「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオと「風のイメージ」

2019年10月26日 | オーディオ談義

つい先日の「七転び八起きのオーディオ・スタイル」の続きです。

ノンフィクション作家の柳田邦夫氏のエッセイの中に「こだわりの克服」というのがある。

「人間には誰しも何らかの”こだわり”を持っている。その根底にはその人の生きかたや歩んできた人生、家族や社会の中での役割あるいは仕事、社会的地位と評価などによって形成されたその人ならではの規範が横たわっている。

そして、その「こだわりが嵩じてしまうと自分の生き方や周囲の人々との関係でなかなか抜け出せずに苦しむ人が多いし自分もその例に漏れない。」

これを、我が「オーディオ人生」に当てはめようというのはちょっと無理筋かもしれないが(笑)、これまで比較的小ぶりのSPエンクロージャーでは「3ウェイ」だけは絶対に止めておこうと拘っていたが、廃品同様のユニットを生かすためには背に腹は代えられないとばかり、無理矢理組み立てたのが「にわか作り」の「3ウェイシステム」。

   

ところが予想だにしないほどの「素晴らしいサウンド」が出現したのにはまったくうれしい悲鳴だった。

ただし、こういう行き当たりばったりのケースではじっくり聴きこむと、往々にして「ぬか喜び」に終わることも限りなく経験しているのも事実(笑)。

そこでひときわ慎重に3日間ほど集中的に、それこそクラシックからジャズ、ポピュラー、歌謡曲までいろんな音楽ソースを聴きこんだところ、それでも欠点がいっさい見えてこない!

もしかしてこれは本物のサウンドかもしれないな・・。

そういう状況のもと、幸いにも22日(火)に近隣の「Y」さんに試聴していただいた。

「今、何をやってますか?」「フルートの練習です」「よろしかったらシステムの模様替えをしたので聴いていだけませんか」「ハイ、すぐ行きます」。「阿吽の呼吸」とはこのことか(笑)。

そして、日頃から辛口でズバズバと歯に衣着せぬご意見を述べられるYさんなので、それなりの覚悟をしていたところ意外な言葉が並んだ。

「これは素晴らしい。3つのユニットのバランスが見事に決まってます。音の密度が充実していて周波数の谷間がいっさいない感じです。

AXIOM80もいいのですがやや神経質なところがありますから、こちらの方が上かもしれませんね。

それにしてもウーファーはアメリカだし、スコーカーは日本、そしてツィーターはイギリスですからよくぞ多国籍企業をうまくまとめましたね」


「そうでしょう!低音域は陽気で明るいアメリカ人に任し、高音域は上品で知的なイギリス人へ、その間の接着剤は日本人という目論見ですよ」と、珍しく意見が一致してにわかに図に乗る自分(笑)。

うまくいった最大の原因はウーファー「D123」(JBL:口径30センチ)が100dbを越える高能率にあると秘かに睨んでいる。

それはともかく「3ウェイだけは嫌」と、こだわっていたのはどこのどいつだ(笑)。

というわけで、オーディオにおける「こだわり」は前進の妨げになることが多いことをつくづく痛感した次第。まあ、そのときどきの周辺機器の環境によっても大いに変わるわけですがね。

冒頭の文章には次の文章が続く。

“風のイメージ”・・・・いいな、と思う。形にこだわらず、相手に応じて変幻自在、どのようにでも自らの形を変え、相手にさらりと触れるけど、飄々(ひょうひょう)と去っていく。」

オーディオも人生もかくありたいものだが、まだまだ精進不足です(笑)。

なお、この日は「ウェストミンスター」(改)の試聴も行った。

   

その結果、「175」と「075」のコンビの自己主張がやや強すぎるようなので、次の点を変更した。

 JBL175用のハイカット用のネットワークを外して上限をフリーにした。

 075ツイーターのコンデンサー(スプラグ)を「0.39μF」から「0.22μF」へと落とした。

これでより聴きやすくなった気がするが、しばらく様子を見てみよう。

最後に真空管の相性実験を記録しておこう。

   

駆動しているアンプ「PP5/400シングル」の前段管「LS7」(GEC)と「GSXー112」のどちらが相性がいいか。

   

左が「GSX-112」(1930年代製:トリタンフィラメント)、右が「LS7」(GEC)。

試聴の結果、出力管が「PX25」のときは、前者も後者もさほどの違いが無かったのに「PP5/400」になった途端に「GSX-112」の方が情報量が多くなってサウンドが伸び伸びと鳴ってくれた。

Yさんと二人して「とても面白い現象ですねえ!」(笑)。

出力管のグレードに応じて前段管の能力の伸びしろが変わるのだから実に興味深い。

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