北海道新聞 2025年6月11日 21:17
【千歳】北海道内外のアイヌ民族ら約200人が5月に大阪・関西万博で披露したアイヌ舞踊公演には、千歳アイヌ協会と千歳アイヌ文化伝承保存会の計7人も出演し、地域で守り継がれてきた文化や思想を世界へ発信した。千歳の出演者たちは「アイヌ民族を理解してもらう貴重な機会だった。差別がなくなるきっかけになれば」と意義を語った。
公演は公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)が、万博会場の「EXPOホール シャインハット」で5月17日に開催。「道央・道北」「道南」「道東・関東」の3チームによる3部構成で、各地に伝わる歌や踊りを披露した。出演者たちは「役割を持たずにこの世に生まれてくるものは一つもない」「あらゆるものが互いに支え合い、この世界が成り立っている」などの思いを込めて踊った。
千歳からは10~70代の男女7人が道央・道北チームの一員として出演。札幌、旭川、苫小牧などの出演者とともに、第1部「イランカラプテ」で千歳に伝わるウポポ(座り歌)やホリッパ(輪踊り)を披露した。
出演した千歳アイヌ協会理事の上野亜由美さん(58)は「アイヌ民族はどんなことを考え、どんなことを大切にしてきたかを理解してもらう貴重な機会だった」と振り返る。そして「自分がアイヌだと言えなかったり、さまざまな事情で差別や偏見に苦しんだりしている人に、勇気を与える公演になっていたらうれしい」と語った。
万博でアイヌ舞踊などを披露した千歳アイヌ協会と千歳アイヌ文化伝承保存会の会員たち=7日、千歳市内
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