「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

デジタルの人生は肉体の人生より長い

2019年10月19日 | 独り言

つい先日の「日経新聞」(10月13日付け)に興味深い記事があった。

題して「死者のプライバシーは守れるか」。そして小題として「私たちのデジタルの人生は肉体の人生よりも長い

デジタル遺産の話題はこのブログでも以前に取り上げたことがあるが、最新情報になるので無視するわけにもいかない。

この”しょうもないブログ”だってデジタル遺産の一環ですから、当人にとってはかなり切実感がありますよ(笑)。

   

解像度がイマイチのため読みずらいでしょうから要約してみよう。

「著名な人物が残した言葉や写真は社会的、歴史的な価値を持つ。ただ今はごく普通の人でも思いがけずたくさんの情報を死後に残す時代だ。

SNSへの書き込みやスマホやパソコン内のデータなど、死後に残る「デジタル遺品」への関心が高まっている。

60人の大学生を対象にアンケートをとったところ、「削除したい」が51%、「残しておきたい」が13%、「遺族に任せる」が23%だった。

ただし、死後にそのまま放置すると乗っ取られて悪用される危険がある。

その辺を留意しつつ、逆に故人を追悼するホームページをつくったり、亡くなった人が綴ったブログを保存したりするケースも増えてきた。

親しい人の写真や遺品を長く残したいとの思いは自然だ。ネットの上ならいつでも遠くからでも訪れることができる。

死後に残したデジタルデータは誰のものなのだろうか。死後のプライバシーというのはあるのだろうか。

研究者によると「はっきり定めた法律はない」。プライバシー保護に熱心な欧州の保護規則も対象となっているのは生きている人だけだ。

結局「生前のプライバシーと同様に故人の意向に沿って取り扱われるのが望ましい」。

理化学研究所の人工知能の研究家は次のように述べる。

日々の生活や行動の一切を記録した画像や音声などを「ライフログ」と呼ぶが、一生分を残すことは可能だ。このデータを活用すればあたかもその人がまだ生きて話すかのように応答する「AIもどき」がつくれる。それも本人そっくりに巧妙にデザインされたCG動画付きで。

そんなことが当たり前になれば、親しい人を弔うという慣習や個人を偲ぶ気持ちも次第に今とは変わったものになっていくのかもしれない。

人生は短くデータは長生きだ、そんな時代の入り口にいる。」

 

とまあ、かいつまむと以上のような内容だった。

実はこのブログでも9年ほど前に「センスキャムの出現に思う」と題して関連した内容を投稿しておいた。もう忘却の彼方にある方が大半だろうから再掲しておこう。

ちょっと長くなるので暇のある方だけどうぞ(笑)。

「エコノミスト誌」(2009年6月2日号)巻頭の「闘論席」に興味深い記事が載っていた。

脳科学者の池谷裕二氏による「センスキャム」についての寄稿。

既にご存知の方もあるかと思うし、要約して紹介するのがいいのだろうが、エ~イ面倒くさい、そっくり引用させてもらおう。

『センスキャムという装置が注目を集めている。2004年には、米マイクロソフト社が試作品を披露したので、ご存知の方もいるかもしれない。

これは
首からつりさげるデジタルカメラで、日常的なシーンを自動的に記録する、いわばビジュアル日記
である。

最近は小型化や軽量化や広角化が進み、赤外線センサーと可視光センサーも備え、部屋を出入りしたり、誰かが目前を横切ったときに、自動でシャッターを切る仕組みになっている。
訪れた場所や会った人など、その日の行動履歴が、毎日約2000枚の断続写真として保管される。

実際に使用した人によれば、
半年前のことであっても、数枚の写真を見ればあたかもそれを再体験しているかのように、鮮明な記憶を自然に思い出すことができる
という。
この装置が最近再注目されている理由は、ビジネスや娯楽としてではなく認知症治療への応用が期待されているからだ。 治療に初めて適用したのは英アッデンブルックス病院の研究グループである。

今年、その成果が報道された。記憶が数日ももたなかった患者が数ヶ月もの記憶保持に成功した劇的なケースがあり、試行期間が終わっても、使用継続を希望する患者もいたという。

ビル・ゲイツ氏は「センスキャム」の可能性に惚れ込み、数百人の記憶障害患者に配布するため6000万円の開発費を複数の研究グループに寄付している』

以上のとおりだが、折角なので「センスキャム」検索してネット情報を追ってみた。まだ少なかったが目ぼしいものをアトランダムに箇条書きしてみると次のとおり。

 
マイクロソフトの研究チームは人の一生を全てデジタルで残す研究をしている 

 「センスキャム」は12時間で2000枚もの画像を自動的に撮影できる

 
試作品の段階では明るい光や突然の動作と言った変化に反応させているが将来的には(人間の)心拍や肌の温度に反応する

 
浮気している人はどうすんだ、これ!

 
ウィルス感染で自分の人生が全て消えたらどうする?

人間の記憶は実に広範に亘っているので忘れることも多いし、むしろそっちの方がいいという人もいるが、現実にはある種の記憶を根拠にして生きているのも事実。、

したがって身の回りの出来事をデジタルで記憶して全てパソコンにしっかり保管しておくといった発想はやっぱりスゴイと思う。

現在、巷に氾濫している文章主体のブログも将来はビジュアル日記みたいに写真中心の形になる可能性が大いにある。 つまり「映像が言葉を駆逐する」可能性大だが、「頭の中でイメージをゆっくりと膨らませる」という点では文章の方が長(た)けている気もするがそんなアナログ的な思考も今後、徐々に形を変えていくんだろう。

とにかく、こういう話は「これから段々と人間の脳がコンピューターに置き換わっていきますよ」という象徴みたいな感じがするが、20世紀のエジソンと呼ばれスキャナーの発明で有名な「レイ・カーツワイル」氏の近著「シンギュラリティ(特異点)は近い」(邦題:ポストヒューマン誕生コンピュータが人類の知性を超えるとき)
によると2045年ぐらいにはコンピューターの演算処理の加速によって人工知能が人間の知能を上回るようになるという。

NHKのBSでもやってた。

                                   
               

「人間の知能」くらいならまだしも、「人間らしさの根源」ともいえる「心の動き」となるとどうだろうか。

そうなるとたいへんだが、スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」にも、コンピューターが人間に反抗する印象的なシーンがあって妙に記憶に残っている。

さて、その「心の動き」を読み取る具体的な手法としては「脳波」を利用する技術がある。
脳には多くの神経細胞が存在し細かな網のようなネットワークをつくりあげているのだが、脳が何らかの働きをするとこの神経細胞に電気信号が流れ頭皮上に電位変化があらわれる。

これが「脳波」だがこの変化をとらえて類型化すると「感情の変化」が読み取れるようになる。この技術は犯罪捜査やメンタルケアでの活用が考えられているが、上記の「センスキャム」にそっくりこの「脳波測定」の技術を応用する事も当然考えられる。

つまり「明るい光、突然の動作」 → 「心拍数や肌の温度」 → 「脳波を感知」へと「センスキャム」のシャッター・チャンスが自動的に増えていくとコンピューターがより人間臭く
なっていく。

それに、いずれ「ナノボットの時代」がやってくるとカメラも超小型化しほんの首飾り程度に収まるようになれば洒落た真珠みたいな首飾りやイヤリングを身につけて前後左右の四方向の写真を撮りまくるのも夢ではない時代がやってくる。
犯罪防止には極めて役立ちそう!

もちろん、いいことばかりではない。ヴィジュアルのコンピューター利用はプライバシーの侵害がつきもの。近年、グーグルが街路上の家を特定できるまで細かく写した地図を公開して物議を醸したが、この「センスキャム」は下手をするとそれ以上の危険性を孕んでいる。

この命、2045年まではとても無理だが、はてさてどうなることやら~。

この内容に共感された方は励ましのクリックを →       

 

 

 

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする