日本語おもしろ発見

日々の生活から

六借、難、六ヶ敷、すべて同じ読みです

2008-02-27 12:21:26 | 日本語豆知識
 今、語彙調査で1906年の文章を調べています。1906年は、明治39年で、後5年で大正時代です。まだ100年前とみるか、100年も前とみるか、どちらが適当なんでしょうね。

 さて、その100年前の文章ですが、現代では珍しい表記もたくさん見られます。たとえば、

 「中々、六ケ敷い」

 これ、なんて読むかわかりますか?正解は「なかなか、むつかしい」なんです。

 「むつかしい」と「むずかしい」は同じ言葉です。古語では形容詞は「し」で終わりますから、「むつかし」です。室町期までは、「むつかし」と発音されていました。「むずかし」が出てきたのは近世末といわれ、以後、両方の形が存在します。現在では「むずかしい」のほうが一般的です。東日本では「むずかしい」、西日本では「むつかしい」と東西対立していましたが、共通語としての「むずかしい」が日本全体に広がったのでしょう。(『日本国語大辞典』第二版「むずかしい」の語誌参照)

 というわけで、タイトルの「六借、難、六ヶ敷」はすべて「むつかし」と読みます。特に「六借」という表記が古辞書に多く載っています。

 1906年の文章は、表記は難しいですが、読んでも意味がわからないということは決してありません。夏目漱石をはじめとする明治の文豪たちの文章は書かれてから、すでに1世紀も経っていますが、なお、たくさんの愛読者がいますよね。やはり、まだ100年前なんでしょうか。どう違うのか、何が同じなのか、その差を明らかにしていきたいと思います。
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~とは?~とは?

2008-02-26 14:24:09 | 日本語豆知識
 先日、某TV番組を見ていたら、芸人さんが面白い話をしていました。去年、結婚した妻は、夫である自分に対して、敬語を使う、とても丁寧な人だそうです。親に対しても敬語を使って育った妻は、夫に対しても敬語を使うのが当たり前のようです。

 そのような妻の実家に、挨拶に行ったときの話だそうです。

 「娘との結婚をお考えですか?」

 「はい。ゆくゆくは結婚しようと思っております。」

 「ゆくゆくとは・・・・・?」

 「・・・・・」

 「いつごろ結婚するつもりですか?」

 「そうですね。仕事が安定したら・・・」

 「安定とは・・・・?」


 「とは」の使い方の例としてとても面白いと思いました。必ず結婚する、いつごろ結婚する、とはっきり言えない男性が、あいまいに、「ゆくゆくは」とか「安定したら」と言っているんですが、それでは、親としては不安だから、正確に答えてほしいんですね。「ゆくゆく」「安定」をきちんと定義してほしいという親の思いが伝わってきます。

 「~とは」(「~というのは」)は、言葉を定義するときの表現です。会話では「~って」を使います。


    ~とは~ことである
        ~という意味である

    ベジタリアンとは野菜しか食べない人という意味である。
    真夏日とは最高気温が30℃以上の日のことである。

のように使います。先ほどの文を省略しないで言うと、「ゆくゆくとは、いつのことですか?」「安定したらとは、どのような状態になったらという意味ですか?」になりますね。

 中級クラスで「とは」を扱いますが、意外にわかりにくいというか、文章を作りにくいんですかね。学生が時々苦労しています。導入にこのような例を出したら、親しみやすいかと思いました。もっとも「とは」は硬い文章に使いますから、妻の実家は厳格な家庭だということもポイントですね。
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Aさんのコンサート♪

2008-02-25 12:38:29 | 学生との触れ合い
 日本語のクラスには実に様々な学生がいます。国籍もそうですが、年齢、職業、その他もろもろ・・・今学期のクラスにはプロの音楽家もいました^^

 そのAさんのさよならコンサートが今週の日曜日に行われるそうです。さよならコンサートとは寂しい限りですが、お別れの前のコンサートを楽しみたいと思います。


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< は山かっこではなかった・・・

2008-02-24 18:07:35 | 恩師の教え
 これまで生きてきて、知らなかったこと・・・っていっぱいありますよね。日常的であればあるほど、それらに気付かず、過ごしてしまうことは、本当に多いです。

 その中の一つ、「<」なんですが、私は、今の今までずっと、山かっこだと思っていました。でも、これは数学で使う記号で「より小さい」の意味でした。確かにそうですね。

 私は父の仕事の関係上、パソコンを中学生のころから触っていたのですが(私の年齢からすると珍しい)、<はかっこと信じて疑わず、論文その他にも<表a>のようにずっと書いていました。

 しかし、実は「〈」が山かっこだったのですね。全角で「〈」山かっこがちゃんとあったのです。だから、〈表a〉が正しかったのですね・・・。

 し、知らなかった・・・。こんな日常的なことまで気づかせてくれる師匠にまたまた感謝・・・
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私の名前は「”あ”すず」?

2008-02-23 16:07:55 | 日本語豆知識
 先日、某番組を見ていて、ふと思い出したことがありました。
 司会者が出演する素人芸人さんたちに名前を尋ねました。

 「お名前は何ですか?」

 Aさんタイプ「あ、大阪から来ました○○です。」

 Bさんタイプ「えっと、北海道から参りました○○です。」

 6人に質問をしたところ、Aさんタイプが最も多く3人、Bさんタイプが2人、その他が1人でした。

 これは日本語の特徴なんですが、相手の話を受けるとき、いきなり発話せずに、「あ」とか「えっと」などを入れるんです。これは母語話者はあまり気付かないことですし、日本語学習者には習得しにくいところです。

 昔、イギリスに短期滞在をしたときの話です。よく名前を聞かれました。

"What's your name?"

 あまりにもよく聞かれるので、質問されるとわかっています。私は、こう答えました。

"A, Suzu."

 すると、

 "Oh,your name is Asuzu."

 私は日本語の習慣で、答えの前に「A(あ)」を入れてしまったのですが、英語にはそのような習慣がありません。当然、聞いたほうは、私の名前は「あすず」だと思ったというわけです。

 このようなことは論文にも書かれています。電話会話で調査した結果、

 「あ」・・・開始部において、受け手がかけ手を認定するメタメッセージを伝える談話標識として機能
 「じゃあ」・・・終始部において、終結への意向を暗示し、移行場所で段階的に終結へと導く談話標識として機能

ということが明らかになりました。無意識に使っている「あ」ですが、とっても大切な働きをしています。そして、それは日本語の特徴であり、英語では機能しません・・・


参考文献

岡本能里子・吉野文(1997)
「電話会話における談話管理―日本語母語話者と日本語非母語話者の相互行為の比較分析―」『世界の日本語教育』7
 
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男子皇太子ご誕生???

2008-02-22 17:22:23 | 恩師の教え
 私は、人の間違った日本語は非常に気になるくせに、自分は平気でおかしな日本語をよく使っているようです。

 昨日、久しぶりにプロジェクトチームの集まりがありました。春休みに入り、気が緩んでいるのか、頭の回転が非常に悪かったです。休み明けはこんなもんですかね・・・。

 今、語彙調査をしているのですが、その一つである、文を語に切る作業が非常に厄介なんです。国研が定めた単位にもいろいろあるのですが、大きく二つに分けると、短い単位と長い単位があって、おおまかに言うと、短い単位は、「単語」に近く、長い単位は、「文節」に近いです。例えば、

 男児の皇族が誕生したというニュース

は、短い単位だと、「男児・の・皇族・が・誕生し・た・と・いう・ニュース」で9語、長い単位だと「男児の・皇族が・誕生したと・いう・ニュース」で5語になります。

 男児皇族誕生のニュース

は、短い単位だと「男児・皇族・誕生・の・ニュース」で5語、長い単位だと「男児皇族誕生の・ニュース」で2語になります。

 前置きが長くなりました。さて、本題!

 このような調査をしているときの話なんですが、男児皇族誕生の話をしようとして、私ははっきりと思い出せず、「男児皇太子誕生」とずっと言ってたんです。何も考えず・・・

 すると、先生が、

 「皇太子は、男だし、一人しかいないものですね。男児皇太子誕生はおかしいですね」と一言・・・

 そうです。先生、

 「男児皇族誕生」です。皇太子は一人です。

 もう少し、自分の言葉に責任を持ちます・・・。(人の言葉は気になってしかたがないんですけどね・・・改めて反省
 
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逆上するの意味の「切れる」はいつから使われている?

2008-02-15 21:45:22 | 日本語に関する疑問
 「切れる」中高年増と新聞の見出しにも使われるようになった、逆上するという意味の「切れる」・・・

 本日、某ニュース番組を見ていますと、アナウンサーが「この言葉は最近の言葉かと思ったら、結構昔から使われているんです」と言うではありませんか!

 えっ?いつから?江戸時代?室町時代?

 と思って、その先を聞いていますと、なんと広辞苑、しかも第六版にその意味が記述されていると説明を続けたのです!
 
 当たり前じゃないですか。先月発売の広辞苑第六版と言えば、10年ぶりに大改訂されて、新しい言葉や説明も入れたということで、マスコミをにぎわしていたんですから。第六版の特色として、一般語については、「新しい意味や用法の広がりを的確に捉えることに重点をおきました」と岩波書店のHPにもしっかりと書いてあります。

 したがって、広辞苑第六版に載っていることが昔から使われていることの証明にはなりません。で、手元にある1998年発行の第五版を見てみますと、こちらにすでに「逆上する」の意味説明がありました。ちなみに1991年発行の第四版にはありませんでした。

 じゃあ、次に気になるのは、いつから使われているかということです。ここで日本最大の国語辞典『日本国語大辞典』第二版の登場です。調べると、「(こらえていた気持ちが途切れて)逆上する。多く、現代の若者が用いる。」と説明してありました。しかし、残念なことに初出の例がありません。確かに、用例を探すのは難しいでしょうね。もしかしたら、論文にあるかもしれませんが・・・

 で、日本国語大辞典のオフィシャルサイトの日国友の会のページを見ました。ここには、読者(辞書も読者?愛用者?)からの投稿があって、新語、新しい意味、初出の用例の訂正などを見ることができます。

 やはり、「逆上する」の「切れる」に初出の例がないことからでしょうか。投稿がありました。それによると、


「あのときは、レポーターもさすがにキレるかと思った」

著書・作品名: 今夜もパジャマトーク
媒体形式: 単行本 刊行年(月日): 1991年 著者・作者: 岸本葉子 掲載ページなど: 104
発行元: ファラオ企画

 これが、初出例ということになるでしょうか。91年か、私の学生時代・・・確かに使っていたかも・・。「切れる」よりも「ぶち切れる」の方をよく使っていたかも・・・。でも、もうちょっと前にも用例があるような気もする・・・

 誰か、見つけたら、日国友の会に、ぜひ投稿してください^^

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のだめカンタービレ

2008-02-10 16:14:01 | 日記
 久々にはまったドラマ「のだめカンタービレ」

 私は昼ドラが大スキなので、昼食タイムと昼ドラ視聴時間をぴったり合わせています。(午後1時から2時の間!)

 熱中した後、また研究に戻るのですが、年末、つい、うっかり2時からも続けて、テレビをつけていると、「のだめカンタービレ」が再放送されていました。しかも、年始の特番に向けての一挙再放送です。私は、たちまち、のだめワールドに引き込まれてしまいました。

 久々に面白いドラマ発見です。千秋さまがかっこいいのは言うまでもありませんが、中学高校と吹奏楽部に所属し、高校では、バスクラリネットを担当していた私としては、流れるクラシックや、練習風景がとても懐かしく思い出され、ドラマと一体化して、その世界に浸りきってしまいました。もちろん、部活と音大のオーケストラでは、次元が違いますが^^

 年始の特番も最高に面白かったです。機会があれば、原作の漫画も読んでみたいし、ドラマも第三弾を是非作ってほしいです。


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