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「ゴールデンカムイ」5巻に購入特典、要素てんこ盛りな骨太サバイバル

2015-12-19 | アイヌ民族関連
ナタリー-2015年12月18日 21:16

野田サトル「ゴールデンカムイ」5巻が、本日12月18日に発売された。
発売を記念しとらのあな、アニメイト、COMIC ZINをはじめとした一部の書店では、購入者に特典をプレゼント。配布状況は店舗ごとに異なるため、詳細は店頭にて確認しよう。
「ゴールデンカムイ」は骨太な冒険活劇を軸に、アイヌ文化に北海道グルメ、新撰組の生き残りと、さまざまな要素を詰め込んで描かれるサバイバルマンガ。週刊ヤングジャンプ(集英社)にて連載されており、「このマンガがすごい!2016」オトコ編、「コミックナタリー大賞2015」「THE BEST MANGA 2016 このマンガを読め!」にて、それぞれ2位を獲得している。
なおコミックナタリーでは5巻の発売を記念し、野田と同作のファンであるという映画評論家の町山智浩の対談をセッティング。野田が映画から受けた影響や、「ゴールデンカムイ」の持つさまざまな要素について語り合ってもらった。
http://natalie.mu/comic/news/169830

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「ゴールデンカムイ」特集 野田サトル×町山智浩対談

2015-12-19 | アイヌ民族関連
コミックナタリー Power Push2015年12月18日(金)
野田サトル「ゴールデンカムイ」の勢いが止まらない。「このマンガがすごい!2016」オトコ編、「コミックナタリー大賞2015」ではともに2位にランクインし、多数のマンガ読みから2015年を代表するマンガのひとつとして支持を得ている。
コミックナタリーでは単行本5巻の発売を記念し、同作のファンだという映画評論家の町山智浩と野田のスカイプ上での対談をセッティング。野田が映画から受けた影響や、サバイバル、アイヌ文化、ミリタリー、新撰組、そして北海道グルメと数々の側面を持つ「ゴールデンカムイ」の創作秘話について語ってもらった。
取材・文 / 宮津友徳
「ゴールデンカムイ」とは
元兵士の杉元佐一は、かつてゴールドラッシュに湧いた北海道を訪れる。そこで彼は網走監獄の脱獄囚たちの入れ墨を全員分集めれば、アイヌが遺した莫大な埋蔵金の隠し場所がわかるとの与太話を聞かされ……。骨太な冒険活劇を軸に、アイヌ文化に北海道グルメ、新撰組の生き残りと、さまざまな要素をこれでもかと詰め込んだ一攫千金サバイバル。
杉元佐一
杉元佐一日露戦争での武功から「不死身の杉元」の異名を取った元兵士。ある目的のため大金を欲し、北海道を訪れる。
アシㇼパ
アシㇼパ杉元が出会ったアイヌの少女。杉元と行動をともにし、彼にアイヌのさまざまな文化を教授する。
白石由竹
白石由竹「脱獄王」と呼ばれる天才脱獄犯。関節を容易に脱臼させられる特異体質の持ち主で、杉元の窮地を救うことも。
野田サトル×町山智浩対談
映画監督の音声解説がマンガの参考に(野田)
──町山さんはアメリカ在住ですので、本日はスカイプを使っての対談になります。そもそも今回の対談は、町山さんが「ゴールデンカムイ」のファンだということをうかがい、野田先生が「町山さんとぜひお話してみたい」とおっしゃったことから実現しました。
野田 「ゴールデンカムイ」を読んでいただいているというのを伺っていて。僕は映画も好きなので、ぜひお話してみたいなと。
町山 そうだったんですね。僕、「ゴールデンカムイ」を読んでいるってTVとかラジオでは言っていなかったんですけど、どうやら伊集院光さんが、僕と会ったときに「ゴールデンカムイ」の話をしたっていうのを、ラジオでしゃべっていたみたいですね。先生は北海道出身ですよね。今も北海道にお住まいなんですか。
野田 いえ、今は東京で描いています。23歳くらいのときに上京してきました。
町山 上京してからはアシスタントを?
野田 はい。まず久保ミツロウ先生のアシスタントを2年くらいさせていただいて。その後はいろんなところを転々として、最後に国友やすゆき先生の仕事場で長いことお世話になっていました。
町山 なるほど。やっぱり映画がお好きだと、映画から影響を受ける部分は多いですか。
野田 はい、最近だとDVDに収録されてる監督の解説をよく観ていますね。マイケル・マンとかデヴィッド・フィンチャー監督なんかはキャラの作り方とか、シーンごとの演出の意味を丁寧に説明してくれるのですごく勉強になるんです。
ゴロツキに斬りかかり威嚇する土方歳三。
町山 アメリカ人の映画監督は副音声で、セリフがないシーンの意味も教えてくれるような親切な人が多いんですよね。今回の対談のために改めて「ゴールデンカムイ」を読んでみたんですけど、確かに映画のオマージュがそこかしこにありますね。土方歳三が主役の「用心棒編」なんかは、まさに黒澤明監督の「用心棒」やそのマカロニ・ウェスタン版の「荒野の用心棒」ですよね。ただ土方が建物の中を突破していく戦術は、どちらにもない要素で面白かったです。
野田 やっぱり違う要素がないと、ただのパクリじゃないかと言われてしまうので(笑)。
町山 「ゴールデンカムイ」の場合は白兵戦のプロである土方と狙撃兵の戦いでしたからね。「用心棒」とは違う面白みがありますよ。
野田 そう言ってもらえるとありがたいです。
町山 宿場町で風がびゅうびゅう吹いてるところなんてまさに「用心棒」ですよね。
野田 やっぱりそこ気付いていただけましたか!
町山 「アイヌの遺した金塊をめぐるサバイバル」っていう作品のテーマは、どうやって生まれたんですか。
杉元とアシㇼパは互いの目的のために手を組む。
野田 主人公の杉元佐一って、実は僕のひいおじいさんの名前なんですよ。もともとは九州の出身らしいんですけど、屯田兵になるということで、北海道に移ってきて日露戦争にも従軍したみたいで。前の連載が終わってネタを考えているときに担当さんから「次は猟師の話を描かないか」と提案されて、熊谷達也さんの「銀狼王」という小説を渡されたんです。開拓期の北海道に生き残っている銀色の毛並みの狼を追いかけるっていうストーリーなんですけど、その主人公が二瓶という名前だったんです。偶然僕の前作「スピナマラダ!」にも登場するキャラクターと同じ名前だったんですけど、これにすごく運命を感じて「これは描けってことだな」と。じゃあ猟師ものと、日露戦争帰りのひいおじいさんの話をくっつけてしまおうということに。
町山 そこからアイヌの遺した金塊や土方歳三のエピソードも?
野田 そうです、ゴールドラッシュやヒグマの三毛別事件なんかも北海道にまつわる面白い歴史なので、そういう逸話を拾い集めて。
町山 ひいおじいさんが戦争に行って帰ってきたっていう体験は、ご家族の間では代々伝わっているんですか。
日露戦争での杉元。
野田 父の代まではしっかり伝わっていたんですけど、僕は「そういえば日露戦争行ったんだっけ」くらいの知識でした。「ゴールデンカムイ」を描くにあたって、曽祖父について父に尋ねたんです。そうしたら札幌市の公文書館に文献が残っていることがわかって。203高地や奉天会戦にも参加していたこととか、日本に帰ってきた年とかまで詳しく残っていたんです。でももしあのとき父に聞かなかったら、多分そこで曽祖父の話は途絶えていたんじゃないかと思います。
町山 じゃあ後世に伝えていくきっかけにもなったんですね。
「ゴールデンカムイ」はもはやグルメマンガ(町山)
町山 僕が「ゴールデンカムイ」を読んで面白いと思ったのは、西部劇が好きだからです。鹿ブーツを履いた土方歳三が、右手の和泉守兼定で至近距離の敵を斬り、左手のウィンチェスターで遠くの敵を撃ちながら戦う姿なんて最高です。でも、それ以外にもいろいろな要素が組み込まれていますね。まずサバイバルものだし、さらにミリタリーやアイヌ文化、歴史ロマンっていうテーマも持ち合わせている。しかも格闘バトルものでもあって「不敗の牛島」ならぬ「不敗の牛山」と土方の対決なんてドリーム・マッチですよ! 人体破壊スプラッター描写も吉村昭の小説「羆嵐」並にリアルで超グロい。そうそう、忘れちゃいけないのはアシㇼパさんの美少女萌え要素。ナコルル(※註)オタとしてはたまらない。で、ガンフェチとしては銃器の細かい知識も楽しいし。もう盛りだくさんなんですが、これだけ要素があると資料を読み込むのもひと苦労なのでは?
野田 そうですね。参考資料を単行本の巻末に掲載しているんですけど、そこに載っているのはアイヌ関連のものだけなんです。ほかの本も合わせると膨大になりすぎて載せきれなくて。ベッドの上も本だらけで丸まって寝ているくらいです(笑)。
町山 実際に足を動かしての取材も相当してますよね。
野田 ええ。とにかく取材、取材、取材って感じで。直接自分で現地に行って体感することが大事だと思っています。例えば高畑勲監督の「かぐや姫の物語」を観たとき、「よくここまで調べたな」という作り手の苦労がすごく伝わってきたんです。そういう作り手の熱量って読者もわかるだろうからしっかりやろうと。
町山 じゃあアイヌの方々にも取材をして。
野田 そこに関しては担当さんと編集長が、信頼を得るまで何度もアイヌの方々のところに足を運んでくださったので本当にありがたく思っています。おかげさまで以前、アイヌ協会の方たちと酒盛りなんかもさせていただいて、「サトルくん、ビビらず何でも描け」ってお言葉をもらったり。
味噌が入った桜鍋を口にするアシㇼパ。彼女は味噌をうんこだと勘違いしていた。
町山 先ほど「ゴールデンカムイ」にはいろんな要素が組み込まれていると言いましたけど、食の描写もすごいですよね。もはやグルメマンガなんじゃないかというくらい(笑)。
野田 やっぱり狩猟を描くとなったら、食べるところまで描写するのが必然かなと思うんです。
町山 劇中に出てくるジビエ料理も実際に食べてみたりするんですか。
野田 鹿や熊の肉を食べ比べたりしました。ほかにもアナグマの頭とか、脳みそ、目玉なんかを食べさせてもらって。肉がめちゃくちゃ固かったんですけど、シェフに「アナグマは顎をよく動かすから、その部分は肉が固くなるんだ」って説明されて。そういう話も勉強になるんですよね。でも料理に関しては食べられる機会がないものも多いので、文献にあたって想像で描くこともあります。その動物を研究されてる学者さんに「どんな味がしますか?」なんて電話して聞いたり。
町山 リスは食べましたか?
野田 エゾリスは捕獲が禁じられてるんですよね。食べてみたいですけど。リスといえば映画の「ウィンターズ・ボーン」で主人公が食べてましたね。
町山 まさにそうです。アメリカには、「ウィンターズ・ボーン」に出てきたような特殊な地域があるんです。そこには狩猟の時に鳥を呼び寄せる音を出す道具を発明したことで大金持ちになった連中が住んでいて、高級車を乗り回してるんですけどリスを好んで食べるんです。山岳地帯に住んでいたので代々、身近で新鮮な肉といえばリスだったんでしょうね。
(※註)ゲーム「サムライスピリッツ」に登場するアイヌの少女。
登場人物の性的嗜好がおかしい(町山)
町山 先ほどひいおじいさんの話も出ましたけど、ほかにも実在の人物をモデルにしたキャラクターが登場しますよね。今ではすっかりお笑い要員ですけど、脱獄王の白石は、実際に監獄から何度も脱獄した白鳥由栄がモデルですか。
野田 ええ。モデルになった白鳥由栄が収容されていた網走監獄も実際に見学に行ったんですけど、脱獄している様子を再現した人形とかも置いてあるんですね。白石は今でこそ読者人気も高いですけど、当初はこんなキャラにするつもりはなかったんです。1回登場させた後、そのうちまた出そうかなくらいに考えていただけで。
町山 白石も女好きなキャラクターですけど、「ゴールデンカムイ」の登場人物ってみんな、性的嗜好がおかしいじゃないですか。殺されたくてウズウズしている殺人犯がいれば、定期的に女性を抱かないと男女の見境なく襲ってしまう男もいますし。そういう変態的なキャラばかり描くのって何か理由があるんですか?
野田 単純に変態が好きなんですよね。昔から猟奇殺人犯の本とかもよく読んでいて。振り切れた殺人鬼を動かすのって、やっぱり現代より開拓期のほうが都合がいいんです。現代だと犯罪捜査のテクノロジーが進みすぎて話が作りにくいと思います。名前を偽ったりしてもすぐバレるでしょうし。
町山 でも不思議と、どのキャラクターも悪い奴とは思えないんですよね。
野田 単純に嫌な奴として描いてしまうと、一面的で面白みがなくなってしまうんじゃないかと思って。出てくるキャラクターは全員好きになってもらおうと思いながら描いています。だから愛着が湧いてしまって、いざというときに殺しづらいんですよね。
町山 金塊を巡っていくつものグループが対立していますけど、それぞれに正義や信念がありますからね。主人公の杉元は幼馴染の病気を治すために金塊を探してますけど、敵対しているグループも、報われない軍人のため、または新政府に与しない武士や先住民のために北海道を独立させて理想郷を作ろうとしているわけで、理想自体は悪いことではない。
野田 そういうそれぞれの正義っていうのが、読者に先の展開をわからなくさせる要素なのかなと思っているんです。あからさまに間違った考えのキャラクターを登場させると、予定調和の展開になっちゃう気がして。
読後感をよくして何度も読んでほしい(野田)
──型破りということで言うと、「ゴールデンカムイ」はシリアスなシーンの後に突然ギャグシーンが挿入されたりしますよね。
野田 シリアスなシーンが続くと「コレ面白いのかな」って不安になって、ぶち壊したくなっちゃうんです。そういう悪ふざけみたいなものが、いい感じのテンポを生み出しているのかもしれません。
町山 杉元がリスの脳みそとか得体のしれないものを食べさせられているシーンなんて、まさにそんな感じですよね。
野田 あれは「MAN vs. WILD」っていうTV番組を見ていて思いついたんです。
町山 ああ、元軍人が砂漠とか熱帯雨林から、サバイバル技術を駆使して脱出するっていう。
野田 あの番組ってサソリとか芋虫とかを「栄養があるから」ってすごい嫌そうな顔で食べるじゃないですか。ああいう顔をマンガで描いたら面白いんじゃないかと思って。絵自体は自分で変な顔をしたものを写真に撮って、描いているんですけど。
町山 得体のしれないものを食べるときに、杉元が死んだ目になるのが面白いですよ。
野田 そういう変顔もそうですけど、読み終わったあとに「面白かった、もう1回読みたいな」と思ってもらえるような、読後感のいい作品にしたいんです。映画なんかもそうだと思うんですけど、やっぱり観ていて楽しくなれる作品って何度も観る気になるじゃないですか。僕はシリアスで悲しい映画ってどんなに完成度が高くても一度でもうたくさんなんです。
町山 杉元一行は今、網走刑務所に向けて旅をしていますが、今後もこういう独特のテンポで物語が進んでいくと。
野田 直線で行ったらすぐに着いてしまうので、その土地土地で獲れる獲物なんかを食べながら、できるだけ回り道な旅をさせていこうと思っています(笑)。
http://natalie.mu/comic/pp/goldenkamuy

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アイヌ語3万500語収録、登別・寺口さんが辞典出版

2015-12-19 | アイヌ民族関連
室蘭民報 【2015年12月18日(金)朝刊】
 アイヌ語地名研究会員で山岳ガイドの寺口一孝さん(69)=登別市新生町在住=は、アイヌ語から日本語の意味を調べる辞典「イランカラプテ」を発行した。これまで日本語からアイヌ語を引く方式の辞典や北海道の山辞典を発行しており3冊目。約4年間かけて執筆、編集作業を全て1人でこなした。アイヌ語の単語、熟語、地名約3万500語を収録。寺口さんは「北海道の地名、山名に触れて、アイヌ民族の美しい表現力を自分のものにしてほしい」と活用を期待している。
 A4判、512ページ。100部印刷した。専門的ではなく「初歩のアイヌ語」を知るための辞典との意味合いを持たせた。「ローマ字表記」「読み」「日本語解釈」「地域等」の表別に50音順に並べた。動物、地名、植物の索引を付け「見やすさ」の工夫も施した。発音が異なり同じ意味を表す単語も載せた。
 「北海道蝦夷(えぞ)語地名解」(永田方正著)や「地名アイヌ語小辞典」(知里真志保著)、「アイヌ語地名の研究」(山田秀三著)など10冊の文献調査のほか、昼は自ら山に登り、夜にはパソコンにデータを打ち込む生活を続け、同研究会がある札幌市に何度も出向き丹念に調べ上げた。
 2014年(平成26年)9月に自費出版した、日本語の意味からアイヌ語をまとめた同名辞典と共通点を持つ。「2冊を使い分けることで本当の意味でのアイヌ語辞典となる」と説明する。
 寺口さんは、03年から北海道アウトドアガイドを務める一方、10年前からライフワークとして「北海道にいくつの山があるか」調査を開始。道路地図に記されている三角点約5千カ所や地形図名称、山岳名、アイヌ語とその訳、標高などをまとめた「山辞典」を発行。山が文献により名称が異なることに疑問を持ったことをきっかけにアイヌ語辞典をまとめた。
 今回の調査結果から、「幌別(大川)」が登別や浦河、枝幸、様似にあるなど「一つの地名が道内各地方に点在することが分かった」という。
 現在4冊目となる「カムイミンタラの山々」の発行に向け山の調査を継続する寺口さん。「山に付けられているアイヌ語とその意味をいろいろな専門家が発表しているが、足りないところを埋めたい」と情熱を燃やす。
 辞典は一部5千円。問い合わせは寺口さん(電話、ファクス0143・86局5795番)へ。
(粟田純樹)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2015/12/18/20151218m_05.html

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