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<正月に食べたい 北海道・食の遺産>(5)スケソウダラのオハウ(白老) うまみ 決め手は肝

2022-12-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞12/27 05:00

白老ならではの「スケソウダラのチェプオハウ」と清水綾子さん。オハウは昔から手に入る自然の恵みを生かしてコタンの人々の主食となり体を温めてきた(植村佳弘撮影)
 海の恵みと大地の幸が、混然一体となって汁の中にあふれる。胆振管内白老町の川沿生活館の調理室に湯気が立ちこめた。
 三平汁の原型ともいわれるアイヌ民族のオハウ(温かい汁物)。各種の食材を入れ、油脂や塩で味付けする具だくさんの汁物だ。
 民族共生象徴空間「ウポポイ」のある白老は道内でもアイヌ文化が比較的広く伝承されてきた。伝統食のオハウを提供する飲食店もあり、学校給食にも出る。
 「オハウは日常の料理でもあり、特別な食材を入れてハレの料理にもなる。海に面した白老ではいろんな魚を使うチェプ(魚)オハウが食べられてきた」と、白老アイヌ協会事務局長の岡田路明(みちあき)さん(72)が説明してくれた。
■人々助ける魚
 「最も白老らしいのは、たくさん捕れて人々を助けてくれるためアイヌ語で『カムイエレクシ』(神のタラ)と呼ばれたスケソウダラのオハウ。身にあら、必ず肝(肝臓)が入るのが特徴です」
 オハウを作ってくれたのは小学5年から家の賄いを手伝って伝統料理に詳しい同町の清水綾子さん(75)。最初に手際よく前浜産のスケソウをさばき、肝臓や胃袋を取り出す。マダラやスケソウの肝臓は傷みやすいため、札幌など内陸部ではまず店頭に並ばない。
 岡田さんは「本来は大量の肝を鍋で煮詰めて作るタラスム(タラの油)を入れたいところですが、最近は作る人がいなくなった。でも、肝を入れるだけでぐんとおいしくなる」とも教えてくれた。
 約30分で、ぐつぐつ煮える鍋からいい匂いが漂い始めた。仕上げに長ネギ、さらに地元で「ボロコンブ」と呼ばれる穴だらけの雑海藻スジメの乾燥品で磯の香を加える。味付けは清水さんが目分量で入れた塩だけだ。
■優しい味わい
 濃厚な味の肝を入れたのに、汁に濁りはなく澄んで優しい味わい。ジャガイモなどの野菜から出た自然な甘みと魚の豊かなうまみが溶け合い、コクがある。
 かつて道内ではニリンソウ(オハウキナ)などの山菜を春にまとめて採取し、乾燥させてオハウに入れたが、そうした営みは今は少なくなった。
 生の肝を入れただけでこれだけうまみが増すのに、そのエキスを凝縮したタラスムを入れたオハウはどんな味がするのだろうか。「(町内の)虎杖浜で名産のたらこを製造する際に肝臓は廃棄される。これをタラスムに加工できればいいのですが」と岡田さん。実現してほしい夢だ。(編集委員 和田年正)
=おわり=
<メモ>白老町でオハウを提供している飲食店は、ウポポイ(若草町2)内の「カフェリムセ」(電話0144・85・2177、営業は冬期は月曜と年末年始以外の午前9時~午後5時)、白老アイヌ協会が運営する「かふぇピラサレ」(本町1、白老コミュニティセンター内、電話090・1384・0141、営業は原則火~金曜の午前11時半~午後1時半)など。ただし、スケソウではなくサケのオハウなどになる。
◆チェプのプ、カムイエレクシのシ、リムセのムは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/780937/
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