一般的に「香り」を書くときは
「まあ、いい『かおり』ですね。」
最近、恋愛が報道されることもある、タレントの眞鍋さんの名前は
「かをり」
昔、誰かが歌っていた歌のタイトルは
「シクラメンのかほり」
なぜ、このように3通りも書き方があるのでしょう。それは仮名遣いと発音の変化が関係しています。今、用いている現代仮名遣いは、中曽根康弘が首相のときの昭和61年7月1日に内閣告示第1号として定められました。それによると、「香り」は助詞でも長音でもないので「かおり」と書くのが正しいのです。
では、「かをり」は何でしょう。これは歴史的仮名遣いによるものです。昔は「お」と「を」の発音の区別がありました。「折」(をり)と「織」(おり)では発音が違ったのです。したがって「かをり」は歴史的仮名遣いで書いているということです。今でも、例えば年配の方など、歴史的仮名遣いで書いている方もいらっしゃいます。
では、さらに「かほり」という表記を見かけるのはなぜでしょう。これは発音の変化が関係しています。昔は語中語尾のハ行をそのまま発音していたのですが、平安時代のころ、ハ行がワ行に変わりました。
「顔」・・・「かほ」→「かを」・・・→「かお」
と、変化していったのです。この知識がある人が
「香り」・・・「かおり」←(「かをり」)←「かほり」
と、勝手に作ってしまったわけです。しかし、「香り」は最初から「かをり」なので、「かほり」とするのは間違いです。
知識がある故に間違ってしまうこともあります。疑問があれば、すぐに辞書をひいて調べる習慣が大事だと思います。