渡部淳 会員限定記事
北海道新聞 2025年6月26日 4:00(6月26日 14:28更新)
何げない日常の描写力で高く評価される八鍬新之介さん。「ファンタジーのように非日常的な作品は他の作り手がたくさん作っている。僕は、実写向きな題材でアニメーションの可能性を広げたいと思います」(金田翔撮影)
■今に連なる過去 可視化を
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現在はそれまでの歴史が連なって成り立つ―。それが連累であり、植民地支配など過去の加害行為に、当事者ではない後の世代の人も無縁ではない、と歴史学者のテッサ・モーリス・スズキ氏らが指摘する概念だ。「無意識的に構造的差別に参加していないか。まず過去に何があったか知って可視化しなければ。見えない鎖のままでは、断ち切れないと思うんです」
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やくわ・しんのすけ 1981年、帯広市生まれ。帯広柏葉高から日大芸術学部へ進み、2005年にシンエイ動画(東京)に入社。テレビアニメ「ドラえもん」の制作進行でキャリアをスタートさせ、演出などを経て14年の「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境~ペコと5人の探検隊~」で監督デビュー。「窓ぎわのトットちゃん」は24年、アヌシー国際アニメーション映画祭(フランス)で長編部門の特別賞「ポール・グリモー賞」を受賞した。