山本哲朗 会員限定記事
北海道新聞 2025年3月25日 4:00
「札幌の美術ユニットReguReguが装幀用に制作してくれた人形の立体アートも気に入っています」と話す澤田展人さん
札幌在住の作家澤田展人(のぶひと)さん(71)が小説集「アジアのヴィーナス」(中西出版)を出した。2016年から24年にかけて道内の文芸誌に掲載した中短編4作を収録。日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた美しい少女が傷つき、もがきながらも懸命に光を求める表題作など、いずれも人間の真の強さや優しさに気付かされ、読後に胸が熱くなる。
澤田さんは札幌出身。長く高校教員を務める傍ら30代で創作を始め、18年に「ンブフルの丘」で第52回北海道新聞文学賞を受賞。16年から個人文芸誌「逍遙通信」を手がけており、著書は4作目。
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どの作品も貧困や格差、暴力などに虐げられた人々を見据え、アイヌ民族差別や外国人のヘイト問題なども背景に描いた。・・・・・・