要旨
要旨
この調査は、私たちが擬音語・擬態語をどのくらいの頻度で、どのように使用しているかを明らかにするものである。2012年1月1日~2月15日までの「朝日新聞」の社説欄と読者投稿欄を調査対象に、本文を長単位に分け、擬音語・擬態語が使用されている割合を調べた。その結果、社説欄の1.5倍以上の擬音語・擬態語が読者投稿欄において使用されていることが明らかになった。用法では、社説欄・読者投稿欄ともに副詞用法が最も多く、表記では、ひらがなが最も多いという結果になった。また、読者投稿欄を男女に分けて考えると、男性よりも女性の使用割合が高く、男女合わせた年代別では、80代の使用割合が圧倒的に高いという結果になった。この調査は、約1か月半の資料を基に行ったものであるため、結果は必ずしも正確とは言えないが、一定の傾向が明らかになったものと思う。
この調査は、私たちが擬音語・擬態語をどのくらいの頻度で、どのように使用しているかを明らかにするものである。2012年1月1日~2月15日までの「朝日新聞」の社説欄と読者投稿欄を調査対象に、本文を長単位に分け、擬音語・擬態語が使用されている割合を調べた。その結果、社説欄の1.5倍以上の擬音語・擬態語が読者投稿欄において使用されていることが明らかになった。用法では、社説欄・読者投稿欄ともに副詞用法が最も多く、表記では、ひらがなが最も多いという結果になった。また、読者投稿欄を男女に分けて考えると、男性よりも女性の使用割合が高く、男女合わせた年代別では、80代の使用割合が圧倒的に高いという結果になった。この調査は、約1か月半の資料を基に行ったものであるため、結果は必ずしも正確とは言えないが、一定の傾向が明らかになったものと思う。
要旨
ひらがなの使用は平安時代に始まる。ひらがなによる初期の文学作品には、漢字かなまじり表記がみられるが、「和泉式部日記」もそのひとつである。「和泉式部日記」の漢字使用の状況を検討し、和泉式部が行う漢字使用に対する特徴や傾向を調査していく。本研究は、「和泉式部日記」の平仮名文における漢字の中で、特に頻用される漢字についてその背景を考えようとするものである。
「和泉式部日記」にみられる漢字と仮名をそれぞれカウントし比較、調査を行う。比較は全体での比較に加え、地の文、会話文、和歌、手紙の内容として書かれた文についても行なった。
調査結果としては、会話文や和歌などに書かれる内容を考慮して漢字や仮名を意識的に使い分けていた、また、使いやすい漢字とそうでない漢字があったといえる。今後はさらに調査対象を増やし、作品間の比較と考察を行いたい。
ひらがなの使用は平安時代に始まる。ひらがなによる初期の文学作品には、漢字かなまじり表記がみられるが、「和泉式部日記」もそのひとつである。「和泉式部日記」の漢字使用の状況を検討し、和泉式部が行う漢字使用に対する特徴や傾向を調査していく。本研究は、「和泉式部日記」の平仮名文における漢字の中で、特に頻用される漢字についてその背景を考えようとするものである。
「和泉式部日記」にみられる漢字と仮名をそれぞれカウントし比較、調査を行う。比較は全体での比較に加え、地の文、会話文、和歌、手紙の内容として書かれた文についても行なった。
調査結果としては、会話文や和歌などに書かれる内容を考慮して漢字や仮名を意識的に使い分けていた、また、使いやすい漢字とそうでない漢字があったといえる。今後はさらに調査対象を増やし、作品間の比較と考察を行いたい。
要旨
本研究は、芥川賞・直木賞受賞作から純文学と大衆文学の文章の特徴を分析するものである。両受賞作のそれぞれ20作品を選び、地の文100文における文字数、読点数、読点の直前の各品詞数、読点の直前の助詞の内訳を調査した。
その結果、文字数については、芥川賞受賞作では各作品ごとの差がかなりあり、直木賞受賞作ではあまり差がなかった。文字数と読点数の関係については、先行研究でも指摘されているように、両受賞作ともに相関関係がみられた。
読点の直前の各品詞の割合については、両受賞作ともに助詞の割合が高かった。そのうち、直木賞受賞作において、年代が新しくなるにつれて、助詞の割合が若干減り、名詞の割合が若干高くなっている。読点の直前の助詞の割合では、接続助詞、格助詞、係助詞「は」の使用率が高い。文字数と読点の直前の助詞、とりわけ接続助詞との関係については、新聞記事において相関関係が認められるとした先行研究とは異なり、本研究の小説においては、相関関係が認められなかった。
これらの結果は、両受賞作が性格の異なる文学(純文学と大衆文学)に分類されるものであること、両受賞作が小説という「作品」であることなどに起因していると考えられる。
本研究では、先行研究で指摘されている内容の裏付けができ、反対に、指摘されている内容とは異なる結果が得られるなど収穫はあったが、純文学と大衆文学の文章の特徴を分析するにはもの足りないものとなった。今後は、新しい視点と、より詳細に分析する視点の両方から調査する必要があると考える。
*****
読点の直前の品詞について、芥川賞受賞作の方が直木賞受賞作より動詞の使用率が高い傾向があった。これは、芥川賞受賞作が直木賞受賞作に比べて、「硬質」な印象を与える作品が多いことに起因すると考えられる。読点の直前の助詞のうち、格助詞については、両賞受賞作とも、「に」の使用率が高い傾向にあり、時代の変化によるその特徴の変化はあまりみられない。接続助詞については、両賞受賞作とも、「て」や「が」の使用率が高い傾向にあり、時代の変化によるその特徴の変化はあまりみられない
本研究は、芥川賞・直木賞受賞作から純文学と大衆文学の文章の特徴を分析するものである。両受賞作のそれぞれ20作品を選び、地の文100文における文字数、読点数、読点の直前の各品詞数、読点の直前の助詞の内訳を調査した。
その結果、文字数については、芥川賞受賞作では各作品ごとの差がかなりあり、直木賞受賞作ではあまり差がなかった。文字数と読点数の関係については、先行研究でも指摘されているように、両受賞作ともに相関関係がみられた。
読点の直前の各品詞の割合については、両受賞作ともに助詞の割合が高かった。そのうち、直木賞受賞作において、年代が新しくなるにつれて、助詞の割合が若干減り、名詞の割合が若干高くなっている。読点の直前の助詞の割合では、接続助詞、格助詞、係助詞「は」の使用率が高い。文字数と読点の直前の助詞、とりわけ接続助詞との関係については、新聞記事において相関関係が認められるとした先行研究とは異なり、本研究の小説においては、相関関係が認められなかった。
これらの結果は、両受賞作が性格の異なる文学(純文学と大衆文学)に分類されるものであること、両受賞作が小説という「作品」であることなどに起因していると考えられる。
本研究では、先行研究で指摘されている内容の裏付けができ、反対に、指摘されている内容とは異なる結果が得られるなど収穫はあったが、純文学と大衆文学の文章の特徴を分析するにはもの足りないものとなった。今後は、新しい視点と、より詳細に分析する視点の両方から調査する必要があると考える。
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読点の直前の品詞について、芥川賞受賞作の方が直木賞受賞作より動詞の使用率が高い傾向があった。これは、芥川賞受賞作が直木賞受賞作に比べて、「硬質」な印象を与える作品が多いことに起因すると考えられる。読点の直前の助詞のうち、格助詞については、両賞受賞作とも、「に」の使用率が高い傾向にあり、時代の変化によるその特徴の変化はあまりみられない。接続助詞については、両賞受賞作とも、「て」や「が」の使用率が高い傾向にあり、時代の変化によるその特徴の変化はあまりみられない
要旨
平安時代における漢語使用の男女差については、西端幸雄氏が「漢語の位相(上)・(中)・(下)」(『滋賀大国文』第12・13・14号、1974年11月・1975年12月・1976年12月)で『源氏物語』を、加藤浩司氏が「落窪物語における漢語使用の男女差」(『日本語学最前線』和泉書院、2010年)で『落窪物語』を資料として既に考察しているが、今回の調査では、同時代の『紫式部日記』を資料に、会話文・心話文・消息文・和歌などの中に見られる漢語・混種語を抽出し、そこから更に話し手・聞き手の性別などによって分類して、漢語・混種語の使用の男女差についての考察を行った。その結果、『紫式部日記』の会話文などから抽出された漢語・混種語は非常に少なく、その漢語等の使用における明確な男女差の存在を確認するまでには至らなかった。
次に、抽出された個々の語については、両者の先行研究において、男性が話し手の場合にのみ使用されており、「男性専用語」なのか否かの検証の必要性を帯びている漢語としてともに挙げられていた「面目」という語が、今回の調査でも男性が話し手の場合にのみ使用されている事が分かった。「男性専用語」である可能性がより高くなったこの語については、今後も同時代における他作品などを資料として、その可能性をより確実なものとするための調査を行う必要がある。
平安時代における漢語使用の男女差については、西端幸雄氏が「漢語の位相(上)・(中)・(下)」(『滋賀大国文』第12・13・14号、1974年11月・1975年12月・1976年12月)で『源氏物語』を、加藤浩司氏が「落窪物語における漢語使用の男女差」(『日本語学最前線』和泉書院、2010年)で『落窪物語』を資料として既に考察しているが、今回の調査では、同時代の『紫式部日記』を資料に、会話文・心話文・消息文・和歌などの中に見られる漢語・混種語を抽出し、そこから更に話し手・聞き手の性別などによって分類して、漢語・混種語の使用の男女差についての考察を行った。その結果、『紫式部日記』の会話文などから抽出された漢語・混種語は非常に少なく、その漢語等の使用における明確な男女差の存在を確認するまでには至らなかった。
次に、抽出された個々の語については、両者の先行研究において、男性が話し手の場合にのみ使用されており、「男性専用語」なのか否かの検証の必要性を帯びている漢語としてともに挙げられていた「面目」という語が、今回の調査でも男性が話し手の場合にのみ使用されている事が分かった。「男性専用語」である可能性がより高くなったこの語については、今後も同時代における他作品などを資料として、その可能性をより確実なものとするための調査を行う必要がある。
要旨
「ゆるキャラ」と呼ばれるご当地キャラは、今やマスメディアでも当たり前のように目にするようになっている存在である。本研究ではそのゆるキャラの語尾を「役割語」の観点から考えて調査した。
調査方法は「ゆるキャラグランプリ2013」から上位100体のうちゆるキャラ自身が発言していると考えられる94体を調査対象とした。「役割語」とは金水(2003)で提唱された理念で、ある特定の言葉づかいを聞くと特定の人物像が想像できるときや、いかにもその人物が使いそうな言葉づかいを「役割語」と呼んでいる。本研究では「役割語」をもとに、①ゆるキャラの語尾を独自で考えたカテゴリーに分類する。②キャラコピュラ、キャラ助詞、動物キャラ終助詞、ショーアップ語に分類する。という2つの研究をした。
調査結果は、①では「~だよ」という話しことばが1番多かったが、役割語としては自分の名前を語尾につける「名前型」が最も多く、その他の順位もそのゆるキャラの固有性が高くなるような語尾の順になっていた。②では、「~だにゃ」 などの動詞に近い位置にその動物らしい語尾が終助詞になっている動物キャラ終助詞が最も多く、他の助詞と比較し考えると、動物キャラ終助詞が徐々に文法化されつつあるということが分かる。
「ゆるキャラ」と呼ばれるご当地キャラは、今やマスメディアでも当たり前のように目にするようになっている存在である。本研究ではそのゆるキャラの語尾を「役割語」の観点から考えて調査した。
調査方法は「ゆるキャラグランプリ2013」から上位100体のうちゆるキャラ自身が発言していると考えられる94体を調査対象とした。「役割語」とは金水(2003)で提唱された理念で、ある特定の言葉づかいを聞くと特定の人物像が想像できるときや、いかにもその人物が使いそうな言葉づかいを「役割語」と呼んでいる。本研究では「役割語」をもとに、①ゆるキャラの語尾を独自で考えたカテゴリーに分類する。②キャラコピュラ、キャラ助詞、動物キャラ終助詞、ショーアップ語に分類する。という2つの研究をした。
調査結果は、①では「~だよ」という話しことばが1番多かったが、役割語としては自分の名前を語尾につける「名前型」が最も多く、その他の順位もそのゆるキャラの固有性が高くなるような語尾の順になっていた。②では、「~だにゃ」 などの動詞に近い位置にその動物らしい語尾が終助詞になっている動物キャラ終助詞が最も多く、他の助詞と比較し考えると、動物キャラ終助詞が徐々に文法化されつつあるということが分かる。