「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

仁義なき戦い

2014年11月29日 | オーディオ談義

我が家のスピーカー「AXIOM80」(以下「80」)を鳴らすのに一番相性がいい真空管は「1920年代製」のもの。

同じ「80」仲間のKさん、Sさんたちが口を揃えて「音の切れ味、スピード感など申し分ありません。ダントツです。」と太鼓判を押されるほどだから間違いなし(笑)。

難点は90年前の製品なので、程度のいいものが少なく、しかもオークション市場にも滅多に出回らないこと。これまで国内で稀少管の在庫を豊富に持っているめぼしいショップをいろいろ当たってみたり、個人の収集マニアを当たってみたりしたがまったくの在庫なし。

もう完全にお手上げの状態で、仲間たちともども気長に根気よく探すしかなかったが、このたびその「古典管」を運よく9本ゲットすることに成功した。まさに僥倖としか言いようがないので、その経緯を記してみよう。

11月初旬にT県の「O」さんという方から非常に程度のいい整流管(アーチュラス)を落札した。こういう1930年代の稀少管をオークションに出すほどの方だから相当のマニアだなという印象を持っていたところ2~3日後に我が家に届いた小包の中にご丁寧にも1通の文書が添付されていた。

文面は次のとおり。

「このたびはアーチュラスの真空管を落札していただき御礼申し上げます。私のオークションは荷物整理のために始めました。自分でも呆れかえりますが所有している真空管は数千本に及びます。また一生かかっても使用しきれないパーツ類など
多数あります。

それらの品物は随時整理しながら出品いたします。最低落札価格は極力低く設定いたしますのでお時間のあるときにでもご覧いただければ幸いです。改めて、このたびはまことにありがとうございました。」

ワァ~、数千本の在庫とは恐れ入ります!

当然のごとく「1920年代製の古典管を血眼になって探してますが、もしかしてお持ちではないですか?」と藁(わら)をもすがる思いでメールしたのは言うまでもない。

すると、「3年以上も前にかなりの本数をオークションに出して処分しましたが、まだ在庫があります。調べてみます。」とのご返事。

まだ値段も何も決まっていないのに、「どうしても手に入れるぞ」と久しぶりに血が湧きたった(笑)。とにかくいくらお金を積んでも市場に出回っていないのだから少々の無理難題を吹っ掛けられても仕方がないという覚悟を決めた。

しばらく調査されたのちに「9本あります。」とのご返事。どうやら外国暮らしが長い方のようで、現地で手に入れられたご様子。

幻に近い存在の真空管が9本もあるのだから早く手に入れた方が勝ち。「余人には絶対に渡したくないなあ、いい音を独り占めするぞ~」。これじゃあまるで「仁義なき戦い」だ(笑)。

「9本すべて購入したいです。1本当たりの販売価格をお知らせください。」とすかさずメールした。

ここからOさんとの丁々発止の価格交渉に入った。Oさんの立場にしてみると、一面識もない人間を相手にするのだから義理とか人情があるわけではなし、はたしてオークションに出した方が得なのか、それともこの自分に売った方が得なのかの二者択一でしかない。

オークションだと稀少管とあって天井知らずの価格になる可能性もあるので、よほどのご厚意に“すがる”しかないとやや悲観的な見方をしていたところ「私は悪徳商人になる積もりはありません!」とのありがたいご返事で、格安の価格で見事に妥結。これからOさんがお住いのT県の方には足を向けて寝られません~(笑)。

ほどなく3台もの真空管測定器によって慎重に測定された数値付きの古典管が9本我が家に到着した。

           

このうち3本は喉から手が出るほど欲しがっている仲間たちに配布するので手元に残るのは6本。

まあ、これだけあれば大丈夫だろう。これから球切れを心配することなく毎日気持ちよく使えるのでうれしい限り。

存命中に娘によく言って聞かせねばなるまいて。

「お父さんが死んだ後でもこの球だけは“たいへんな思い”が籠っているので簡単に手放すことがないようにな!」(笑)。
 


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