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沖縄・八重山諸島の方言を記録保存 言語学者、九州大准教授の中川奈津子さん(42)=福岡市西区

2025-02-17 | ウチナー・沖縄

 

西日本新聞me 2025/02/16

沖縄・八重山諸島の方言を記録保存 言語学者、九州大准教授の中川奈津子さん(42)=福岡市西区

© 西日本新聞me

国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、世界で約2500もの言語・方言が消滅の危機にある。その一つ、沖縄・八重山諸島の方言を研究し、記録保存に取り組む言語学者だ。「関西方言がなくなれば、関西出身の私も『自分らしさ』がなくなってしまう」。自分事に置き換えて文化の危機と向き合う。

滋賀県出身。京都大大学院で言語学を専攻、日本語の助詞「は」と「が」の使い分けを研究した。どちらも使わない言い方もできるが、それが不自然な場合がある。「自分が話す言葉なのに(明確なルールを)説明できない」。言語の奥深さに引き込まれた。

授業で沖縄の池間方言にも触れた。宮古島の隣に浮かぶ池間島の言葉。「知らない言語を記述したい」。方言に興味を持ち、研究者が少ない八重山諸島をフィールドに選んだ。

初めての調査は2010年。石垣島の宮良地区を研究する予定だったが、現地へ行くと祭りの直前で住民に会えなかった。途方に暮れながら近くの白保地区を訪れ、縁あって古老への聞き取りが実現した。

手は「ティ」、鼻は「パナ」、目は「ミ」…。体の部位など基礎語彙(ごい)を話してもらい、メモや音声で記録していく。

さらに文法。あいさつなどの定型句より他動詞を含んだ表現が好ましい。東京方言の「AがBを壊した」は、白保方言で「AぬBゆばり」。ところが、「ゆ」ではなく「ば」を使う場合がある。やはり地元の人々は使い分けのルールを説明できず、対話を重ねながら理解するという。

八重山諸島にルーツを持つ人々がオンライン上で集い、方言で語り合う「やいまむに勉強会」にも参加し、多彩な手法で言語データを集める。こうしたデジタルデータを活用する人文情報学も専門分野だ。

ユネスコが定める消滅危機の度合いは、アイヌ語の「極めて深刻」に次ぎ、八重山方言は「重大な危機」と厳しい。「言語学の枠を超え、八重山の文化継承につながるデータ作りをしたい」と使命感を抱く。

最近は人工知能(AI)に関心を寄せる。「なぜ生成AIは『は』と『が』を区別できるのか」。AIを使って言語の仕組みを解決したいと考えている。

国立国語研究所を経て昨年2月、九州大准教授に就任した。今年4月に開設される人文情報連携学府の運営に携わる。「九州の方言にも興味はあるが、白保方言の研究は15年で終わらない。手を出したら大変なことになる」。新天地の方言研究には慎重だ。

(野村大輔)

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/沖縄-八重山諸島の方言を記録保存-言語学者-九州大准教授の中川奈津子さん-42-福岡市西区/ar-AA1z7Tj7?ocid=BingNewsVerp


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米中はじつは「似た者同士」だった?これから中国が「アジアの地中海」でやろうとしていること

2025-02-01 | ウチナー・沖縄

 

日刊ゲンダイ 2025.01.31

ますます対立が深まるアメリカと中国。しかし、地政学的に見ると両国は「似た者同士」だという。かつてのアメリカと同じ道をたどり、中国も地域覇権国としての地位を確立するのだろうか……。

地政学動画で平均150万回再生を記録する社會部部長が、不変の地政学の法則を解説した『あの国の本当の思惑を見抜く地政学』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。

地理的によく似ているアメリカと中国

古典地政学者のニコラス・スパイクマンは第二次世界大戦前半の1942年に、中国に関して今日の情勢と奇妙にも似ている、こんな予言を残しています。

戦後の主な課題は、日本ではなく中国である。かつての「天朝上国」の潜在国力は「桜の国」のそれを大きく上回り、一旦その国力が軍事力に転化されると、中国大陸沖合の島国である敗戦国日本の立場は極めて危うくなる……

近代化に成功して国力を向上させ、軍備を充実させた4億人の人口を擁する中国は、日本だけでなくアジア地中海での欧米列強の立場も危うくする。中国はアジア地中海沿岸の大部分を支配する、広大な大陸国家となる。

中国の地理上の立ち位置は、アメリカ地中海に対するアメリカのそれに似ている。強大となった中国によるアジア地中海への経済進出は政治的影響力を伴うことは疑いなく、この海域が米英日の海軍力に代わって、中国の空軍力によって支配される日の到来も視野に入ってくる。

「アジア地中海」「アメリカ地中海」とは、それぞれ中国とアメリカの南の海域を指す、この時代特有の地政学的概念です。

現代では対立する両国ですが、スパイクマン曰く、アメリカと中国の地政学的立ち位置はよく似ており、アメリカがかつて「アメリカ地中海」の支配を確立したが如く、中国もいずれ「アジア地中海」の支配に乗り出すといいます。

これだけではよくわからないので、もう少し深掘りしましょう。

「地中海」の概念は、一言でいえば、「大陸と大陸の間の海」です。「地中海」は、文字通り「大地の真ん中」を意味するラテン語のmediterraneus(medius「真ん中」+terra「大地」)に由来します。

この語源の通り、ヨーロッパにある本物の地中海(ヨーロッパ地中海)はヨーロッパとアフリカの間に位置し、北から南にかけて、「ヨーロッパ―地中海―アフリカ」という地理的連鎖関係が成立しています。

この「大陸―地中海―大陸」の地理的連鎖関係は、ヨーロッパだけでなくアメリカとアジアにも当てはまります。

アメリカには北米大陸と南米大陸があり、この2つの大陸をメキシコ湾とカリブ海(アメリカ地中海)が隔てます。アジアも同様に、ユーラシア大陸とオーストラリア大陸を南シナ海とその南の海域(アジア地中海)が隔てます。

まとめると、世界には「ヨーロッパ地中海」「アメリカ地中海」「アジア地中海」の3つの地中海が存在し、それぞれ次のような共通の連鎖関係を形成しています。

・ヨーロッパ帯域

ヨーロッパ大陸―ヨーロッパ地中海―アフリカ大陸

・アメリカ帯域

北米大陸―アメリカ地中海―南米大陸

・アジア帯域

アジア大陸―アジア地中海―オーストラリア大陸

また、3つの地中海は「海洋と海洋の間の海」でもあり、ヨーロッパ地中海はインド洋と大西洋、アメリカ地中海は大西洋と太平洋、アジア地中海は太平洋とインド洋を東西に繋いでいます。要するに、各地中海は南北の2つの大陸、東西の2つの海洋の間に挟まる位置にあるといえるのです。

スパイクマンは、「ヨーロッパ―アフリカ」「北米―南米」「アジア―オーストラリア」の3つの帯域のすべてにおいて、まず北の大陸に大国が興隆し、その大国が地中海と南の大陸に勢力を伸ばそうとする法則があるとしました。

この法則は、「北の大陸の方が大国が生まれやすい」という地理的傾向から始まります。世界の陸地の7割が北半球に偏在する前提はもとより、安定していて農業に適している気候帯である温帯も、北半球の西欧、北インド、東アジア、北米東部に集中しています。

このことから、ここ数百年間で大国と呼ばれた国――西欧諸国、インド、中国、日本、アメリカ――はユーラシア大陸か北米大陸で生まれました。

それに対して、南の大陸には相対的に温帯が少ないだけでなく、その大部分が熱帯雨林または砂漠に覆われていることから、歴史的にアフリカ大陸、オーストラリア大陸、南米大陸では、大国が発達しませんでした。

アメリカはどのように地域覇権国になったか

北で発達した大国は次の3段階を踏んで、自らの帯域を支配しようとします。

(1) 北の大陸で領土拡大

(2) 地中海の制海権確保

(3) 南の大陸の中立化

アメリカは、この3段階をきれいに踏んで大国に成り上がった国です。アメリカは今でこそ全世界で影響力を振るう超大国ですが、建国当初は北米大陸の隅に佇む小国に過ぎませんでした。

アメリカは1700年代後半の小国の状態から、1900年代前半に大国に成り上がるまで、先の3段階に当てはめると、(1) 北米で領土拡大、(2) アメリカ地中海の制海権確保、(3) 中南米の中立化の段階を踏んで、自らの帯域で確固たる支配を確立しました。

では、アメリカがどんな歴史を経て勢力を広げてきたのかを、具体的に見ていきます。

(1) 北米で領土拡大

1776年に独立を宣言した時点で、アメリカの領土は東海岸に細長く連なるだけで、そのすぐ周りをスペイン、イギリス、フランス、先住民に囲まれていました。これら陸上の脅威を排除するため、アメリカは70年かけて土地購入・戦争・先住民の討伐を通して西へと領土を拡大していきました。

この北米での領土拡大の結果、アメリカの領土は東西は海、南北はカナダとメキシコという中小国に囲まれる状態を確立し、もはや陸伝いで攻撃される心配はなくなりました。

(2) アメリカ地中海の制海権確保

次に排除しなければならなかった脅威は、メキシコ湾とカリブ海の島々に残るヨーロッパ列強の領土でした。

実際、1812年の米英戦争で、イギリス海軍はバミューダ諸島、バハマ諸島、ジャマイカなどを出撃拠点として、アメリカ沿岸部と首都の攻撃に使用しました。また、スペイン領のキューバとプエルトリコも潜在的な攻撃拠点になる恐れがありました。

そのため、アメリカ地中海に残る列強の領土と海軍力を排除し、将来の海からの攻撃を防ぐことはアメリカの次なる目標となりました。この状況を一気に改善したのが、1898年のスペインとの戦争(米西戦争)でした。

アメリカはこの戦争での勝利によって、キューバ、プエルトリコからスペインを排除し、それぞれに海軍基地を設けました。これにより、アメリカ東海岸からパナマ運河に至る航路が遮断される危険は緩和されました。

イギリスの領土はまだカリブ海に残っていたものの、2つの大戦でドイツに対抗するため、イギリスは海軍力を自ら本国に引き上げました。また同時並行で、アメリカが海軍力を急速に強化したため、イギリスはアメリカ地中海での制海権を失いました。このとき以来、アメリカ地中海はアメリカの独壇場であり続けています。

(3) 中南米の中立化

第2段階と同時並行で、アメリカは中南米からのヨーロッパ列強の排除と反米勢力の抑え込みを実行することによって、南北アメリカ大陸全体を完全に安全な状態にしました。

この過程でアメリカは恐喝・武力行使・経済援助などを駆使してキューバ、ハイチ、ニカラグア、ドミニカ共和国で親米勢力の樹立・支援を行い、ヨーロッパ諸国がこれらの国々と結託してアメリカを攻撃することがないようにしました。

また、アメリカの東西海岸を結ぶ要衝であるパナマ運河を建設・支配する際も、現地の独立勢力を支援することで、持ち主であったコロンビアからパナマを切り離し、運河を1999年まで租借しました。

中南米では冷戦期に東側陣営に入った国がある他、現代でもキューバやベネズエラのような反米国家が存在しますが、どの国もアメリカを脅かし得るほど強くありませんでしたし、キューバがソ連と組んで核ミサイルを配備しようとした際には、断固としてこれを許しませんでした。

ドイツ・日本もアメリカと同じ道を歩みかけた

スパイクマンが地中海概念と前述の3段階を紹介した理由は、第二次世界大戦当時の日本とドイツの行動に、かつてのアメリカとの類似性を見出したからです。ドイツと日本の行動は、それぞれ次の通りでした。

【ドイツ】

(1) ヨーロッパ大陸で領土拡大

オーストリアとチェコスロバキアの併合に始まり、西はフランス、東はソ連まで陸地の支配を広げました。

(2) ヨーロッパ地中海の制海権確保

イギリス本国と英領インドの中間地点である地中海の制海権は、元々イギリスがジブラルタル、マルタ島、スエズ運河を拠点として握っていました。ドイツはイギリスをここから追い出すためにイタリアと同盟を組み、地中海のイギリス船を攻撃しました。

(3) アフリカの中立化

ドイツ・イタリア連合軍は北アフリカに上陸。ここからイギリス軍を排除し、やがてはスエズ運河と中東の石油を手に入れようとしました。

【日本】

(1) アジア大陸で領土拡大

日本はロシアと中国の脅威を遠ざけるため、朝鮮、台湾、満州、中国沿岸部に勢力圏を広げました。

(2) アジア地中海の制海権確保

1941年以降は南シナ海沿岸から欧米列強を追い出すため、仏領インドシナ、英領マラヤ(マレーシア)、蘭領東インド(インドネシア)、米領フィリピンを次々と占領。一時期とはいえ、南シナ海で輸送船が安全に通れる状態を確立しました。

(3) オーストラリアの中立化

オーストラリアはアメリカと同盟を組んでアジア地中海の占領地を脅かしていたため、日本はオーストラリア本土への空襲や、アメリカとの間に位置するソロモン諸島の占領によって、同盟を断ち切ろうとしました。

スパイクマンは触れていませんが、ロシアの南下政策も、ヨーロッパ・アジア大陸で領土拡大→ヨーロッパ地中海・アジア地中海の制海権確保という流れをとっていることがわかります。

このように、アメリカ・ドイツ・日本・ロシアがどれも同じ法則で勢力を拡大した歴史から、スパイクマンは中国も例外ではないとし、「将来、中国が(当時の)日本と同じ3段階を踏んでアジア帯域の支配に乗り出す」と予言しました。

スパイクマンはこれが的中したかを見る前に亡くなりましたが、現代の私たちはこの予言が実現しつつあるところを目の当たりにしている最中です。

中国もアメリカと同じ道をたどるのか?

地中海概念を踏まえてアメリカと中国を地図上であらためて見ると、両国には類似点が多いことに気がつきます。その類似点も、先ほどからの3段階を使って理解できます。

(1) 北の大陸で領土拡大

まず国土ですが、両国とも人口が東に偏っています。アメリカ東部ではミシシッピ川と大平野が、中国東部では黄河と長江がそれぞれの人口集中地を形成しています。

歴史的に、アメリカでは東の平野民が西のロッキー山脈と砂漠まで進出したことで、既存の領土を確立しました。中国も、黄河流域の農耕民がゆっくりと南と西に進出し、今の姿になりました。

中国は冷戦時代にロシアなどの内陸国との国境紛争を抱えており、陸上の脅威に晒されていました。しかし、1990年代には大体の国と国境を確定したおかげで、以前よりは安全な状態にあります。それでも、インドとはまだ領土問題を抱えています。

また、国内のチベット、ウイグル、内モンゴル、香港、そして台湾には、未だに中国共産党の統治に反抗的な人が少なくありません。

国内が安定していて弱い2つの隣国だけに囲まれるアメリカとは違い、中国は国内に反抗的集団が存在し、ロシアやインド、北朝鮮、日本、韓国、台湾のような決して弱くない勢力に近接している、磐石とはいえない安全保障状況にあります。

(2) 地中海の制海権確保

アメリカ地中海にはかつて、イギリスやスペインのような東の潜在敵国が領土を持っていたため、アメリカは100年以上かけてこの海域から外国勢力を排除し、制海権を確立しました。

アメリカと比べると中国はまだ道半ばです。アジア地中海(東シナ海、南シナ海、西太平洋)では、アメリカ(東の潜在敵国)が日本、韓国、フィリピンと正式な同盟を結ぶだけでなく、南シナ海沿岸のタイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナムと、中国を上回る軍事的協力関係を結んでいるため、中国はアジア地中海の制海権を握れていません。

中国は米軍をこの海域から追い出し、制海権を握るために沿岸国への接近、海軍増強、尖閣諸島、台湾、南沙・西沙・中沙諸島などの奪取を目指しています。

両地中海のもう1つの共通点は、海上交通の要衝(チョークポイント)があることです。アメリカ地中海には「パナマ運河」、アジア地中海には「マラッカ海峡」という2つの大洋を結ぶ要衝があります。アメリカは東部沿岸と西の中国市場を結ぶために自ら運河を建設した経緯から、パナマ運河を排他的に支配できました。

一方で、マラッカ海峡は中国東部沿岸と西のヨーロッパ市場・中東を結ぶ世界で最も通行量の多い航路でありながら、中国はここの支配を確立できておらず、アメリカのような潜在敵国に万が一封鎖された場合の不安を抱えています。

(3) 南の大陸の中立化

南の大陸に関しても、中国はアメリカより劣った立場にあります。アメリカは中南米を中立化する上で、元々好運に恵まれていました。中南米の国々は自発的に宗主国であるヨーロッパ諸国に反抗して独立した経緯から、アメリカが台頭した頃にはすでにヨーロッパの影響はある程度排除されていました。

また、イギリスがそうであったように、19世紀・20世紀は元々ヨーロッパ諸国が自ら本国での戦争のために中南米から戦力を引き上げていた時期でした。アメリカが手を出すまでもなく、中南米の中立化はひとりでに進行していたのです。

しかし、中国はオーストラリアに関して同じ好運には恵まれていません。オーストラリアとニュージーランドはアメリカと正式な同盟関係にあります。中国はそれでも、オーストラリアが中国に経済的に依存する関係を活かして、国内の政治家や経済界に影響力を行使し、親中的態度を形成しようと試みました。

ところが、これがかえって反発を呼んで、むしろアメリカや日本への接近を招いてしまっています。

以上のように、「北の大陸―地中海―南の大陸」という枠組みで米中を比べると、アメリカは順調に成功を収めたのに対し、中国は3つすべての地域で大小さまざまな問題を抱えていることがわかります。

もちろん中国は成立からおよそ80年しか経っておらず、これから100年単位でこれらの問題を解決していく可能性も十分あります。しかし、そうだとしても現時点で中国が抱える問題は、同時代のアメリカと比べて格段に多く、また大きく、容易に解決できる見込みはありません。

単に他国との関係だけをとっても、アメリカは概ねヨーロッパの大国と対立せず勢力を拡大したのに対し、中国はインド、日本、アメリカ、その他の周辺国の多くから何かしらの反発を受けています。

https://gendai.media/articles/-/145146?imp=0


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国連の「女性差別撤廃委員会」へ沖縄から訴え 米兵による性暴力やPFAS問題を報告 きょう17日、日本政府審査

2024-10-18 | ウチナー・沖縄

琉球新報 2024年10月17日 05:00

更新日時 2024年10月17日 08:20

国連の女性差別撤廃委員会で沖縄の米軍基地から派生するPFASや米兵の性暴力について報告する親川裕子さん(写真左から2人目)=14日、スイス・ジュネーブ

この記事を書いた人慶田城 七瀬

この記事の続きを読むためには琉球新報デジタルを購読してください。
https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-3560350.html


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沖縄・アイヌの文化 結ぶ 東京・中野でチャランケ祭

2024-10-09 | ウチナー・沖縄

琉球新報公開日時 2024年10月08日 12:27  有料

更新日時 2024年10月08日 12:27

チャランケ祭2024で披露された旗上げ、旗下ろしの儀式=6日、中野区の中野四季の森公園

この記事を書いた人斎藤 学

 【東京】沖縄とアイヌの文化を結ぶチャランケ祭2024(同祭実行委員会主催)が5、6の両日、中野区の中野四季の森公園であった。南風原町津嘉山出身の故金城吉春さんらが立ち上げた祭りで、津嘉山大綱曳きの儀式も反映されている。津嘉山出身の都内在住者も訪れ「ソウルミュージックだ」と故郷の景色を目に浮かべた。

 祭りは中野駅前にあった沖縄料理店「あしびなー」店主で2021年に67歳で急逝した金城さんが、北海道帯広市でアイヌ文化の保存活動を続ける広尾正さんと立ち上げた。・・・・・・・

(斎藤学)

https://ryukyushimpo.jp/news/culture/entry-3533903.html


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「琉球先住民族の権利主張を」 遺骨返還問題、現状報告でシンポジウム 沖縄

2024-10-08 | ウチナー・沖縄

琉球新報公開日時 2024年10月07日 05:00

更新日時 2024年10月07日 11:36

ニライ・カナイぬ会の松島泰勝共同代表(左端)と登壇者=9月28日、那覇市の県立博物館・美術館講座室

この記事を書いた人藤村 謙吾

 【那覇】研究を目的に持ち出された琉球人遺骨の返還を求める「ニライ・カナイぬ会」などが9月28日、琉球民族遺骨問題を考える対話シンポジウム「わったー琉球先住民族や、くたんでぃてーをぅらんどー!なまからるやる!!」を那覇市の県立博物館・美術館講座室で開催した。同会共同代表の松島泰勝龍谷大学教授、亀谷正子さん、仲村涼子さんらが登壇した。

 昭和初期に墓から持ち出された遺骨を保管している京都大学を提訴した、遺骨返還請求訴訟の判決後の現状や、2024年6月に公表された米国人類学会による琉球民族遺骨問題に関する報告書について語った。

 松島さんは23年9月の大阪高裁判決を、「判決文に国家機関が琉球民族を先住民族と認め、日本帝国の植民地支配を認めた、画期的な文言が記された」と振り返った。

 米国人類学会の総括報告書に、研究者らは「遺骨が敬意を持ち扱われているかどうかを心配している子孫に対し責任がある」と記されていることを紹介した。その上で「京大研究者による遺骨取得は『倫理的取得』とは言えない」と指摘した。厨子甕(ずしがめ)を所蔵する国立民族学博物館の問題にも触れ、「(遺骨など)『流出文化財』の返還運動は、琉球人の自己決定権に基づく精神的脱植民地化を実質化するための運動であり、琉球の政治経済的脱植民地化、脱軍事基地化の土台となる」と結んだ。

 ・・・・・・・・

 (藤村謙吾)

https://ryukyushimpo.jp/news/region/entry-3529091.html


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「女性たち発・うちなー語らな」の記事一覧

2024-10-07 | ウチナー・沖縄

琉球新報2024年10月6日(日)

沖縄県内で活躍中の女性4人がリレーするコラム「女性たち発 うちなー語らな」。沖縄の課題を挙げ、自由に意見などを述べてもらいます。

誰かの期待した「沖縄」 「本当の言葉」自問する オーガニックゆうき(作家) <女性たち発・うちなー語らな>

 初回からじーぐいはーぐい失礼します。  9月21日、TBSの「報道特集」で、昨年のクリスマスイブに起きた少女暴行事件の特集が放送された。2022年まで同番組の ...

https://ryukyushimpo.jp/tag/uchinakatarana


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中野四季の森公園で「チャランケ祭」 アイヌと沖縄の踊り歌う2日間

2024-10-03 | ウチナー・沖縄

中野経済新聞2024.10.02

アイヌと沖縄の踊りの祭典「チャランケ祭」が10月5日・6日の2日間、中野四季の森公園(中野区中野4)イベント広場で開催される。

 同イベントは「祭りは天と地を継ぐ、踊りは人と宇宙を継ぐ」をコンセプトとし、今年で30回目を迎える。アイヌと沖縄人が東京で出会ったことがきっかけとなり、1994(平成6)年から故・金城吉春さんを中心に中野駅北口広場で開催。その後は中野四季の森公園芝生広場、中野区役所前へと会場を移して開催してきたが、今回は同園イベント広場で初の開催となる。同祭は歌と踊りの祭典で、人と人とが触れ合い、交流を深めることを目的としている。

 初日は「カムイノミ」というアイヌの儀式を行い、2日目には沖縄の儀式「旗あげ・旗おろし」などを行う。2日間を通して、アイヌの神謡や踊り、エイサーや三線、獅子舞などが繰り広げられる。イベント名の「チャランケ」はアイヌの言葉で、「とことん話し合うこと」を意味する「ちゃらんけ」と、沖縄の言葉で「消えんなよー」という意味の「ちゃーらんけ」が似ていることから付けられたという。

 実行委員長を務める高橋貫太郎さんは「チャランケ祭は、沖縄とアイヌ民族の文化交流会を通して話し合い、世界中の人たちと魂と魂を交わす祭り。ぜひ見にきていただければ」と話す。

 開場は、5日=11時30分、6日=10時。入場無料。

https://nakano.keizai.biz/headline/2945/


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陸自ヘリ、誤操作で那覇空港に予防着陸 夜間飛行訓練で 民間機4機に影響

2024-09-28 | ウチナー・沖縄

沖縄タイムス 2024年9月27日 10:42

 陸上自衛隊第15旅団は27日、第15ヘリコプター隊(沖縄県那覇市・那覇駐屯地)所属のUH60JAヘリが26日に夜間飛行訓練中、2基あるエンジンのうち左エンジンが誤作動で停止し、同午後8時5分ごろ那覇空港に予防着陸したと発表した。人的被害などはなかった。那覇空港では民間機4機の出発が最大約10分遅れた。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1442275


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返還例など報告 28日 県立博物館

2024-09-26 | ウチナー・沖縄

沖縄タイムス2024年9月26日 3:58

 琉球民族遺骨問題を考える対話シンポジウム「わったー琉球先住民族や、くたんでぃてーをぅらんどー! なまからるやる!!」が28日午後2時半から、那覇市の県立博物館・美術館の講座室で開かれる。事前申し込み不要。資料代500円。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1441205


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第一尚氏の子孫らが訴えた遺骨返還 大阪高裁が控訴棄却 X年前 何があった? 沖縄の歴史9月22日版

2024-09-23 | ウチナー・沖縄

沖縄タイムス 2024年9月22日 6:50

今からX年前の9月22日、沖縄ではこんな出来事がありました。過去のニュースを振り返ります。

昭和初期に旧京都帝国大(現京都大)の研究者が今帰仁村の百按司墓(むむじゃなばか)から研究目的で持ち出した遺骨を巡り、第一尚氏の子孫らが京大に返還を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は原告らに返還請求権はないとした一審京都地裁判決を支持し、控訴を棄却した一方、「持ち出された先住民族の遺骨はふるさとに帰すべきだ」と付言(2023年)

関連記事

琉球遺骨「帰すべきだ」 大阪高裁 控訴棄却し付言 請求権認めず 原告上告へ | 沖縄タ・・・

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1438971


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世界の先住民族と連帯を訴え 沖縄の自己決定権の確立へ 琉球独立学会がトークイベント 那覇

2024-09-19 | ウチナー・沖縄

琉球新報 公開日時 2024年09月18日 14:28 有料

国連で採択された先住民族権利宣言の内容などについて説明する(後列左から)アレクシス大城さん、酒井莉沙子さん、親川志奈子さん=15日、県立博物館・美術館

この記事を書いた人吉田 健一

 琉球民族独立総合研究学会(ACSILs)主催のトークイベント「ウィナグと国連」が15日、那覇市の県立博物館・美術館であった。辺野古新基地建設や米兵による性犯罪など戦後から続く沖縄の不条理を国連などで主張してきた酒井莉沙子さんとアレクシス大城(うふぐしく)さんが登壇した。2人は基地問題の解決や先住民固有の自己決定権の確立に向けて、世界のウチナーンチュや海外の先住民族との連帯を図る必要性などについて訴えた。

 ACSILs共同代表の親川志奈子さんがモデレーターを務めた。親川さんは国連本部で開催される先住民族問題に関する常設フォーラムやスイス・ジュネーブでの先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)会合に参加した際のやりとりなどについて報告した。

 トークイベントでは、日本政府が琉球民族を先住民族と認めず、基地建設を強行するなど軍事植民地化していることが先住民族権利宣言(UNDRIP)に違反しているとの指摘が相次いだ。

 ・・・・・・・

 (吉田健一)

https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-3478100.html


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《ボリビア》入植70周年=ボリビアにあるオキナワ=小さな村の壮大な歴史(2) 第一次移民、比嘉敬光さん

2024-09-05 | ウチナー・沖縄

ブラジル日報 9/5(木) 7:23

「ボリビアに来てよかったですか?」

 「はい!」

 そう笑顔で勢いよく答えてくれたのは、1954年の第一次移民として16歳のとき、家族と共にボリビアに渡ってきた比嘉敬光さん(86歳)だ。

 父がフィリピン開拓に従事した関係で、敬光さんはそこで生まれて7歳まで育ち、後に那覇市へ。開拓精神溢れる少年だった敬光さんは「当時はボリビアのジャングルの中で寝る覚悟だった」と笑いながら振り返る。

 1954年8月6日にブラジル・サントス港に到着し、列車に乗り換えて、15日にボリビア移住地「うるま移住地」に入った。「水たまりの水を飲みながら頑張ったよ。井戸を掘っても塩水が出てきて飲めなかったからね」

 5haの森林が伐採され、その土地に丸太小屋が建設中という状態であった。各家庭50m×50mの土地が用意されていたが、場所は原生林の中。移住者同士で日々励まし合いながら開拓生活を送っていたが、原因不明の熱病「うるま病」が流行り始めた。

 敬光さんは「サンタクルスにある病院に連れて行きたかったけど、川を越える必要があり、そこからさらに遠いから行くことができなかった」と辛い当時を振り返った。最終的に「うるま病」は第1次と第2次移民団の約400人中、罹病者148人、死者15人を出す惨状になった。

 グランデ川の氾濫による水害被害を受け、入植1年も経過しないうちにうるま移住地を放棄し、新たな場所への再入植を余儀なくされた。1956年3月にグランデ川の西岸、うるま移住地の対岸に新たな移住先が選定され、7月に現在のオキナワ第1移住地への入植がはじまり、敬光さん一家も移る決断をした。

 移住後に行った農業や養鶏、豆腐製造などの事業はうまくいき、敬光さんは「あの時が一番景気が良かったね!」と笑う。「でも一番若かったから下っ端として何でもしたもんだよ。『バルバル』という先住民族が作物を盗みにくるから、朝方3~4時の間はずっと銃を持って見張りをしていた」と苦労もあった。幸いにも地元宣教師がバルバル族と友好関係を築いており、先住民族との間に騒動が起きたことはなかったという。

 敬光さんは畑仕事に精を出す傍ら、移住地内に運動場を作ったり、イベント開催を積極的に行ってきた。ある日、沖縄から三線が送られてきた。「僕に演奏は無理だな」と呟いているのをある教師に見られ、「ちゃんとやらなければ、できるものもできない。しっかりと三線を習って、あなたが教師となって皆にも教えられるようになりなさい」と言われた。

 敬光さんは部屋の奥から、「敬光さんのおかげで三線が弾けるようになりました」と書かれた手紙を取り出してきた。教え子から送られてきた手紙だ。まったくの初心者状態から始めた三線だが、今では演奏はもちろん修理まで出来てしまうほどに習熟した。思い出の日々がよぎったのか、敬光さんの目には涙が浮かんでいた。

 「コロニアの2、3世は流暢な日本語が使えます。移住地を守るのは彼らしかいない。頑張ってもらわないと」と語る敬光さんの表情からは、心の底からコロニア・オキナワを愛していることが感じられた。(続く、島田莉奈記者)

https://news.yahoo.co.jp/articles/b586b908d121771a2face8e9ac058fb43d5e86eb


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「わたしが寝る男は、わたしが選ぶ。生きかたも自分で決める」写真家・石川真生さんの熱い魂を映した「オキナワより愛を込めて」【二村ヒトシコラム】

2024-08-31 | ウチナー・沖縄

映画.COM 8/30(金) 19:00

 作家でAV監督の二村ヒトシさんが、恋愛、セックスを描く映画を読み解くコラムです。今回は沖縄を拠点として活動する写真家・石川真生さんを追ったドキュメンタリー「オキナワより愛を込めて」。

【フォトギャラリー】「オキナワより愛を込めて」場面写真

 米軍統治下の沖縄に生まれ、返還後の1975年からコザ・照屋の黒人向けのバーで働き始めた石川さんは、そこで働く女性たちや、黒人たちとともに時間を過ごしながら、日記をつけるように写真を撮り続けました。作品の背景となった歴史、政治、人種差別、それらを乗り越えるパワーを持った石川さんの熱い魂と愛を映した本作に、二村さんが迫ります。

※今回のコラムは本作のネタバレとなる記述があります。

▼熱い魂をずっと継続させている石川真生さんのかっこいい映画

 かっこいい映画を観ました。映画.com 編集部のMさんから「かっこいい映画が公開されるので観てください」と連絡が入ったので、観てみたらマジでかっこよかったっす。

 これは、おばぁが撮った沖縄の文化や自然の写真を美しく並べた観光映画じゃないのはもちろんなんだけど、基地問題の政治ドキュメンタリーでもないんです。主役・石川真生さんの反権力っぷりは、インテリ左翼の理屈じゃない。生きてきたパッションの年季が違う。かつて(50年以上前!)一人のギャル写真家が、黒人米兵たちと恋愛やセックスをしていた自分自身や米軍基地周辺の特飲街の仲間の女たちを撮り、そしてそのころの熱い魂を今もずっと継続させている、そういう映画です。

 真生さんは映画の中でご自分でも語ってるけど、言葉の人じゃない。彼女のウチナーグチは、僕が使ってるヤマトの標準語や、立派な政治家や将校のご立派な英語とは違って、そしてアメリカの田舎から連れてこられヴェトナムで殺人に加担させられた一兵卒たちのブロークン・イングリッシュに似て、もっともらしい理屈に向いてない。

 真生さんは口で理屈を言わない代わりに写真を撮る。ギャルにしか撮れない当時のギャルの日常写真を撮った。プリクラやスマホのフィルターやインスタグラムがない時代、驚くべきことにモノクロのフィルムでも、かっこいいギャル写真は撮れたんだ。

▼かっこいいギャルはギャル自身が思う「かっこいい男」が好き

 ギャルとは何か。いまの最新のファッションである必要はない。いつの時代でも肌の露出が多くて派手な化粧をし、ときには裸みたいな格好になり、でもその強い化粧やエロいファッションが、くだらない男に媚びを売るためのものじゃなければギャルだ。ギャルは不良だ。いばっているチンケな男を寄せつけないためにギラついてデコッた姿になる。

 かっこいいギャルはギャル自身が思う「かっこいい男」が好き。真生さんのギャル魂とは何か。「わたしが寝る男は、わたしが選ぶ。生きかたも自分で決める。誰にも文句は言わせないし、見下すことも許さない」という精神だ。

 僕はギャルじゃないのでちょっとだけ理屈を言うね。かっこわるい偉そうな人は、どうして力を広げて自分が大きくなっていくことが好きなのか。よっぽど自分の「小ささ」にコンプレックスがあるのか。個々人を呑みこんでいって、その誇りを軽んじたあげく「彼らは周辺だ(我々こそが中心だ)。彼らは辺境にいる者だから彼らのことは我々がいろいろ決めて、保護してあげなければならない。彼らはもう我々の一員なのだから我々と一緒にがんばらなければならない」みたいなことを言うが、お前たちに呑みこまれなければ琉球もアイヌもLGBTも、そもそも自分が自身にとっての中心だったんじゃないのか。偉そうな人は世界中どこでも右も左も、そういうことをする。偉そうな人は右翼も左翼も顔が下品だ。

 だが真生さんは、僕みたいな理屈は言わない。真生さんは「わたしはさ、顔のいい男が好きだからね」と言う。真生さんが撮った写真の真生さんがつきあった黒人米兵たちは、なるほどイケメンぞろいです。かっこいいイケメンが隣に写っていてこそのギャル写真だ。

 だがしかしイケメンの彼らも必ずしも誠実だとは限らない。一緒に生活したりして時間がたつと、じつはステイツ(アメリカ本国)に妻子がいるとか、べつの男が「あいつはもうじきステイツに帰るから、そしたら次は俺の現地妻になってくれ」と、かっこわるいことを言って近づいてきたりとか、そういうこともあった。別れぎわに暴力を振るわれたこともある。いい男で素朴な黒人が全員、中身までいい男なわけじゃない。

▼真生さんはろくでもない男を愛しても愚痴っぽくない

 真生さんは映画の中でそうした経験も語るけど、でも、その語りが愚痴っぽくないのだ。真生さんには被害者意識がない。ろくでもない男を愛してしまったことがあっても後悔はない。そして謙虚だ。もしかしたら、むしろ加害者意識があるのかもしれない。

 もしそうだとしたら、それは真生さんが偉そうな正義感じゃなく衝動で写真を撮り続けてきたからだろう。人間が見つめあい発情しあいながら寄り添って生きていくことは愛だけれど、その見つめた視線を写真として残すことはもしかしたら暴力なのかもしれない。当時、真生さんの近くにいて被写体になった女たちや男たちは、真生さんがいつもカメラを持っていてシャッターを切ることは日常だったから、なんとも言っていなかった。だが、それはそうだとして、ギャランティを払っていない対象の姿を写真に撮って作品として残すということは(あるいは、たとえば文章に書くということも)暴力なのかもしれない。

 真生さんはこの映画の中で日常を晒す。たるんだ体のおばぁになった自分の生活も撮られる。ドキュメンタリーのカメラに「そこは撮らないで」とは彼女は絶対に言わないのだろう。同じことをやってきたんだから自分にはそこを拒否する資格がないと言う。

▼そんな真生さんと向かい合う砂入博史監督もかっこいい

 それをまたちゃんと撮って映画本編に使う砂入博史監督もかっこいい。飄々としてて、真生さんと二人で文字どおり向かいあって撮影の合間にタコライス食べたりしてる。編集もポップにテクニカルで大変かっこいいんだが、そんなことよりも今年70歳の真生さんにがっつりカメラを向けて目をそらさないところがかっこいい。日常生活で真生さん、さすがにくたびれておられるんですよ。カメラを向けられても元気を取りつくろえない。でも、ひとたび自分がカメラを握ると真生さんはすぐに嘘なく、まったくエネルギーにあふれる。そのふしぎな生命力。

 映画はラストカットでワンカット、やっと沖縄の自然を映す。延々と映る。それはいつまでも終わらず、観ている者に有無を言わさず時間がゆっくり経っていく。お日さまはゆっくりと沈んで、まばゆくなくなり、あんなに暑かったのに海から涼しい風が吹いてくる。人間はなんだって人間に人間を殺すことを命令するのか。日本人の男は、なぜ黒人を好きになって黒人とセックスする日本人の女を差別するのか。ばかばかしくないか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/53702f9c13983b1b71a197992fca3f7d4e595022


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キジムナーみたいな妖怪に「最近会ってないね」というおばあちゃんがいて…日本と海外の“裏”取材を語る【丸山ゴンザレス×八木澤高明対談】

2024-08-22 | ウチナー・沖縄

ブックバン8/21(水) 6:00

色街、娼婦、殺人事件などをテーマとしたノンフィクション作品をこれまで書いてきた作家・八木澤高明さん。オールカラーの最新刊『忘れられた日本史の現場を歩く』(辰巳出版)では、陸の孤島に住む呪術師、本州にあったアイヌ集落などを訪ね歩き、ルポしています。

本書の発売を記念し、ジュンク堂書店池袋本店で対談が行われました。対談相手は、テレビ番組『クレイジージャーニー』でお馴染みのジャーナリスト・丸山ゴンザレスさんです。以下では、この対談の模様をお伝えします。

(構成:松本祐貴)

ほかの取材をしていることが次のネタのキッカケになる

国家に背を向けた人々の“聖域”/無戸籍者たちの谷

丸山:初対面は、10年ほど前に八木澤さんの取材を雑誌でしたときですね。場所は、足立区の竹の塚にあるレトロな喫茶店でした。駅前で大量のシケモクをビニール袋に入れていたおじいちゃんがいたのを覚えてます(笑)。八木澤さんは、朗らかで柔らかいけど、芯がしっかりしている印象を受けました。そこからお付き合いがはじまり、1年後には単行本『青線』の編集も担当しました。

八木澤:僕の丸山さんの第一印象は、スゴく真面目な人、でした。『クレイジージャーニー』などでのご活躍も、丸山さんの真剣さ、真面目さがあってのものだと思います。

丸山:こんなところでお褒めいただくとは(笑)。あのときは取材と直接関係ない話をたくさんしましたね。

八木澤:一世代前ならベトナム戦争など大きな“現場”があり、社会にも取材者に対する理解があった。でも今は取材者も自己責任などと叩かれる時代になっている――。そんな話をしましたね。僕は海外に行ってもたたずんでいるだけですが、丸山さんは自ら、世界の犯罪の現場に飛び込んでいきました。ルーマニアのマンホールとかね(笑)。

丸山:僕は過去のいろいろな作品を参考にしています。マンホールでは、早坂隆さんの『ルーマニア・マンホール生活者たちの記録』(中央公論新社)です。それと、椎名誠の娘さんである渡辺葉さんが翻訳した『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』(集英社/著者:ジェニファー・トス)を読んで、ニューヨークの地下にも行きましたね。僕自身がまだ読んでいなければ、どんな本でも新刊だと思っています。

八木澤さんが言う“現場がない世代”とも言えますが、どこに行ってもいいという世代とも思えます。でも、ネタにならない場所やテーマに手を出すと貧乏暮らし一直線です(笑)。だから、僕は日本人が興味の持ちそうなネタを狙ってきました。根底には先人たちの記録があります。この八木澤さんの新刊『忘れられた日本史の現場を歩く』はどのようにネタを探したんでしょうか? 

八木澤:例えば、埼玉県秩父の無戸籍者の話だったら、神戸大学のデータベースに大正時代の新聞が保管されているのを見つけて、そこから調べたんです。山口県岩国市にいたインドから帰ってきた“からゆきさん”に関しては、たまたま別取材で訪ねた北九州市門司の古本屋で、そのことについて書かれている本を手に入れました。ほかの取材をしていることが次のネタのキッカケになることが多いですね。

丸山:古本屋は重要ですよね。80年代ぐらいまでの古本だと現場の住所が書いてあります。事件や怪談などの現場にたどり着いたけど、「本当にここだろうか?」と悩んだとき、確実にわかる住所は偉大ですよ。

人の心の襞に触れる物語 八木澤ルポはある意味「文学」

インドから帰ってきた女性/からゆきさんがいた村

丸山:僕はこの『忘れられた日本史の現場を歩く』の推薦文で「これぞ八木澤ルポである」と書きましたが、本当は“八木澤文学”にしたかったんです。『青線』を担当していたときから、僕は八木澤さんの現場の描写、情緒、人との会話が好きなんです。読んでいる側の心の襞(ひだ)に触れるので、ルポというより、文学という言葉がぴったりとくるんですよ。

八木澤:話を聞いた人の話が事実かどうか判然としないところがあって、裏を取りきれない場合でも私が必要と感じればあえて書くようにしています。私も含めて人間の記憶や眺めている日常なんていい加減なもんだと思っていて、私が描いた世界が、嘘か真かは、本を手にとって下さった方々が判断してくれればいいんじゃないでしょうか。

丸山:選び取って書くところが、八木澤さんの文章にハマるんですよ。横浜・黄金町の外国人娼婦たちを描いた『黄金町マリア』(ミリオン出版/増補新版は亜紀書房)もそうです。人の思念を言葉にするのがうまいんです。今回は推薦文として具体例は野暮なので「八木澤ルポ、八木澤文体、八木澤文学」のようなキーワードを入れたいと思いました。そう考えると、もっと分厚く、もっと読みたいと思わせる本書の形はいいですね。からゆきさんの話なんかは、もっと深掘りしてほしいです。

八木澤:ありがとうございます。

丸山:「残すか、忘れるのか」とも推薦文に書きましたが、場所や人によっては残したくない、忘れたいものがあります。八木澤さんが今回巡った土地でも、その中でつむがれていくもの、今取材しなければ忘れられていたものがあるはずです。時間が経って手にとった人にも届く、断片のための旅だったのかもしれないと思いました。僕の好みの世界なので、この本で紹介した19カ所より、もっとめぐってほしいですね。

人々と不思議をつなぐ空気感は日本なら四国や九州に残っている

潜伏キリシタンが建てた教会/中通島

丸山:この本の冒頭は高知の呪術師から始まります。僕は四国と山陰には、日本の中でも古い事象、空気感が残っている気がするんですね。八木澤さんは日本を歩いていてどうですか? 

八木澤:僕は九州の天草にそれを感じましたね。この本には入ってないですが、からゆきさんの話である村を取材しました。あの辺りは、カメラを持って村の中を歩いているだけなのに、接待をよくされたんです。都心では単なる不審者扱いになると思うんですけどね。

ちょっと話を聞いていると、「よく来たねぇ。そうめんでも食っていきなさいよ」と、食事が出てきました。昼時でなければお茶の場合もあります。それが1回だけでなく、どこに行ってもたいがい家で休んでいけと言われるんです。この本では、隠れキリシタンが住んでいた長崎県五島列島の「中通島」を紹介しましたが、そこも似た感じでした。「暑いからオロナミンC飲みなさい」「悪いこと起こるといけんから、塩もっていけ」とかね。よそものをほっておかない文化を九州では感じましたね。

丸山:九州だったら、僕は鹿児島最南端の与論島ですね。ここで、キジムナーの源流の妖怪の話を島のおばあちゃんに聞いてみたんです。すると「最近会ってないね」と答えるんですよ。おばあちゃんだけでなく、何人か同じような話をしてくれました。僕はこの島にはキジムナーが存在するんだなと思いました。島に流れる時間や空気感は壊したくないですよね。

八木澤:キジムナーじゃないけど、2009年に僕は中国に野人を探しに行きました。中国・湖北省、3000メートル級の山がある神農架というところです。現地の人に話を聞くと、キジムナーと同じ反応で「野人ね。最近見てないけど、道路を横切ったり、家の近くまで来るのよ」と言ってましたね。彼らの中には野人はいるんですね。僕たちの価値観や日常からは見えない世界はたくさんあります。この本でもそんな世界に触れてほしいですね。

【プロフィール】

◎八木澤高明(やぎさわ・たかあき)

1972年、神奈川県横浜市生まれ。ノンフィクション作家。写真週刊誌カメラマンを経てフリーランスとして執筆活動に入る。世間が目を向けない人間を対象に国内はもとより世界各地を取材し、『マオキッズ 毛沢東のこどもたちを巡る旅』で第19回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。著書に『黄金町マリア』(亜紀書房)『花電車芸人』『娼婦たちは見た』(角川新書)『日本殺人巡礼』『青線』(集英社文庫)『裏横浜 グレーな世界とその痕跡』(ちくま新書)などがある。

◎丸山ゴンザレス(まるやま・ごんざれす)

1977年、宮城県生まれ。ジャーナリストであり編集者。國學院大學学術資料センター共同研究員。無職、日雇い労働、出版社勤務を経て独立。危険地帯や裏社会を主に取材しており、現在はテレビ、YouTubeでも活躍中。著書に『アジア「罰当たり」旅行』(彩図社)『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』(講談社)『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社)『世界ヤバすぎ! 危険地帯の歩き方』『タバコの煙、旅の記憶』(産業編集センター)などがある。

[文]辰巳出版

協力:辰巳出版 辰巳出版

 Book Bang編集部

 新潮社

https://news.yahoo.co.jp/articles/7b7d2a3f46361a46abeba5537b4103223780092f


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世界の先住民族とつながる マオリから学んだ美しさ、そして強さ 国際社会で訴える沖縄の今   

2024-08-15 | ウチナー・沖縄

琉球新報 公開日時 2024年08月14日 17:31

更新日時 2024年08月14日 17:38

先住民族の権利保護と拡大について話し合う「第23回先住民族問題に関する常設フォーラム」=4月、米ニューヨーク

座波 幸代

 琉球民族独立総合研究学会(ACSILs)共同代表の親川志奈子さんらはこの1年余り、国連をはじめさまざまな国際会議に参加したり、ニュージーランドの先住民族マオリの若者たちの沖縄訪問をサポートしたりして各地の先住民族と交流を深めてきた。7月18、19日にはスイス・ジュネーブで国連の人権理事会の会合にも初めて参加した。この1年間の国際社会での活動を通して、親川さんは「世界の先住民族とつながることで琉球の私たちは自己決定権を取り戻すことができる」と手応えを語った。

(写真)国連の人権理事会の会合で発言する親川志奈子さん=7月、スイス・ジュネーブ

◆「オスプレイが落ちた」重なる境遇

 2023年、親川さんは3月にタイ、6月にマレーシアの国際会議に参加したほか、7月はジュネーブでの国連の先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)に出席。7月下旬には、オーストラリアのNGO主催のシンポジウムに参加し、ダーウィンなど4都市で講演し現地視察した。

 沖縄に戻った8月下旬、オーストラリア北部ダーウィン沖にあるメルビル島で米海兵隊の輸送機MV22オスプレイが墜落して3人が死亡する事故が起きた。米軍普天間飛行場にも配備されているオスプレイ。事故は沖縄でも大きく報じられた。

 ダーウィンで知り合った友人からすぐに連絡があった。「オスプレイが墜落したメルビルは、ダーウィンのすぐ北にある2つの島のうちのひとつ。オスプレイは中学校のある地域に墜落したんだ」と教えてくれた。

 米軍機の墜落事故が起こり続ける沖縄の状況とあまりに重なった。

【深掘り】豪オスプレイ墜落 クラッチ不具合への対処直後にまた死亡事故 安全性への疑念が増幅

2022年8月、クラッチの不具合でノルウェー北部の海岸に緊急着陸した米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ(ノルウェー国防軍提供)  米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが27日、オーストラリア北部ダーウィン近く … 続きを読む

【写真特集】黒煙、異臭、米兵による封鎖…当時を振り返る 沖国大ヘリ墜落20年

 米軍ヘリの沖国大墜落事故から13日で20年を迎える。事故は学校や住宅が密集する市街地に基地があることの危険性を際立たせ、普天間飛行場の即時閉鎖・返還や名護市辺野古への新基地建設計画の見直しを求める世論が高まる契機となっ … 続きを読む

◆マオリの若い世代と語り合う

 今年2月と4月には、ニュージーランドの先住民族マオリの若手グループが沖縄を訪れた。一行は、ニュージーランド政府の奨学金で来日。アイヌの人々と交流した後、沖縄では、マオリの経験した歴史や今の課題、言語や教育、ビジネスなど、幅広いテーマで語り合った。見据えるのは先住民族の未来だ。

 糸満市の「平和の礎」を訪れたマオリの若者が植民地主義について触れ、「なぜ沖縄が戦場になり、その後も軍事利用され続けているのか、その不条理を痛ましく思う」と語る姿が印象的だったという。

 親川さんは、初めて沖縄を訪れたマオリの若者たちが戦争自体の恐ろしさだけでなく、「他者の土地を侵略し戦場にし、軍事基地を置いて利用し続けている植民地主義の恐ろしさ」にすぐに気づき、語ってくれた姿に心を動かされたという。

沖縄を訪れた際、子どもたちに伝統的な踊り「ハカ」を披露するマオリのメンバーら=那覇市内

あの有名な踊り「ハカ」も披露 NZのマオリの人々、沖縄県庁で「基地問題、私たちの闘いと共通」

 照屋義実副知事は13日、文化体験研修で来日中のニュージーランドの先住民族マオリの人々と県庁で面談した。マオリの人々は伝統的な踊り「ハカ」を披露して感謝の思いを伝えた。一行は、1月10日から来日し、北海道や東京、京都など … 続きを読む

◆若い世代へのバトン 「ワッターは強い」

 6月には、ニュージーランドでの先住民族のシンポジウムに招かれ、親川さんと、米ハワイへの留学経験のある赤嶺理玖さんが参加した。ワークショップでは、マオリのアイデンティティーやカルチャーを軸にしてビジネスを起こした起業家の話、マオリ語の第二言語として学んだ世代が直面する難しさを乗り越え、言語復興に取り組む話などを聞いた。

 土地を奪われ、言葉を禁じられ、同じような歴史をたどった沖縄とマオリの交流。赤嶺さんは「沖縄では『自分たちはこれが奪われた』『これが足りない』『これができていない』というような、嘆きの歴史の話をする風潮があるが、マオリの先住民は問題を抱えていること自体を前向きに捉え、この島で生きる若い世代がどうチャレンジするかを語っている。その姿勢から多くを学ぶことができた」と語る。

(写真)マオリの若い世代との交流を通して感じたことを語る親川志奈子さんと赤嶺理玖さん=那覇市内
 「悲しい歴史を語り継ぐことも大事ではあるが、自分たちのルーツの美しさ、強さや、強みになるところなど、ポジティブなエネルギーを持って権力に対して戦うことを、マオリのようにつながっている島の姉妹兄弟と考え、行動をとっていきたい」と語る赤嶺さん。

 ポジティブな強さの例として、戦後の沖縄の復興を支え、「沖縄のチャップリン」の愛称で親しまれた演劇人、小那覇舞天さんを挙げる。「ワッターは負けてない、ワッターは強い、ワッターはできる、ということを若い世代と考えて動いていきたい」

◆最も影響を受けるのは先住民族

 先住民族の権利が侵害され、奪われる歴史が今も世界各地で続いている。政策決定のプロセスから先住民族が除外され、政府や企業が土地の開発などを続けてきた結果、軍事主義や気候変動で最も影響を受けるのが先住民族であることは、国連も認識している。

 今年7月の人権理事会の会合は、国連への先住民族の参加を強化する具体策を議論するために開かれた。数十カ国の政府関係者と、北米、南米、北極圏、太平洋、アフリカ、アジアの全7地域から先住民族の代表らが参加した。

 親川さんは今回、国連の基金(ボランタリーファンド)に採択され、渡航費や滞在費、食費などが助成された。今回この助成に選ばれたのは14人、アジアからの参加は親川さん含め2人だった。「世界の先住民族の多くをアジアが占めるが、国連や意思決定の場にアジアの先住民族の参加がまだ難しい現状にあることをあらためて確認した」という。

 2日間の会合では、先住民族が自らの権利に影響を及ぼす事柄についての意思決定に、自ら選んだ代表を通じて参加し、意思決定に関われるかなどについて各参加者が声明を発表した。親川さんは「今回は、沖縄が直面する問題について具体的な解決策を求め、声を上げる、というものではなかったが、沖縄、アジアの文脈で必要な視点を盛り込み、声明を作成した」と語る。

日本人が知らない世界の先住民族 国連フォーラムが“沖縄”で踊った! ◇アメリカから見た! 沖縄ZAHAHAレポート(10)

ニューヨークの国連本部で4月16~27日、第17回「先住民族問題に関する常設フォーラム(Permanent Forum on Indigenous Issues)」が開かれました。世界各地で、自分たちの土地や資源、文化な … 続きを読む

◆「知らされない」現実

 スイスへの出発前、沖縄で米兵による性的暴行事件が相次いで発覚した。いずれも日本政府は沖縄県や市町村に情報を伝達しておらず、ウチナーンチュの安心安全な暮らしや人権が脅かされる犯罪がウチナーンチュ自身に知らされない現実を露呈した。

 「政府は『被害者のプライバシーを守るために情報提供しなかった』というが、隠蔽(いんぺい)でしかない。被害に遭うのは私たちなのに知らせたら面倒だからと日米両政府は知らせないようにした」と親川さんは指摘する。

 ジュネーブでの会合では、政府と先住民族が初めて対等に議論の場について意見を交わした歴史的なものだった。

 世界で最も不利な立場に立たされているとされる先住民族の権利をどのように守っていくか。国連の場でも各国が知恵を出し合い、活発な議論がスタートしている。「日米両政府の抑圧を受け、自己決定権を奪われ続けている琉球の私たちの問題解決の糸口がここにある」と親川さんは考えている。「この会合に琉球から参加できたことは意義深いと感じている」と振り返る。

◆世界のウチナーンチュの「ホーム」として

 アメリカなどにいるACSILsの若いメンバーによる国際会議への参加も相次いでいる。

 4月に米ニューヨークの国連本部で開かれた「第23回先住民族問題に関する常設フォーラム」には、3回目の参加となる親川さんのほか、赤嶺理玖さん、米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校の大学院生アレクシス大城(うふぐしく)マクラレンさん、マリコ・ミドルトンさん、ブラジルからビクトール金城さんも参加した。「琉球のレジリエンスと復興」と題したサイドイベントも開催した。

(写真)「Resilience and Revitalization of the Ryukyus」をテーマにしたサイドイベント=4月、米ニューヨーク

 7月のEMRIPの会合には、大城さん、オレゴン州立大学院生の酒井莉沙子さんが参加。軍事基地から派生する女性への暴力と、名護市辺野古の新基地建設に反対する声明などを読み上げた。

 親川さんらは今後、活動を広げ、世界の先住民族とつながり合うと同時に、世界のウチナーンチュと連携しながら「ホーム」である琉球の若い世代と共に学び合う機会をつくりたいと考えている。「琉球の私たちが直面している問題と向き合い、解決のためのアクションを起こしていきたい」と前を見詰めている。

先住民族問題で親川さん、赤嶺さんら訴え 米ニューヨークの国連で常設フォーラム

 先住民族の権利保護と拡大について話し合う「第23回先住民族問題に関する常設フォーラム」が15日から米ニューヨークの国連本部で始まった。琉球民族独立総合研究学会(ACSILs)の親川志奈子さんや海外在住の県系人ら5人が参 … 続きを読む

米ハワイで「ハジチ」集い 世界のウチナーンチュ30人 先祖に誇り

 次世代に、沖縄の先祖に誇りを持ってもらおうと、沖縄の女性がかつて手に彫っていた入れ墨「針突(ハジチ)」を施す米在住のウチナーンチュ約30人がこのほど、ハワイに集結した。  イベント主催者で、県系2世のミドルトン真理子さ … 続きを読む

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-3368647.html


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