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6600年前!世界最古のウナギ養殖場はオーストラリアにあった【世界遺産/バジ・ビムの文化的景観(オーストラリア)】

2023-09-04 | 先住民族関連
TBS2023年9月3日(日)7時0分 

「日本の夏の食べもの」と言えば鰻丼や蒲焼きなど鰻料理ですが、ウナギを食べるのは日本人だけではありません。
実は、世界最古のウナギの養殖場はオーストラリアで作られました。しかも6600年前!日本がまだ縄文時代だった頃です。
ウナギの養殖場が世界遺産に!?
その養殖場は、2019年に「バジ・ビムの文化的景観」という世界遺産になりました。
世界遺産入りが決まったユネスコの世界遺産委員会(新しい世界遺産を決めるため各国が参加・審議する国際会議)を傍聴していたのですが、「ウナギの養殖場が世界遺産になるのか!?」とビックリし、すぐに番組「世界遺産」で取り上げようと決めました。
しかしコロナ禍のため延期が続き・・・今年ようやく撮影に行くことができました。
バジ・ビムは、オーストラリアの南東部、湖や川や湿地帯が広がる地域です。養殖場があるのはコンダー湖という大きな湖。
一見すると、人の手が入っていない自然のままの風景なのですが、よく見ると水の流れをコントロールする石組みの堰(せき)が各所にあり、人工と分かる水路も残っています。
このウナギ養殖場を作ったのは、グンディッジマラ族というオーストラリアの先住民。
ウナギの養殖は200年ほど前までは実際に行われていたのですが、ヨーロッパ人の入植によって途絶えてしまい、養殖に関連する建造物が遺跡として残っているのです。
現在確認されているだけでも人工の堰や池が150以上も残り、長さ180メートルもある水路跡も見つかっています。その養殖の仕組みは巧みでした。
世界最大&世界最古の養殖システムで豊かな暮らし
オーストラリアウナギは、世界最大のサンゴ礁グレート・バリア・リーフの東にある深海で生まれ、稚魚がバジ・ビムの南にある海岸から川を遡上し、コンダー湖にたどりつきます。
グンディッジマラ族は、湖から引いた水路に小型のウナギだけが通ることが出来る仕掛けを設置。
仕掛けの先にある池には、小型ウナギがたまり、それが育つのを待って食べたのです。この養殖システムによって、彼らはいつでも安定してウナギを手に入れることが出来るようになりました。
6600年前にコンダー湖を舞台に先住民が始めた養殖は、世界最大かつ世界最古の養殖システムのひとつと言われます。
かつてオーストラリアの先住民の多くは定住せず、移動しながら狩猟採取する生活を送っていました。
しかし、ウナギを安定的かつ計画的に手に入れることが出来たグンディッジマラ族は家を作り、水辺に定住したのです。
彼らはさらにウナギを燻製して保存が利くようにし、交易品にもしました。
まさにウナギと共に生き、ウナギによって他の先住民よりも豊かな暮らしをしていたのです。
ちなみに現在のオーストラリアではウナギは日常的には食べないそうですが、鰻料理を出す店はあります。食べた撮影スタッフよると、「燻製したウナギはイマイチだったけど、皮をパリパリになるまで焼いた料理は美味かった」そうです。ビールのお供に良いみたいです。
先史時代 湖から長い水路を引いた方法とは?
それにしても日本で言えば縄文前期、重機はおろか鉄の道具も持たない人々が、どうやって湖から長い水路を引くことが出来たのでしょうか?
世界遺産「バジ・ビムの文化的景観」には、ウナギ養殖場のある湖の近くのバジ・ビム火山も含まれています。かつて活発な火山活動をしていた山で、ここから流れ出した大量の溶岩が川をせき止め、湖や湿地帯を生み出しました。
今でもバジ・ビム一帯の大地を覆っている溶岩は、内部に気泡の多いタイプのもの。先住民は、この溶岩の上でたき火をすると内部の気泡が膨張し、岩がボロボロに崩れることに気づいたのです。
この溶岩の性質を利用して、彼らは水を通したいルートに沿って、溶岩大地の上で火を焚き、ボロボロになった岩のクズを取り除いて水路を作りました。先史時代に行われていた、驚くべき技術です。
SDGsの先駆的存在でもある「バジ・ビムの文化的景観」
世界遺産には「〇〇の文化的景観」と名付けられたものが、いくつもあります。文化的景観は英語でCultural Landscapeと言いますが、自然をうまく利用して人類が生きるために作り出した景色のことで、世界遺産では「自然と人間の共同作品」と定義されています。
バジ・ビムの場合は、火山と溶岩が生んだ湿地帯という地形を利用して、先住民が作った水路や堰が自然の中に点在する景色が、文化的景観としての価値を認められたわけです。
さらに、グンディッジマラ族のウナギ養殖は、実に6000年以上も持続しました。「バジ・ビムの文化的景観」は自然と人間の共同作品であると同時に、SDGsの先駆的存在でもあるのです。
TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0903/tbs_230903_6170427156.html
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