「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

今が良ければすべて良し

2020年01月29日 | 音楽談義

前々回のブログ「音楽記事 VS オーディオ記事」で、わざわざ8年前の出来事を引き合いに出してまで「音楽記事」の優位性を訴えたわけだが(笑)、調子に乗って指揮者「ウォルフガング・サバリッシュ」(1923~2013)について分け入ってみよう。

彼はN響の桂冠名誉指揮者だったので、全国放映の機会も多く演奏風景をご覧になった方もあるかもしれない。




いかにも大学教授然とした風貌の持ち主で享年89歳だったので行年に不足はないが大好きな指揮者の一人だった。

周知のとおり、本家、ヨーロッパのクラシック界ではオペラが重要な演目になっており、「オペラを振らせると指揮者の実力が分かる」とまで言われているが、彼が指揮したオペラ「魔笛」は大のお気に入り。

極めてオーソドックスな解釈のもと、どこといって破綻のない、まことに中庸を得た演奏だったので安心して「魔笛」の世界に浸れたものだった。

改めて手持ちを確認してみるとサバリッシュ指揮のものはCD盤(2枚組)とDVD、それぞれ一組あった。


「魔笛」の主役級の歌手は5人いるが、粒よりのメンバーがすべてそろうことは不可能に近く、どういう盤にも何らかの配役に憾みを残す。

このサバリッシュのCD盤では、高僧役に「クルト・モル」、王子役に、つい先日亡くなった「ペーター・シュライアー」、道化役に「ウォルター・ベリー」と、男性陣に最高のメンバーを得ているものの、女性役二人がちょっと物足りない。

その一方、DVD盤では女性陣として夜の女王に「エディタ・グルヴェローヴァ」、王女役に「ルチア・ポップ」と、この上ない豪華な顔ぶれだが、今度は男性陣2名が物足りないといった具合。

巷間、「魔笛に決定盤なし」と言われている所以がこれらサバリッシュ盤にも如実に伺われるところ。

ところで、サバリッシュのフルネームは「ウォルフガング・サバリッシュ」である。ピンと来る方がきっといるに違いない。

そう、あのモーツァルトのフルネームが「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト」である。ちなみにかってのウィーンフィルの首席フルートは「ウォルフガング・シュルツ」(故人)だった。



いったい「ウォルフガング」とはどういう語源を持つんだろうか?こういうときにはググってみるに限る。

すると、「Wolfgangは主にドイツ語圏などで見かけることができる人名で「Wolf Gang」(”狼の牙”)という意味を持つ」と、あった。

そういえば、英語でも狼のことをウルフと呼んでいる。おそらく狩猟民族に由来する名前だろう。

なお、「アマデウス」とは「神に愛されし者」という意味だが、この「アマデウス」という言葉には思い出があって、ここでちょっと過去を振り返させてもらおう。

大なり小なり「人生は山あり谷あり」なので、誰にでもスランプや不遇の時代があると思うが、そういうときには自分の場合、転職を考えるのが常だった。

まあ、一種の逃げみたいなものですねえ(笑)。

当時を振り返ると、近年のベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子さん著)なんて、高邁な精神にはなれなかったことを今でも恥ずかしく憶い出す。

そして、逃げ道候補の一番手はクラシック専門の「音楽喫茶」を開くことだった。

当時はタンノイ・ファンだったのでオートグラフをドカンと店内に据えて真空管アンプで鳴らそうなんて夢みたいなことを考えていたが、その時の音楽喫茶の名前を一貫して心に刻み込んでいたのが「アマデウス」だったというわけ(笑)。

奇しくも、2セット目の「AXIOM80」を譲ってくれた千葉のSさんも音楽喫茶を開くのが夢で、その時には店名を「アマデウス」にしようと決意されていたそうで、「音楽好きは似たようなことを考えますね~」と二人で苦笑したものだった。


さて、この音楽喫茶の顛末だが「こんな地方の田舎でどれだけクラシック・ファンがいると思っているんですか。食べていけるわけがないでしょう!」とのカミさんの凄い剣幕に気圧されて、結局諦めざるを得なかった。常識的に考えても、おそらく誰もがそう言うに違いない。

こうして、今となっては何の憂いもなく音楽・オーディオ三昧の日々が送られるのだから、当時の選択はおそらく正しかったのだろうと思う今日この頃。

まあ、「今が良ければすべてよし」なんでしょうかね(笑)。

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