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G20観光シンポジウム詳報<基調講演2>シャノン・ストーウェルさん「アドベンチャートラベルを通じた持続可能な観光地域づくり」 『体験型』道内に可能性 環境保全急務

2019-05-29 | アイヌ民族関連
北海道新聞05/28 15:40
【基調講演2】
■シャノン・ストーウェルさん(アドベンチャートラベル・トレード・アソシエーション最高経営責任者)
 アドベンチャーツーリズム(体験型観光、以下AT)がもたらす効果や課題、成功事例と今後についてお話しします。
 私たちの使命は各地の観光コミュニティーを結びつけ、自然環境を守りつつ経済価値を生み出すことです。ATは50年ほど前、カヤックや登山、サイクリングを楽しむ人が自然発生的に始めました。市場が大きく成長し始めたのはこの10年で、年間約20%も成長しています。
 ATは自然、文化、アクティビティの三つが中心で、持続可能な産業の好例です。スカイダイビングのような激しいものもありますが、乗馬のように気軽に楽しめるものもあります。北海道は自然体験や日本の伝統文化に加えてアイヌ文化があり、ATは大きな役割を果たすでしょう。
 どんな人がATを好むのでしょうか。2年前の調査では「新しいことに挑戦したい」「日常に変化をもたらしたい」あるいは「健康を保ちたい」などが動機でした。世界中の旅行者10人のうち4人は何らかのATに参加しています。45歳以上が中心です。
 団体旅行では、旅行客が使うおカネのうち現地に残るのは15%で、大半は外に出ていってしまいます。ATでは65~75%と大半が旅行先に落とされます。またATでは1日で平均477ドル(約5万2千円)が消費されることも分かっています。
 ATは自然だけでなく、住民にも深く関わってきます。地元が経済的な恩恵を受けることで、海や森、砂漠の近くに住む人が、自然環境を将来にわたって守る動機付けになるのです。
 一方、カンボジアのアンコールワットやペルーのマチュピチュはATの重要な目的地ですが、観光客が多すぎるという問題を抱えています。マチュピチュでは観光客に来ないよう呼びかける運動が行われています。
 気候変動やマイクロプラスチックの問題も含め、課題対応への時間はあまり残されていません。重要なのは、各国政府や企業が持続可能な将来に向けた態勢をどのようにつくるかです。
 「目に見えない負荷」という言葉があります。観光地のごみ処理、下水や交通インフラの整備に対し、住民だけでなく、旅行客も必要な経費を払うという考え方です。どのような観光のあり方が正しいか吟味すべきです。
 次に、さまざまな観光の取り組みを紹介します。ヨルダンの旅行会社では、現地の女性をガイドとして訓練し、仕事の機会を与えています。ケニアのあるロッジではプラスチックを一切使いません。オランダではライバル企業が連携し、二酸化炭素の排出に伴う費用を消費者に負担してもらう試みをしています。ごみを全く出さない旅行商品を企画する動きもあります。
 国連世界観光機関のタリブ・ティファイ博士は「地元の人に歓迎されなければ旅行や観光に未来はない」と指摘しました。住民の観点は観光地にとって大変重要です。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/309526
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