「出来心」という言葉がある。「広辞苑」によると「もののはずみで、ふと起こった悪い考えや思い。例文~ほんの出来心で盗んだ~。」と、ある。
あまり、いい意味で使われないようですね。
ところが、悲しいかな我が家のオーディオは「出来心」を抜きにしては語れないのが現実だ(笑)。
つい先日の「チャンデバ」の購入のときもそうだったが、今回も「出来心」が発端だった。顛末を述べてみよう。
我が家のスピーカー「トライアクショム」(グッドマン)は口径30センチの「同軸3ウェイ方式」で、さすがに同軸だけあって「音像定位」はまったく自然そのものだが、惜しむらくはジャズを聴くときに「音にもっと開放感が欲しいなあ」と思うことがときどきある。
古くて新しいともいえる「周波数レンジ VS 音像定位」の課題ともいえ、どんなスピーカーもこの宿命から逃れることは出来ないが、ある日のこと1つのマグネットで3つのユニットを同時に鳴らすデメリットとして「パワー感の減少」はないのだろうかという素朴な疑問がふと沸き起こった。
もちろん素人考えに過ぎないが、無類の実験マニアを自覚しているのでダメ元でもいいからとさっそくトライしてみた。
パイオニアの「3ウェイネットワーク」を使って「トライアクショム」を分解して低音域用ユニットだけを「500ヘルツ以下」だけで使ってみようという算段である。
編成は次のとおり。
1 「~500ヘルツ」 → 「トライアクショム」(グッドマン)
2 「500~4000ヘルツ」 → 「口径10センチのスコーカー」(グッドマン)
3 「4000ヘルツ~」 → 「スーパー3」(ワーフェデール:赤帯マグネット)
3つのユニットはすべてイギリス製だが、一番苦労したのは「4000ヘルツ~」で、ツィーターはいくつか持っているけれど、4000ヘルツから使えるとなると限られてくる。いろいろ実験してみた結果、「スーパー3」に落ち着いた。
「百聞は一見に如かず」で、次の画像のとおり。
ワクワクしながら音出ししてみるとこれが実にいいんですよねえ(笑)。
明らかに周波数レンジがぐ~んと広がって開放感がたいへん好ましいし、懸念した「音像定位」もいっさい損なわれていない印象を受けた。
試聴された「Y」さんも、「3つのユニットなのにまるでフルレンジが鳴っているみたいです。とてもまとまりが良くてよろしいんじゃないですか。」
「すべて英国製のユニットですから音色が合っているせいかもしれませんね」
ちなみにこの3ウェイシステムを駆動可能なアンプは今のところ5台あってよりどりみどりだが、
「300Bシングル」「6098シングル」「171Aプッシュプル」「171Aシングル」「2A3シングル」
これらを1日かけてじっくりテストしたところ「6098シングル」と「300Bシングル」が双璧だった。
とりわけ前者はプリアンプ無しで「DAC」(エルガー・プラス」(dCS)からの直結がとても良かった。さすがに、昨年末「クラロスタット」ボリュームに交換しただけのメリットはあった。
いずれにしても、今回は会心のシステム変身になってうれしい限りで、ほんの「出来心」もバカには出来ず、まったく「オーディオは実験あるのみだ」とつくづく思い知らされたが、実はこういう成功事例の裏には失敗事例が累々と横たわっていて、陽の目を見るのはごく僅かである。
そういうわけで「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」というのが悲しい現実です(笑)。
最後に、高校時代の同窓生でカメラマンの「T」君による「鳥が蜂を咥えている」瞬間です。お気づきのように蜂の危険な尻尾の針の部分を既に処理していますよ。鳥は抜け目がないです!
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