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阿寒の木彫、亡父と“共作” 彫刻家・滝口政満さんの長男健吾さん 一周忌にフクロウ完成

2018-04-07 | アイヌ民族関連
北海道新聞04/06 05:00
【阿寒湖温泉】昨年4月5日に76歳で急逝した彫刻家・滝口政満さん=釧路市阿寒町阿寒湖温泉=の未完の遺作を長男の健吾さん(36)が完成させた。政満さんは自然をダイナミックに表現し評価を得てきたが、息子にその技を教えたことはほとんどなかった。健吾さんが父から託された最初で最後の宿題が、一周忌に合わせるように、やっと仕上がった。
 政満さんがアイヌコタンに残した土産店で2日、健吾さんが木から飛び立つ寸前のシマフクロウを表現した木彫に最後のノミを入れた。政満さんが広島県のファンからの依頼で2年がかりで制作、仕上げに入る矢先に急性肺炎で倒れた。
 政満さんは旧満州(現中国東北地方)生まれ、山梨県育ち。3歳で病気で聴力を失い、22歳で旅先の阿寒湖温泉で出会った木彫り職人の姿に魅せられ、4年後に移住。北海道アイヌ伝統工芸展で知事賞を受けるなど活躍し、作品はJR札幌駅やカトリック月寒教会(札幌市白石区)などに飾られている。
 健吾さんは高校卒業後、父の店で木彫を始めた。父は相手の唇の動きで言葉を読み取り、口数は少ない。健吾さんが手伝おうとすると「作品が変わる」と断られた。父との意思疎通に悩み、やがて家を出た。
 4年ほど近郊で酪農関連の仕事をした後、2年前に温泉街のホテルで木彫りの実演販売を始めた。父は毎日のぞきに来ては「よお」とだけ言って帰った。死は突然だった。店に未完成のシマフクロウと、それを止める高さ170センチのタモの木が手つかずで残された。
 健吾さんはタモにアイヌ文様を施してみたが「主役はフクロウ」と思い直し、途中で表面を丁寧に削り込むだけの無地にした。削り掛けのフクロウの目と爪にも手を入れたが、羽毛の膨らみまで精巧に再現した父の技には届かないと実感。
 「父が数え切れない作品を仕上げて身につけた技だと思い知らされた」と健吾さんは父との初の“共作”を見上げる。店と父が愛用した手製の作業台を継ぎ、一周忌に約束した。「誰のまねでもない、自分らしい作品を作ってみせる」(佐竹直子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/178116
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