○奈良国立博物館 特別展『国宝 法隆寺金堂展』
http://www.narahaku.go.jp/
法隆寺金堂の諸像を公開する展覧会。法隆寺には、先だって5月に行ってきたばかりなのだが、仏像好きの友人たちと話が盛り上がり、出かけることになった。
内容には、あまり期待をしていなかった。同時に、あまり混まないだろう、とタカをくくっていた。東京から赴く私と友人、京都在住の友人がもうひとり、お昼前に落ち合って、食事でもしてから、ゆっくり入館すればいいだろうと思っていた。そうしたら、土曜日、11時過ぎの奈良博には、既に15分待ちの列。「ええーっ。なんでこんなに人がいるのかなあ」と他人事に驚く。とりあえず、昼食抜きで入館。
展示室のコンセプトは”仮想金堂”らしい。左右には、金堂壁画の復元模写全12面が並び、中央の空間には、釈迦三尊・薬師如来・阿弥陀三尊像の台座(前二者の仏像は来ていない)と天蓋。そして、見どころである日本最古の四天王像。
正直なところ、展示室のつくりには感心しなかった。「四天王が横一列に並んでるの、変だよね」という不満が第一である。それから、正面中央の阿弥陀三尊像。これは、確かに金堂の仏様であるのだが、鎌倉時代の作で、飛鳥時代の四天王とそぐわないこと甚だしい。法隆寺金堂といえば、やっぱりあのアーモンド形の目をした釈迦三尊、薬師如来像でなくちゃ~。本物が借りられないのなら、写真パネルでもよかったのに。壁画を取り囲む柱・梁もどきの装飾が、大仰にエンタシスを表現しているのも、ちょっとやり過ぎ。
個人的にいちばん嬉しかったのは、入ってすぐ、2枚の飛天図を確認したこと。昭和24年の火災で、奇跡的に焼け残った飛鳥時代の原品である。よく見ると、ガラスが嵌まっていなくて素通しだった。しかも、かなり強い照明が当たっていたけど、大丈夫なのかなあ。大半の観客が、復元模写に気をとられて、原品2点(重要文化財)に注目していなかったのはもったいない。
復元模写も、こんなふうに細部をしげしげ眺めるのは初めてのことで、いろいろ発見があった。たとえば、第6号壁(阿弥陀浄土図)は、三尊像のほかに、大小さまざまの諸仏が描かれていることが分かった。また、顔立ちと上半身の美しさが印象的な金堂壁画だが、引きで見ると、全身のプロポーションはあまり美しくない。胴長すぎるし、足(足首から先)の描き方が稚拙であると思う。四天王像は、増長天・持国天の出来がよく、広目天・多聞天の造形はちょっと落ちるというのが、私と友人の一致した見解。
■参考:東京大学総合研究博物館「法隆寺金堂壁画」
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/DM_CD/DM_CONT/HORYUJI/HOME.HTM
ところで、写真(↓)は、近鉄奈良駅の隣、東向き商店街の骨董屋のショーウィンドウに飾られていたもの。どう見ても、法隆寺金堂の天蓋に付属している化仏である。店内には、鳳凰もあった。古都の奥深さに呆然。

http://www.narahaku.go.jp/
法隆寺金堂の諸像を公開する展覧会。法隆寺には、先だって5月に行ってきたばかりなのだが、仏像好きの友人たちと話が盛り上がり、出かけることになった。
内容には、あまり期待をしていなかった。同時に、あまり混まないだろう、とタカをくくっていた。東京から赴く私と友人、京都在住の友人がもうひとり、お昼前に落ち合って、食事でもしてから、ゆっくり入館すればいいだろうと思っていた。そうしたら、土曜日、11時過ぎの奈良博には、既に15分待ちの列。「ええーっ。なんでこんなに人がいるのかなあ」と他人事に驚く。とりあえず、昼食抜きで入館。
展示室のコンセプトは”仮想金堂”らしい。左右には、金堂壁画の復元模写全12面が並び、中央の空間には、釈迦三尊・薬師如来・阿弥陀三尊像の台座(前二者の仏像は来ていない)と天蓋。そして、見どころである日本最古の四天王像。
正直なところ、展示室のつくりには感心しなかった。「四天王が横一列に並んでるの、変だよね」という不満が第一である。それから、正面中央の阿弥陀三尊像。これは、確かに金堂の仏様であるのだが、鎌倉時代の作で、飛鳥時代の四天王とそぐわないこと甚だしい。法隆寺金堂といえば、やっぱりあのアーモンド形の目をした釈迦三尊、薬師如来像でなくちゃ~。本物が借りられないのなら、写真パネルでもよかったのに。壁画を取り囲む柱・梁もどきの装飾が、大仰にエンタシスを表現しているのも、ちょっとやり過ぎ。
個人的にいちばん嬉しかったのは、入ってすぐ、2枚の飛天図を確認したこと。昭和24年の火災で、奇跡的に焼け残った飛鳥時代の原品である。よく見ると、ガラスが嵌まっていなくて素通しだった。しかも、かなり強い照明が当たっていたけど、大丈夫なのかなあ。大半の観客が、復元模写に気をとられて、原品2点(重要文化財)に注目していなかったのはもったいない。
復元模写も、こんなふうに細部をしげしげ眺めるのは初めてのことで、いろいろ発見があった。たとえば、第6号壁(阿弥陀浄土図)は、三尊像のほかに、大小さまざまの諸仏が描かれていることが分かった。また、顔立ちと上半身の美しさが印象的な金堂壁画だが、引きで見ると、全身のプロポーションはあまり美しくない。胴長すぎるし、足(足首から先)の描き方が稚拙であると思う。四天王像は、増長天・持国天の出来がよく、広目天・多聞天の造形はちょっと落ちるというのが、私と友人の一致した見解。
■参考:東京大学総合研究博物館「法隆寺金堂壁画」
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/DM_CD/DM_CONT/HORYUJI/HOME.HTM
ところで、写真(↓)は、近鉄奈良駅の隣、東向き商店街の骨董屋のショーウィンドウに飾られていたもの。どう見ても、法隆寺金堂の天蓋に付属している化仏である。店内には、鳳凰もあった。古都の奥深さに呆然。
