見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2024祇園祭・新町通曳き初め

2024-07-16 21:22:34 | 行ったもの(美術館・見仏)

 三連休は関西で遊んできた。初日の13日は京都の博物館巡りを予定していたが、調べたら新町通りで山鉾の惹き初めがあるというので行ってみた。少し早めに山鉾町エリアに入って、うろうろする。大きな鉾は既に姿を現しているが、まさに設営中の山も多かった。

 私の好きな蟷螂山。昨年、前祭の宵々山に訪ねたら、Tシャツも扇子も完売だったことを思い出して、今年こそはと期待して行ってみたら「祭礼授与品の頒布は14日10時からです」の貼り紙。うう、今年もご縁がなくて残念。

 四条通りの函谷鉾で「タペストリー」だか「ゴブラン織り」だかの文字を見つけて立ち止まる。そうだ、16世紀の西洋風の図柄の毛織物を懸装品に使っている鉾だったな、と思い出して、久しぶりに鉾に上がっていくことにする。見学料金1,000円は諸物価値上がりの折、かえってお手頃に感じられた。函谷鉾の小冊子と団扇付きで、この団扇、10年以上前(もしかして2008年?)に貰ったものと同じデザインだった。京都産業大学の札を付けた学生さんたちに手際よく案内されて、会所に上がる。

 これは旧約聖書のイサクの結婚の物語絵。中央の大きな画面では、心優しい女性リベカがイサクの老僕に水を与えている。この下段には、イサクがリベカに求婚のしるしとして腕輪を与える場面を描く。

 右隣りには、全く同じ図柄の複製品も飾られていた。16世紀半ばの作と見られた原本は、十数年前に一度、巡行で使われたことがあるとのこと。巡行当日、朝の6時頃にセットすると、褪色した淡い色合いが朝陽に照らされてとても美しかったそうだ。

 昨年の「前掛け」には、皆川泰蔵氏の『モン・サン・ミッシェル』が使われており、今年は『イサクの嫁選び』(複製)ではないかという。説明してくれた話好きのおじさんが「まあ当日、理事長の判断だけど」ともおっしゃっていた。理事長、そんな権限があるのか。

 「見送り」は弘法大師真蹟の『金剛界礼懺文』の予定と聞いた。これも複製品で、ほとんど文字の見えなくなった原本が併せて展示されていた。

 うろうろしているうちに曳き初めの時間(15:00)になってしまったので、慌てて新町通り南端の岩戸山を目指す。北に1ブロックくらい移動した山鉾が、人々に曳かれて戻ってくるところ。小学校低学年か幼稚園児くらいの子供たちがたくさん綱を握っていて楽しそうだった。調べたら、本番の巡行では、今でも搭乗者や曳き手は成人男子しか認められていないのだな。

 続いて北側の船鉾の曳き初めも見学。やっぱり1ブロックほど北に行って戻ってくる。山鉾は動いているところを見ると胸が躍る。

 曇り空を背景に鈍く光る金色の鷁(げき)。

 ちょっとだけど祇園祭の雰囲気が味わえてよかった。


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