三渓園、
原三渓によって、
移された歴史建造物、
今では一つの世界を構成している、
秋の深まりを感じ出す、
今日この頃、
蓮の葉が枯れ、
見捨てられた破れ傘、
遠くに三重塔、
近くに和船、
水面が微かに波立つ、
アオサギが魚を狙う、
空は青く、
尾花が動く、
藁ぶきの屋敷、
人の気配が消えている、
田舎道を抜け、
門に至る、
張り替えられた障子が輝く、
陽は銀色、
路傍のツワブキに、
目を止めながら、
石段を上る、
林の中に、
十三重塔、
懸崖造りの屋敷に出る、
先の三重塔を間近に、
さらに進むと、
竹林の一軒家、
こちらの障子もまた、
張り替えられて、
内側からの淡い光を思う、
奥に母屋が続く、
一輪のアザミ、
小さな流れに、
白い小さな花が数多こぼれる、
やっと茶室にたどり着く、
開け放たれた座敷が、
時を待つ、
読経が遠くに聞こえる、
ホトトギスにクマ蜂、
長閑な秋の一時、