「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「タンノイ」と「グッドマン」に思う

2024年02月10日 | オーディオ談義

「〇〇さん、タンノイのユニットに興味ありますか?」と、連絡があったのはオーディオ仲間のSさんからだった。

「ええ、無いことも無いのですが・・」と歯切れの悪い返事をしたところ、「現在オークションにタンノイの(モニター)レッドのユニットが出品されてますよ。あなたが好きな口径30cmです。しかも中央部があめ色で、これはレッドの初期バージョンです。シルバーの音に近いとされていますので特に人気がありますよ」

ほう・・、俄然色めき立った(笑)。

レッドとかシルバーとか「何のこっちゃい?」という方がおられるかもしれない。

クラシック音楽向けとされる英国のスピーカー「タンノイ」の歴史は古い・・、そしてユニットの変遷をいくつも重ねてきた。

古い順に、モニター「ブラック」、「シルバー」「レッド」「ゴールド」「HPD」・・といった具合で、この色彩の命名はマグネットのカバーに由来したものだ。

で、タンノイは古ければ古いほど音が良いとされている・・、何故かはわからないが、憶測すると真空管と同じで大衆に向けて広範に普及しだすと材質の吟味から細かなツクリまでメーカーはコストを念頭に手を抜きたがる傾向がある。

所詮は利潤を追求するのが生き残っていくためのメーカーの使命ですからね~。

ちなみに、名管とされる「WE300B」の初期バージョンの「WE300A」は先年のオークションで「160万円」の高額で落札されたのはまだ記憶に新しいところ、たかが真空管だけどね・・(笑)。

で、「レッドの前期版」だが、さっそくオークションで見つけて「ウォッチリスト」に登録して見守ることにした。



で、途中経過の入札価格を見た途端に戦意を喪失した・・、20万円以下ならともかく、もうすでに越えている(笑)。

あとはどのくらいの額で落札されるかに興味が移った。

もったいぶらずに決着をつけると「落札日は2月7日」落札額は「459,300円」・・。

え~っ、およそ46万円もする価格に驚いた。

さっそく「S」さんにご注進・・、「例のレッドは46万円でしたよ!」「ああ、それは安かったですね。業者の販売価格は60万円台ですからね・・」「ほう・・、それを知ってる人たちが殺到したんですね、まったく生き馬の目を抜く世界とはこのことですねえ・・」

ただし、これは私見としてズバリと言わせてもらうとタンノイは実力の割には買い被られている。つまり、お値段と実力が釣り合っていない。

これも「五味康佑」さんが「タンノイの回し者」とまで言われたように、あの独特の「音楽評論」とともにその素晴らしさを過剰と思えるほどに吹き込んだせいだ・・、愛読者はまるで魔法にかかったみたいに「タンノイ」が欲しくなるんだから~(笑)。

実はこの自分がそうだった・・。

我がタンノイ遍歴を述べてみると「ⅢLZ(イン・キャビネット)」に始まり、「インパルス15」そして「ウェストミンスター」へとグレードアップしていったが、結局今となってはバランス的に「ⅢLZ」がいちばん良かったと思っている。

そして、今や「ウェストミンスター」の中身はすっかり原型を留めておらず、口径38cmのユニットは追放の憂き目に遭い、長大なバックロードホーンは自分好みに簡略化している。

そして、まことにお粗末な部品が使われているネットワークは即刻廃棄して、クロスオーバーを「1000ヘルツ」から「ハイカット100~200ヘルツ(ムンドルフのコイル)の切り替え方式」にして、ようやく好みの音になってくれた。

仲間たちは「あのタンノイを改造するなんて度胸がありますねえ」と、一様に感心してくれるが、内心「こいつアホとちゃうか」と思っているかもねえ(笑)。

まあ、どう思われようといい・・、人生一度きりなんだからせめてオーディオくらいは心行くまで好き勝手にさせてもらおう。

ブランドとかオリジナルにこだわるのは「愚の骨頂」だと思っているが、はたから見るとどうなんだろうねえ・・。

で、タンノイにひきかえ、格上とされている同じ英国の「グッドマン」が、実力以下に過小評価されているのが残念でたまらない。

現在愛用しているのは「AXIOM80」(2ペア)、「TRIAXIOM」(口径30cm同軸3ウェイ)、「AXIOM150マークⅡ」(口径30cm)の3つのユニットだが、独特の哀愁と翳りを醸し出す音ヅクリにぞっこんである。

グッドマンは例外が若干あるとしても、基本的に口径38cmのユニットに手を出さなかったところにメーカーとしての矜持と慧眼を思い知るのである。

で、これほど際立った能力があるのに「存続」という面でタンノイの後塵を拝したのはなぜか・・、やっぱり「エンクロージャー」を作らなかったせいかなあ~。

レコードやDACなどの前段機器、増幅機器のアンプなどではどうしても解決できない次元の違うノウハウ的なものがエンクロージャーに秘められている気がしてならない、いわばオーディオの最後の砦・・。

つい、オークションの話からあらぬ方向へ発展してしまった。

はなはだ身勝手な独演会はこのくらいにして、違ったご意見もお伺いしたいところですね(笑)。



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