週刊economist 2025年6月20日
『ヒトとヒグマ』 増田隆一著 岩波新書 1012円
近年は人里に出没し人間を襲うなど怖さの印象が強いヒグマだが、研究者の著者はこれほど人間の文化や生活に関わってきた野生動物はいないと指摘。最新の知見から大昔に日本へ渡ってきた経路など歴史を解説する。アイヌなど北方の先住民はヒグマを狩る一方、冬眠をはじめ神秘的な生態に畏敬(いけい)の念を覚え、その魂を精霊の世界に送り返す儀式を続けてきた。ヒグマが人間の社会に及ぼした文化面の影響も列挙。共存を考える上で参考になりそうだ。(W)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20250616/se1/00m/020/007000d