対策を、本気で何とかしなくては…。
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