今日、「地域居住学Ⅱ」の講義で、今日から農山漁村計画の話を数回することにして、最初に国土における農山漁村の位置づけを都市との対比で話した。勿論、第一の意義は、生産的意義で、普通これだけが前面に出てくる。農村における米や野菜、山村における樹木の育成、伐採、漁村における魚の捕獲等である。これらにおいては市場経済の下で生産物の価格が下がったりすると、食べられなくなり、出稼ぎや離村につながる。もう少し国土全体からみた意義付けが考えられないか、として、私が西山先生の京大退官時の記念論文集に書いた論文(1974年頃『農山漁村における地域環境管理計画ー京都府伊根町を事例としてー』)を基に、地域環境管理的意義もあると話した。その場合、挙家離村になった場合を想定すると、誰かが後を管理しないと、地域環境が崩れて広く悪影響(例えば洪水など)を及ぼしやすくなる。行政や都市住民が何らか乗り出して管理の手助けをする場合、それまでの「管理慣行」が分っていないといけない、として例に道普請(みちぶしん)、水普請(みずぶしん)をあげた。普請とは、江戸時代までの言葉で「建設・建築・修理」という意味を含み、普請奉行というと、今の国土交通大臣(一寸前の建設大臣)、普請道楽というと、食道楽、女道楽などと並び、中でも最も金のかかる道楽だった。道普請や水普請は、定期的には農閑期、田植えの始まる前に出合い(協働)で行われた。それをきちんと行なっていないと1年間の農事カレンダーが回っていかないのであり、それらは正に地域環境管理慣行だったのである。そして、この管理にも国土管理費(税金)があてうるとすると、少しは農山漁民は楽になり挙家離村しなくてもすむかもしれないのである。
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