いきなりですが、問題です。実が赤くて、中が空洞の観賞用の植物「酸漿」の現代仮名遣いは何でしょう。
1.ほうづき
2.ほうずき
3.ほおづき
4.ほおずき
ヒント歴史的仮名遣いでは「ほほづき」です。現代仮名遣いでは、はっきりと語源の区別が認識できない場合は/zu/は「ず」で書くことになっています。
(「づ」と書く例:三日月=三日+月(みかづき)、仮名遣い=仮名+遣い(かなづかい))
したがって、「づ」は「ず」となり、ホーの長音の部分は歴史的仮名遣いで「ほ」だったので、「う」ではなく「お」で書きます。正解は4番です。
これは意外に大事です。ためしに「ほうずき」「ほおづき」で辞書を引いてください。ほとんどの辞書では、その仮名遣いでは「酸漿」を探すことはできませんから・・・
学生の質問の中で、「なぜ、昔のルールを残すのか。もう変わったんだから新しいルールに合わせたらいいじゃないか」というのがありました。例えば、現代仮名遣いで例外として残っているものは昔の慣習を引き継いだものが多いからです。
でも、やはり昔からあるものは規範として残したい、長い年月の間に人々が忘れ去っていることも、わざわざ調べ上げて、それを正しい表現としたいと私は思うのです。もちろん、この前の記事のように「消耗(しょうこう)」が「しょうもう」として定着していった例もたくさんありますが・・・。
仮名遣いの誤りを直そうとした藤原定家、さらにそれを極めた契沖、そのほか、数々の著名な国語学者・・・そういった人々の研究成果はやはり残すべきだと思います。とっても固い考え方ですが、言葉をこよなく愛しているということで・・・^^