聞き手・鈴木雅人 有料記事
北海道新聞2024年11月11日 19:30(11月11日 20:56更新)
1968~70年の北大紛争での北大全共闘(全学共闘会議)運動を描いた「極北の全共闘-あの時代と私たちの55年-」の出版記念会が、札幌市内で開かれ、元学生ら約40人が当時を語り合った。
運動は69年、学生が大学民主化などを掲げ、大学本部などの建物を実力で封鎖。デモ行進中に機動隊と乱闘となるなど多くの学生が逮捕された。
8日の記念会では、当時逮捕された学生の1人、杉戸孝さん(75)=名古屋市在住=が「やったことで多くの波紋があった。これを引き受け、体験の継承を続けたい」とあいさつ。杉戸さんらの裁判で特別弁護人を務めた哲学者花崎皋平さん(93)=小樽市在住=は「自分たちの生き方を貫いてきた世代。元気で活躍を」と話した。
今回の出版の契機になったのが長崎の被爆2世である杉戸さんが昨年、自費出版した手記「記憶を紡(つむ)ぐ」。全共闘の体験もつづられ、手記を読んだ当時の仲間たちの記憶が刺激されたという。
会場では、70、80代となった元学生らが「全共闘運動は何をしたのか。問い直しをする時」などと意見を交わした。運動当時は高校生だったという参加者もおり、高校中退後に送った厳しい人生を語る姿もあった。
■花崎皋平さん「運動は無駄じゃなかった」
北大の全共闘運動を振り返る花崎皋平さん=10月26日、小樽市の自宅(鈴木雅人撮影)
1969年の北大本部の封鎖解除で逮捕された学生の裁判で、特別弁護人として最終弁論をした花崎皋平さん(93)=小樽市在住=。学生の実刑判決後、北大助教授を辞し、哲学者、著述者としてアイヌ問題や市民運動に関わってきた。北大全共闘運動について聞いた。
-運動当初から学生をみてきました。
「64年に文学部西洋哲学科の講師として北大に赴任しました。その後、東京で『ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)』運動が始まり、66年に札幌べ平連をつくりました。北大べ平連もでき、北大全共闘に加わった。見知った学生が多くいましたが、彼らは大学の在り方を問い、大衆団交を大学当局に求めました。私も教員として大学に話し合いを訴えましたが、願いは断たれ、学生はこれに抗議したのです」
-なぜ大学側は話し合いを拒んだのでしょう。
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