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<ウポポイ オルシペ>49 北方情報のネットワーク アイヌ資料遠隔地にも

2022-09-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞09/27 05:00

菅茶山コレクション(重要文化財)=佐藤雅彦撮影
 第5回特別展示「イコロ ウエカリレ アイヌ資料をコレクションする」では、現在、国内最古級と見なされる1800年前後に収集された資料が展示されています。
 最も古いとされるのが江戸時代の平戸藩主、松浦静山が今から約230年前の天明年間に収集した弓矢、箆(へら)などです。次に江戸時代の漢詩人、菅茶山が収集した印籠、たばこ入れなど(いずれも国指定重要文化財)があります。
 北海道から遠く離れた地に、どうしてアイヌ資料があるのでしょうか。
 松前藩家老の蠣崎波響は「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」の作者として有名ですが、波響は松浦静山、菅茶山ともに親しい間柄であったことが知られています。さらに収集資料には「松前藩から」との記載もあり、藩から贈られたようです。
 またこの三者には共通して木村蒹葭堂(けんかどう)とのつながりもあります。蒹葭堂は、なにわの知の巨人とも評され、18世紀を代表する大阪の文人です。蒹葭堂のところには大名から庶民に至る数多くの人が出入りしサロンの様相を呈していたといわれ、彼が記した日記には、交遊のあった北方に関わった人の名を見ることができます。クナシリ・メナシの戦いの当事者である飛騨屋武川久兵衛。幕府役人で蝦夷地(えぞち)を踏査した最上徳内。地理学者で幕府巡見使に同行して松前まで巡り「東遊雑記」を著した古川古松軒。幕府の調査隊の一員として松前から厚岸まで踏査し「蝦夷風俗図式」などの著作がある谷元旦などです。
 従来の北方地域への関心の上に、ロシアの千島進出が重なり、さまざまな情報がやりとりされるとともにアイヌ資料が収集されることになっていったのかもしれません。(文・国立アイヌ民族博物館研究学芸部長=藪中剛司)
◆イコロのロは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/736650/
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