同じSPユニット「AXIOM80」を愛好しているKさん(福岡)とは今年の3月からのお付き合いだが、4月から5月にかけて通算して7回ほど我が家にお見えになっていただいた。
通常、オーディオマニア同士の行き来となると、かなり親しい間柄でもせいぜい半年に一度くらいだから、こう度重なるともう何年もの古いお付き合いをしているような気がしてくる。
そして一昨日の24日(金)は、5月5日以来だからおよそ3週間ぶりのご来訪となった。
「丁度、別府への到着時刻が11時頃になります。よろしかったらぜひ昼食をご一緒にいかがですか?関サバを食べたいのですが、どこかいい料理店を知りませんか?」
「エッ、関サバですか!(料理店を)知らないことはありませんが、メチャ高いですよ。二人前で軽く5桁はいきますが、それでもいいんですか。」
「任せておいてください。」
「社長さん」の力強い言葉に大船に乗った気持になった(笑)。
試聴を始めたのは13時ごろから。
今回の試聴のテーマは次の3つ。後日のために結果を記録しておくことにした。
1 つい最近、ネットワークを交換したJBL375ドライバー用のアンプ(真空管)のベスト機種の選定
2 新しい組み合わせのスピーカー(JBL-D130+AXIOM80)のご感想
3 Kさんが持参した真空管(中国製の300B)の試聴テスト
まず1について
真空管アンプ「PX25・1号機」「PX25・2号機」「2A3・2号機」3台をテストしたが、Kさんによると明らかに以前よりも375が低音域の方向に伸びたことはたしかとのことで、まずは一段落。
2時間ほど試聴した結果、ベスト機種は2週間ほど前にMさん(奈良)から修繕していただいた「PX25・2号機」に決定。低音域までよく伸びたクセのない音質が375とベストマッチだった。ただし、「2A3・1号機」が修繕のためドック入りしているので、戻ってきてから再度テストしてみるつもり。
次に2について
「この組み合わせをブログで拝見したときに、正直言って〇〇さんは何を血迷ったことをされるんだろうと、思いましたが、実際に聴いてみると違和感はそれほど感じません。随分うまくまとめてあります。特に、ワーグナー(ワルキューレ)はこの長大なバックロードホーンでないと聴けませんね。しかし、私は自宅でAXIOM80をフルレンジで聴き慣れてますので、従来のフォステクス(低音用ユニット)との組み合わせの方がホッとします。音の密度も濃いような気がします」
ごもっとも!これはどちらがいい悪いではなく、好みの問題だろう。
そして最後の3について。
Kさんは真空管アンプを12台所有されているが、その中にはエレキットの300Bアンプも入っている。現在中国製とロシア製の2種類を交互に試聴されているとのこと。今回持参されたのは中国製の300B。
「〇〇さんはウェスタンのオリジナルの300Bで鳴らされているので、中国製の球を持参すると失礼ではないかと、これまで遠慮していましたが、今回は思い切って持ってきました。オリジナルのWE300Bと比べてどこがどう違うのか興味津々です。」
左側から順にWE300B(1950年代製造のオールド)、中国製の300B,そして1988年製のWE300Bで、この順番にテストした。スピーカーは「AXIOM80」。
結果から言えば中国製が大健闘だった。エレキットのアンプに付属してくる300Bは随分当たり外れがあるそうだが、艶の有無とかの贅沢を言わない限り、これで十分という鳴り方だった。
また、1988年製のWE300Bが予想以上にしっかりした音を出してくれた。
Mさんによると「私の(アンプの)お師匠さんが言ってました。これまで300Bアンプをいろんな回路で300台近く作ってきたが、ウェスタンの’80年代の球はすべての回路にきちんと対応できたものの、オールドはそうでもなかった。
どうもヘタっているのがかなり混じっているようだ。映画館などの興業用に使われていた300Bが毎日の酷使に耐えつつ10年間ほど経つと一律に交換され、そういう中古の球が市場に出回っている。中には2~3年で倒産した映画館などがあってそういう球に当たれば御の字だが、玉石混交なのでとにかくオールドだけはオークションなどで手を出さないように!」
オールドに比べて、とかく疎んじられる1980年代製造のWE300Bだが、安定感というメリットも大いにある。実際にこの日の試聴でもベストの鳴りっぷりだった。
さて、新しい発見を交えて次から次に試聴するうちに、あっという間に時間が経っていつの間にか5時近くになった。
「帰ってから一仕事待っています」というKさんを見送りながら、玄関先で「今日はどうもお御馳走になりました。いまだに舌が痺れています(笑)。」
翌日(25日)の午前中、Kさんから電話があった。「’88年製のWE300BとAXIOM80で聴いたヴァイオリンの彫りの深い音がいまだに耳に焼き付いて離れません。」
どんなに“ささやか”でも、人の心にインパクトを与えることが出来れば、これほどオーディオ冥利に尽きることはない!