中村公美 、大沢祥子 会員限定記事
北海道新聞2024年6月25日 10:2
作家桜木紫乃さんが、アイヌ文様デザイナーを主人公にした小説「谷から来た女」(文芸春秋)を刊行した。桜木さんは「デビューしたころからずっと書きたかったテーマ。小説家として原点回帰の作品」と強い思いを明かす。
主人公の赤城ミワはアイヌ民族で、彼女を軸に6編の物語が展開する。舞台は札幌や日高管内平取町の二風谷など。ミワと出会う人々は恋愛関係、友人などそれぞれ立場は異なるが、ミワの気高さに触れ、それぞれ心に痛みを感じていく。
釧路市出身の桜木さんは「アイヌ民族という人が周囲にはたくさんいて、それは普通のことでした。ならば、私は本当に意識していなかったのか。それを問い直したかった」と振り返る。
だが、作家デビュー後、何度もチャレンジしては書きあぐねていた。
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