民主党(現在の「立憲民主党」)が、政権を取ったときのこと、~もう13年前のことになる~ 当時、世界でしのぎを削っていたスーパーコンピューターの開発予算に対して、党の目玉政策だった「事業仕分け」の時に「蓮舫」議員が放った言葉が「(世界で)2位じゃダメなんですか?」。
各省の高級官僚さんたちがずらっと居並ぶ中で、いつもの舌鋒鋭い言い方だったが、テレビで放映されたその光景がいまだに目に焼き付いていて離れない。
爾来、この言葉が独り歩きして多様な考え方が広がった。
たとえば、1位じゃないと絶対ダメ、あるいは2位でも3位でもいい、順番なんか問題ではない、等々。
もちろん、自分は年齢相応に緩いタイプなので後者に与(くみ)する派だが、そうではない方が実際にいた(笑)。
先月(6月)の「顕微鏡と望遠鏡」の記事をご記憶だろうか?
3名のオーディオ愛好家が持ち寄ったそれぞれのプリアンプのコンテストを開催したところ、衆目の一致するところ見事に栄冠に輝いたのがNさん(大分市)自作のプリアンプだった。
自信満々の作品だと自負されていたYさん(別府市)のプリアンプが一敗地にまみれたのはたいへん残念なことだった。
ところが、話はそれで終わらなかった。
「1位じゃないと絶対ダメなんです!」と、猛然とファイトを燃やしたYさんが捲土重来を期して、そのプリアンプを未練気もなく売り払い、その軍資金をもとに新たに資金を追加して「新プリアンプ」に取り掛かられたのだった。
いわば「意地と執念のプリアンプ」だが、べつに2位でもいいと思うんだけどなあ・・(笑)。
そのプリアンプがようやく完成して再び我が家に持ち込まれたのが先週の7日(金)のことだった。
梅雨末期の曇り空の下、まなじりを決したYさんが新プリアンプを小脇に抱えてNさんとともに我が家の玄関に仁王立ちされたのは午後2時のことだった。
テストの会場が我が家じゃないとダメな理由は「AXIOM80」があるからで~す(笑)。
どれどれ、と「新プリアンプ」を拝見。
外見は「GOLDMUND」(スイス)だが、中身はそっくり入れ替えて次のとおり。
最高級とされる部品が使ってあった。
たとえば、コンデンサーはムンドルフ(ドイツ)製でペアで4万円の代物、これに高価なマイカコンデンサーをパラっている、RCA端子はWBTの純銅製、真空管はBRIMAR(英国)の軍用ナンバー、といった具合で、お金に糸目をつけず一切の手抜き無し。
そして、縁の下の力持ちとなる電源トランスがことのほか大きい。
一同緊張する中で問答無用とばかり結線を済ませてさっそく音出し~。
結論から言うと、素晴らしかった!
異口同音に「AXIOM80がこんな音で鳴るのを聴くのは初めてです!」
ヴァイオリンからボーカルをはじめありとあらゆる音楽ソースが、遠くまで見渡せるような透明感のもとに原音よりも美しいともいえる音を奏でてきたのにはもうびっくり仰天した!
たとえばボベスコ(女流ヴァイオリニスト)の弾く「ヴァイオリン協奏曲22番第二楽章」(ヴィオッティ)には思わず胸を打たれて、このまま死んでもいいと思ったくらい(笑)。
それにしても「プリアンプ」というのは音質をドラスティックに変える力を持っていますねえ。
ただし、あらゆる部品が新品のせいか音がまだ「鋼(はがね)」のような硬さというか・・、もう少しエージングが必要かなあ~。
もっと「ふっくら感」が増すと天下無双だろう。(実はこの「ふっくら感」が難しいんだけどね・・、とは陰の声)
そして、見事に念願が成就して笑顔いっぱいのYさんに申し上げたことだった。
「おめでとうございます。良かった、良かった・・、執念が見事に実を結びましたね~」
不思議に悔しさとか自分も欲しいという気持ちが湧いてこずに、相手を称える気持ちしかなかった。
もはや「枯れ木」に等しい存在になったのかな~(笑)。
それにしてもオーディオの前進にはやはり「意地と執念」が必要のようですよ・・、おっと忘れちゃいけない、元手(軍資金)がいちばん大切だよね(笑)。
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